東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

そうたい?そうたい!たいそう?

操体って言葉を我々は日常のように日々口にしております。多分、口にしない日は1年間の中で無いと思われます。


ですが、私が開業をしているここ、島根県においては操体?そうたい?体操?などなど、操体に関しては正に空白地帯・・私も開業して5年が来ますが、操体と解っていて来院された方は僅か2名だけです・・・
ですが、その内のお一方は子供の頃に仙台に住んでいて、操体を体験した事があるという話しで
した。


恐る恐る誰に操体をうけたのかを聞いてみると、な・・何と創始者 橋本敬三その人だったのです。年齢的にもまさかとは思ったのですが、その方が子供の頃に体調を崩し、どこか病院で診てもらわなきゃって時におばあちゃんにあたる方に、「翁(おんころ)先生に診てもらうと良い」と言われ、品のあるお爺ちゃんにカラダを診てもらったのだそうです。


何をやられたのかまでは覚えていないそうですが、たった一つ覚えているのが、やはり手なんだそうです。フワッと包まれる様なあったかくて柔らかくて、何とも言えず心地良いのだそうです。これって今回の春期東京操体フォーラム今美代子さんも同じ事を話しておられましたね・・
その感触はそれから数十年経った今でもハッキリと覚えていると、熱く語って帰られました。


まぁ、そんな操体空白地帯の島根ではありますが、唯一私が住む宍道町(シジミで有名です)では60歳以上の、特にご婦人方には耳馴染みであり、私は“体操のお兄さん”ならぬ操体のお兄さん”なのです。


と言いますのも宍道町では60歳以上の介護認定を受けていない方々を対象に「転倒予防教室」と題して、幾らかの年会費を払えば“ソフト・エアロ”、“3B体操”、そして操体法の全て、若しくはチョイスして受講が出来るというシステムになっており、私がその中の操体法の担当となっているのです。



“88健康館(はちはちけんこうかん)”と言う名称がついているホールで教室を行っているのですが、最初は60歳以上という事で、大丈夫かなぁなどと一抹の不安を覚えつつも、成るようにしか成らないという私の生き方なので、特に深くも考えずスタートしました。


何だかんだで、今年で3年目になるのですが、最初に先ずビックリしたのは戦中・戦前生まれの方達のポテンシャルの高さでした。大丈夫かなぁなんて失礼な話しで、元気も元気、重心安定の法則や重心移動の法則も今では様になってきて、「せんせ、そーで ねじーやつは足のどこにどげすーだったかいねぇ?(先生、それで捻転は足のどこにどうするんでしたっけ?)」などと島根県以外の人が聞くとカタカナで書いてあると外国語の様な感じに見えるかも知れませんが、普通な会話です・・・
今ではお姉様方も般若身経の動きも様になってくるようになりました。



今、参加していただいているお姉様達はとても調子が良い様で、元気に畑に出たり、グランドゴルフやゲートボールで各地を転戦しているとのことで、「せんせのお陰ですよぉ」などと言われると、お世辞だと解っていても嬉しくなるものです。


今の日本が長寿国だと言われているのはこの戦中・戦前生まれの方までで、戦後世代は間違いなく短命になると言われているのが、よく解ります。「戦時中は何でも食べたよぉ、食べるものが本当に無くて、松の皮を剥いで食べた事もあったよ」などと、今なら考えられないような話しもしてもらえます。食べられない、飢餓という経験をした人間の強さをこの年代の方達からは感じます。


以前フォーラムでも話しましたが、短命化の大きな原因は『食生活』にあると思います。戦前までは栄養を“営養”という表記をしていたと、命は食は営むモノであり、決して栄えるものでは無いと思います。


昔から一汁一菜が一番の健康の秘訣と言われますが、これも全て身土不二の考え方に基づき、自身が歩いていける距離で採れたモノを旬のタイミングで食べるという、一昔前では当たり前だったことが、逆に現在では難しくなっている。


外国からホームステイで日本に来た外国の方から、日本はとっても可笑しい國だと、ホストの家庭の方に言われたそうです。
その理由は何で毎食、多国籍料理の様な食事になるのか不思議だという問いだったそうです。朝食を見ると、パンと味噌汁と中華風の料理みたいな、あまりにも統一性のない食事にビックリしたそうです。
その様な食べ合わせをしていれば具合が悪くなるのはごく自然の事だと思います。



話しがドンドン脇に逸れるので元に戻しますが、教室に来るお姉様方は話しを聞いてみると、やはり昔ながらの日本の食卓といった食事をなさっていました。一つの素材で沢山の料理を作るのが腕だ!とお姉様方は胸を張っておっしゃいます。茄子が沢山出来れば、煮染め・焼く・浅漬け・味噌で和えるなどなど、一つの素材で多種多様な料理が作れると、「今の若いもんわぁ(今の若い人は)」と豪快に笑う姿がナイスです。話しが止まらないお姉様方なので、以上で切りますが・・・
その様なお姉様方に囲まれ操体教室は今日も進んでいきます。



PS 今月から松江市のこじゃれたスポットで一般の方達向けの操体教室』が始まります。今迄の60歳以上限定の呪縛から、若い方達も対象となって来ましたので、これまたギャップを楽しみたいと思います。



操体のお兄さん 福田勇治