東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

非常識って素敵

唐突ですが、皆様「九州王朝説」ってご存知でしょうか?
古代日本において、現在主流となっている奈良の大和地方の大和王朝以前に、福岡の太宰府を首都とする九州王朝が存在した可能性があるという説を発表された古田武彦という変わり者な研究者がいたらしいのであります。小学生の子供に聞いても「そんなの嘘に決まっと〜。」と一蹴されそうな話題ですが、福岡在住の小生としては大層、
血湧き肉踊るロマンティックなお話です。
この説では、大宝律令成立以前の歴史のほとんど(ex.邪馬台国聖徳太子大化の改新・・・)は九州王朝での出来事であり、九州王朝が滅びた後に大和王朝の歴史に組み込まれたものだ
というのです。
その中でも特に小生が興味をひかれたのは天皇家の発祥の地とされる日向(ひゅうが)の国が、どげんかせんといかん宮崎ではなく、福岡市西区の日向(ひなた)峠のことであったと云うのです。何を隠そう、そこは僕の通った高校の裏山です。
そんなアホな・・・ 


確かにその辺りには数々の遺跡が存在しており、古代から発展してきた地域であることは間違いなさそうなので、
「もしかしたら本当かもしれない。」というワクワク感を湧き立たせてくれます。


話は変わりますが、その高校時代の友人が、先日、うちの整骨院にやってきました。
左足をばっちりギブスで固め、両手に松葉づえを着きながら、痛々しく院に入って来る彼の姿を見ながら、
「可愛そうに・・・」と同情しながらも「これは貴重な臨床経験だ。」と少し心を小躍りさせていました。


以前、三浦理事長の講習会の中で足首を骨折した受講生の方をモデルに実技の講習をやらせていただいたことはあったのですが、実際の臨床のなかでは初体験。ドキドキとした気持ちを抑えつつ、問診を始めました。


秋「何、足どうしたん?」(ねぇ、君足はどうしたのかね?)
患「船釣りばしよって、転んで骨ば折ったんよ〜。」
(釣り船に乗ろうとしていたら、誤って転倒して骨折をしてしまいました。)
秋「たまらんね〜。」(それはさぞご苦労なことですね。心中お察しいたします。)
患「たまらんよ〜。」(ありがとうございます。)


詳しく話を聞いてみると、通っていた病院で骨は付いているので、
ギプスを除去すると云う段階になっても、ギプスを外すと痛みで
全く足がつけないとのこと。早速診察台に上がって診てみると、
患側の左足が右足に比べると極端に短くなっていて、膝が伸展出来
ていない状態、右肩は頭方に上がり、やけに右の胸が緊張しています。


患「松葉杖ついとるけん肩やら腰が痛いっちゃんね。」(松葉杖をついているので、肩及び腰に疼痛が出現しています。)
私はさもありなんと、納得しつつ胸筋と鼠径部と膝窩の圧痛を触診しては、悶絶していただきつつ動診、そして操法へはいって行きました。
患「おっ!さっきよか、全然よかよ。」(先ほどよりも、足の様子が改善しているように感じられます。)


かなり歪みも改善したようなので終了し立ち上がって様子を見てもらうと、ギブスを外している不安感はあるので体重をかけることは出来ないけれど、肩や腰の症状はほぼ消失、関節可動域も改善していました。帰りは本人の希望でギブスを着けて帰っていただきました。一週間後にはドタバタはしながらではありましたが、ギブスを外して来院されました。
患「ホントに不思議やね〜。痛くないリハビリってあるげな知らんやった。」
   (本当に不思議なことってあるのですね。痛みを感じずに、
    気持ち良くからだの造りを操ることでからだの機能回復が
    出来るなんて存じませんでした。)


操体を学ぶ私たちにとっては、常識的なことであっても、世間一般には中々理解していただけないって事があります。ひとつ間違えばマジックか超能力か?と訝しがる方もおられるかもしれません。でも、実際にやってみて変化したときの喜びは臨床をやっていて本当に良かったとこころから感謝したくなる瞬間です。


大変長くなりましたが、今回で秋穂一雄のブログは終了となります。本当に読んでいた方つたない文章でご迷惑おかけしました。これからももっともっと魅力的な実行委員の仲間のブログが続きます。これからも宜しくお願いします。次はフォーラムの本拠地東京に戻って鵜原実行委員の登場です。


鵜原さん、出番ですよ〜!」


一部方言の翻訳に誇張及び、拡大解釈した内容が含まれていることをご了承ください。



秋穂 一雄