東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

父の日

ついに2周目に突入いたしました博多の秋穂です。


この週末は宮城内陸地震の衝撃的なニュースで日本列島が悲しみに包まれていました。当フォーラム顧問今先生を始めこの度の震災で被災された皆様が1日も早く落ち着いた生活に戻られる事を願っております。


5月15日の日曜日、そう今日は父の日です。
今日は奥さんと娘をつれて奥さんの実家へ父の日参りをしてきました。この義理の父は偶然に私の操体の患者さん第一号になっていただいた人です。まだ私がフォーラム理事長三浦先生の講習会に参加して勉強させていただいていた頃お付き合いを初めて間もなかった奥さんのお宅へ初めて挨拶をしに行きました。カッチカチに緊張しつつ初めて両親との食事をしているときの事でした。


義父「ところで秋穂君今仕事は何をしているの?」


秋「え〜っ、今操体というものを勉強させていただいています。」


義父「面白いね〜その歳(当時29歳)まで勉強とはたいしたもんだ。
   その操体っていうのはそんなにいいもんなのかい?」


秋「勿論です。気持ちのよさを味わっていただく事で、からだの歪みを正して
  症状疾患を取り除くという素晴らしい未病医学です。」


義父「最近、良く足がつるようになってしまったんだけど何とかならないかい?」


私は足趾の操法をいくつか通させていただきました。


義父「気持ち良いね〜。足が本当に軽くなったよありがとう。」


無事に初対面の挨拶と初操体を終えてほっと胸を撫で下ろしていたある日、突然電話に連絡が入りました。


奥さん「大変なのお父さんが脳梗塞で倒れて病院に入院しちゃた。
    意識は戻っているんだけど、麻痺が残っちゃうらしいの、
    本当にどうしたらいいかわからなくて・・・。」


秋「本当にどうしたらいいんだろう・・・」


僕は三浦先生に相談しました。


三浦「んだなぁ、まずなるべく早くからピンセットで麻痺した所の皮膚を
   刺激してやれ。しばらくすると反射で動き出すから。
   それから、頭皮がこわばってると思うから、皮膚に渦状波だな、
   それと良〜く目を見てみろ動きが悪くなっているから。」


早速、私は病院を訪ねて集中治療室から出たばかりの義父を見舞いました。薬が効いて意識のもうろうとしている義父に操体の先生からアドバイスを頂き出来るだけ早くリハビリを始めさせて欲しいという旨を伝えて右手をピンセットでつまみ始めました。最初はうんともすんとも反応が出ず不安を抱えながらではありましたが、「三浦先生がいわれた事だから間違いはない。」とただひたすら麻痺側の皮膚をつまみ続けました。どの位たった頃かは忘れましたが、突然義父が「お〜っ、手が勝手に動くぞ。」と陸につり上げられた魚のように右手をバタつかせ始めました。しばらくピンセットでチクチクしたあと、頭皮と瞼の硬結部に渦状波を当てて、義父がすやすやと眠りについた所で終了しました。この日からしばらく病院に通いピンセットを続けていたら同じ病室の患者さん達にも「へ〜っ、脳梗塞にはピンセットが効くんだね〜。」とちょっと勘違いされながらもみんなでチクチクしていました。後日義父が話してくれたのですが、このピンセットで刺激しているうちに麻痺して感覚すらない手が動いた事という事で、リハビリをまじめにやれば動くようになるんだと確信したのだそうで、それからは病院のリハビリも脳トレもまじめにやるようになったそうで、なによりも意識の在り方が変わったという事を本当に喜んでいただきました。本人の努力のかいもあって今では若干の握力の低下は残っていますが、好きなゴルフを楽しめる位に回復されています。それともうひとつこれは偶然だと思うのですが、倒れる前に足趾の操法をやっていた足には全く麻痺が現れなかったということで、義父は心底操体を受け入れていただき、今でも家に行くと早くやってくれといわんばかりに「いや〜操体法は本当にスゲ〜よな。」と迎え入れていただきます。


操体の臨床は恐ろしく奥が深い(懐も深い)。皮膚へのアプローチにしても患者さんのその時の在り方によって縦横無尽に変化してくる無限の可能性を持っている。そしてその無限の可能性の探求者が橋本先生であり三浦先生なのだと思う。明治維新の立役者西郷隆盛は「西郷という男はどれだけ大きいかわからぬ。釣鐘の様な奴で、小さく叩けば小さく鳴り、大きく叩けば大きく響く。こちら次第に応ずる。得たいの知れない大人物さ。」として坂本龍馬に解釈をされているが、三浦先生も操体の質問を投げかければ初学者にはわかりやすく、熟学者にはより理解を深めるように課題を含めた回答を返してくれる。たまに博多の私の整骨院操体を学びたいといって見えられる方がおられるのですが、僕はそのような方にも「出来れば東京に行って三浦先生の講習を受けた方がいいよ。」と勧めています。それは私自身が操体を三浦先生の元で学ばせて頂いて本当に良かったと思っているからにほかなりません。フォーラムに参加されているかたで「何を質問すればいいのかしら〜。」なんて出し惜しみしている方、もったいないので是非どんどん質問してみてください。必ず良いお土産を持たせてくれると思います。


最後になりましたがこの場を借りて私達操体を学ぶものの「操体の父」三浦理事長にもお礼をさせていただきたいと思います。いつもいつもご迷惑ばかりかけて申し訳ありません。少しずつでも三浦先生のような操体法指導者に近づいていこうと思いながらも、至らない事ばかりで歯がゆい思いばかりされているのではないかと思います。自分でいうのもなんですが、本当に出来の悪い教え子ですので、なるべく先生には元気で長生きしていただいて、生涯「馬鹿ちん。」と叱っていただかなければいけないようであります。私たちに操体の学び方を教えていただき本当にありがとうございます。



秋穂一雄 





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