東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

枕について 5月31日  

今週は雨の多い1週間でした。雨に似合う花を撮りました。




曇り空をみていると、日がなまどろんでいたい気持ちになります。
ところで、私は眠ることが大好きです。
布団につけば、のび太のように3秒のうちに寝息を立てています。列車の旅では、景色がのどかになる前に意識を失うので「情緒のないやつだ」と言われます。眠るネコを見ていると眠りに引き込まれます(それは普通か)。


こんなふうに書くと不眠症の方にはうらやましがられそうですが、そんな私でも、一時不眠だった時期があり、不眠によって2次的、3次的に生じるつらさも経験しています。


よい睡眠を得るために私が参考にしたのは精神科医の神田橋條治先生の著書と整形外科医の山田朱織先生の著書です。


神田橋先生は、養生のコツは「気持ちが良い」を信じることだとおっしゃっています。いつでも、「気持ちがいい」という感じをつかんで、それを羅針盤にして進むことが大切だそうです。


著書「精神科養生のコツ」には、その人その人にあった枕の作り方も載っています。タオルケットを折って巻いていく方法ですが、形や硬さ加減は「首の気持ちいい」ものをつくるといいそうです。


山田先生は布団と枕の上に寝た状態で、後頭部、背中、臀部がバランスよく沈むような状態になるように寝具を選ぶよう勧めています。


山田先生の病院には山田朱織枕研究所が併設され、その人にジャストフィットした枕を作ることができます。
ここで「枕診断士」が計測、診断し、作るというわけです。


なぜ第3者が診断するかというと、「気持ちが良い枕=自分に合った枕」とは限らないからです。間違った思い込みで枕を選ばないように、第3者が診断、処方するということですね。


両先生の意見は操体臨床家の目線で見ると大変興味深いです。


気持ちのよさをききわけていただく時に、「からだが要求している気持ちのよさ」と、からだ以外の要求に従った気持ちのよさ、これらを区別しないで生きることは、大きな差を生むのではないでしょうか。


枕の選び方を通して、どんな気持ちのよさを選択していただくのか、患者さんとテーマにしていくのは楽しい学びです。腰痛、不眠など、ダイレクトに変化を体感していただくことが多いので、「環」についての話も、深く理解していただく機会になります。
さて、1週間のおつきあいありがとうございました。
来週からはリハビリのことはこの人にお任せ!横森さんにバトンタッチです。よろしくお願いします。
皆さまにしあわせなねむりが訪れますように。
おやすみなさい。



森田珠水
<参考文献>
「精神科養生のコツ」神田橋條治  岩崎学術出版社 
「枕革命」山田朱織   講談社+α文庫