東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

寺本 雅一(てらもと まさかず)

さわる が ふれる になるときは5

(つづき) 人間のように言葉をもたない生命体。 からだもそんな生命体のひとつだと思います。 「言葉」は通じなくても伝わるものはあります。 「さわる」で伝わるものが、 「ふれる」では伝わらない。 また、 「さわる」で伝わらないものが、 「ふれる」で…

さわる が ふれる になるときは4

(つづき) 「ふれる」ということばには、「感じる」という要素がそのことばの背景にしっかりと根付いているように感じます。 ふれようとするときに自ずと「ゆっくり」になることも、不思議ではありますが、ある意味では、とても納得できるのです。 「発信」…

さわる が ふれる になるときは3

(つづき) 「さわる」と「ふれる」では、様々な違いがあらわれます。 昨日は「間(ま)」のことについて、お伝えしました。 このことに関係して、 「さわる」と「ふれる」ではその動作のスピード感にも変化が生まれます。 何かにさわろうとするときは、反射…

さわる が ふれる になるときは2

「さわる」と「ふれる」。 本人の意識が変わるだけで、大きな違いが生まれてくることがあります。 「さわられた」、もしくは「ふれられた」対象にとっても、 まったく異なる情報として伝わります。 わたし自身、その違いとして興味深く感じているのは、 「さ…

さわる が ふれる になるときは

瀧澤さん、一週間の投稿ありがとうございました。 バトン「タッチ」で本日から寺本が担当致します。 テーマは引き続き「ふれる」です。 よろしくお願いいたします。 普段意識することもなければ、気にもならないことですが、 私たちは実に様々なものに接しな…

何を学んでいるのか

空間というひとつの「間」を介して、 様々な情報の授受が行われていることが少しでも感じられれば、 納得できるものもまた拡がっていくと感じます。 新重心理論を学んでいて、目がみえているものはほんの一部の世界のこと。 本当のところはみえないものから…

からだとの信頼関係

新重心理論が展開し始めてから、操体法東京研究会の講習の様子も質的な変化が起こっているのを感じています。 www.sotai-miura.com 以前の講習では、学ぶということに真摯に応えてくれる濃密な指導が展開されていました。臨床家、または指導者を育てるための…

目にみえないものを手がかりとして

からだからのメッセージを受け取る。 からだの声をキャッチする。 からだと対話する。 「自分」と「からだ」と、キャッチボールをするときに、 ひとつの手掛かりとなるものが、目にはみえない「感覚」です。 「からだ」がききわけているものを、 感覚を介し…

間がうまれる

ゆっくりと動きを表現する。 動きがゆっくりと表現される。 生活のなかの何気ない動作から、 「ゆっくり」という言葉をきっかけとして動きの質に変化が起こると、 「間(ま)」がうまれ始めます。 以前、本東京操体フォーラムで操体法クロニクルズと題して、…

ゆっくり

からだが表現する様々な動き。 その動きのことを学んでいると、それに伴って学ぶことは拡がっていきます。 色々なことがテーマとして感じられてきます。 そのひとつとして、「ゆっくり」という言葉も、実に深みのあるテーマだと感じます。 操体ではこの何気…

からだの動き(うごき)の解放

操体には「動かして診る」というからだを診る際の独自の眼差しがあります。 からだの構造(つくり)の歪みがどうなっているかを診ること以外に、ではそのつくりを動かしてみたらどのような変化が起こるのか、またはききわけられるのかというポイントに注目し…

ゆっくり、解放、シンプル

瀧澤さん、今回も一週間の投稿ありがとうございました。 『学ぶ姿勢は、生きる姿勢と重なります』 はい、そのように感じます。 以前にも増して、いま学んでいることがその場だけのことにならずに、境界線を引くこともなく、自身の生きる姿勢にどんな影響をも…

わたしにとっての、からだにとっての7

わたしにとっての健康、からだにとっての健康。 今回の春季フォーラムではこのことをテーマにタスクで発表の機会をいただいた。 当日に向けてはなしあいを重ねる中で、 「わたし」が「主語」の視点から、「からだ」が「主語」の話へと膨らんでいくのを感じて…

わたしにとっての、からだにとっての6

「からだ」は常に生命活動のリズムを営んでいる。 そこに「わたし」の生活リズムが交差していく。 わたしが奏でた、時にノイズ交じりの日々の旋律を、からだの方でうまいこと耳障りでない状態にバランスをとってくれているようなイメージがわいてくる。 「耳…

わたしにとっての、からだにとっての5

「息」「食」「動」「想」 これらの営みのそれぞれには、法則性がある。 「からだ」という自然由来の生命体には貫通しているルールがあり、 4つの営みはからだを通じて関係深くあるので、互いに影響を及ぼしあっている。 そのいのち宿りしからだを使わせて…

わたしにとっての、からだにとっての4

普段何気なく生活していた、その生き方のなかに 他人に代わってやってもらえない営みというものがあるということを学んだ。 それも、整理していくと4つの生命の営みにおさまっていくことも知った。 呼吸 飲食 身体運動 精神活動 操体ではこれらの営みを「息…

わたしにとっての、からだにとっての3

自分にとって何が必要か、といった考え方に からだにとって、という新しいキーワードが加わる。 そのことで、今まで模索してきたことが、ひとつひとつ納まるべきところに納まっていくような印象がありました。 改めてそれまでを振り返ると、良かれと思ってい…

わたしにとっての、からだにとっての2

私が考える自分の体の健康といった意識の間に、 「からだ」というキーワードが投げ込まれる。 操体の学習を始めたわたしにとって、この新しい捉え方は意識の変化が生まれた瞬間だったと思います。新鮮ではあるけれども、実はとっても身近に感じていた存在の…

わたしにとっての、からだにとっての1

おはようございます。 からだ瀧澤さん、7日間の投稿ありがとうございました。 アフターフォーラムの本日から、 テーマ「はじめての操体法」を引き継いで寺本が担当致します。 よろしくお願い致します。 操体を知る前のわたしは、自分にとって、どんな「情報…

あずかりもののいかしかた7

操体の創始者、橋本敬三先生の遺した文章のなかに、「人間悲願の達成へ」という味わい深いものがある。立石電気(現在のオムロン)がSINIC理論を基に描き、昭和46年に「プレジデント」に投稿した「社会進歩曲線」が傍らに掲載されているのが印象的だ。 生…

あずかりもののいかしかた6

このブログを読んでいるみなさんは、今まで大きな怪我や病気をしたことがあるだろうか。 一度でもそういう経験をすれば、何かしら自身の健康について、 またこの「からだ」のことについて考えを巡らせるきっかけとなり、 人によってはがらりと心変わりをして…

あずかりもののいかしかた5

モノの寿命について想うとき、 「おさがり」という習慣は以前に比べるとだいぶ減ってきたように感じられる。 私自身も姉や親戚のおさがりによって幼少期を過ごした経験があるし、 大人になってからも師や先輩のおさがりの恩恵をいただくこともある。 個人的…

あずかりもののいかしかた4

昨日に続き、モノの寿命について。 人が生み出したモノにはいのちが宿る。 宿ったいのちは辞書的に言えば、「物が使用にたえる期間」の寿命をもって全うされる。 一方で、このモノのいのちというものは、人の手のかけようによって、伸びたり短くなったりする…

あずかりもののいかしかた3

「寿命」ということばを辞書で引くと、 (1)命のある間の長さ。命数。齢。生命。 (2)転じて、物が使用され得る期間。 (3)[理]素粒子・放射性元素・分子などが、ある特定の状態に存在する時間。 (広辞苑) (1)生物のいのち。生命の長さ。命数。 …

あずかりもののいかしかた2

操体を学んでいて出会い、影響を受けた言葉はたくさんあるけれど、 そのなかでもいのちについてあげるならば、 「このいのちを、何のために使うのか」 が思い浮かんでくる。 このことばをあじわっていると、「わたし」という存在がすーっと消えていく。 「い…

あずかりもののいかしかた

おはようございます。瀧澤さん、間の投稿をありがとうございました。 本日より一週間、テーマ「健康と寿命」をつないで寺本が担当致します。 よろしくお願い致します。 わたしたちは、この世に生きている間は「健康」というテーマと、いつもともに生きている…

うらおもて7

今年も今日で1年が終わろうとしている。 振り返ると、生活のなかで、 「内臓」のことに意識が向くことが多い一年だった。 私たちが飲んだり食べたりすることと、 からだの方でそれを必要としているかどうかは、 全く別の話なんだ、というのも感じることが多…

うらおもて6

人が眠っている時にみせてくれる、からだの呼吸。 たしかに、呼吸は人間が意識的に行おうとしなくても自然とからだの方で営んでくれているんだということを感じる。 非常に静かに、また深く充実したリズムがある。 こういう瞬間を眺めていると、眠りの時間と…

うらおもて5

裏と表という概念は、結構あいまいなものかもしれないなと思う。 人間のまなざしから生まれた常識が当たり前のようにインストールされているだけで、視点が変われば裏か表かなんてひっくり返ってしまうこともありうる。 例えば、地球から見えるお月様の顔は…

うらおもて4

その昔、どんな御縁で出会ったのかはすっかり忘れてしまったけれども、 磁石を使ってからだを診る方にお会いしたことがある。 興味があったので、お互いの住まいからちょうどいい場所にある小さな公園で、 その方の手技をうけさせてもらった。 私はただただ…