東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

まだ見ぬ我が子との対話

最近、妊娠中のうちの奥さんのお腹のサイズが尋常では無いと思ったら早くも十ヶ月目に入り臨月を迎えていた。普段から毎日のように「操体やって〜」と足を投げ出してくる奥さんに(注 うちの奥さんの中では操体とは足趾の操法のことである。)嫌々ながらではあるのだが足趾の操法を通していた。その甲斐もあってか、奥さんはあまりつわりもひどくなく、特に「あそこが痛いここが痛い。」と口にせず、平穏な妊婦生活を送っていたのだが、この所さすがに突き出たお腹が余程重たいとみえて、動きも極めてスローリーになり、口癖も「どっこいしょ!」と口にする事が多くなってきている。なによりも一番大変そうなのがお腹の中のならず者の存在らしい。朝晩関係なくお腹の中でブレイクダンスを踊っている様子で一度踊り始めたら誰にももう止められないのである。先日あまりの奥さんがキャーキャーと騒いでいるのでお腹に手を当ててみたら思いっきり手を蹴られた。産まれる前から積み木崩しなんて将来が本当に思いやられる。さすがにこんなに蹴られていると知ったら奥さんが可哀想に思えて僕の方から「あし揉んどく?」と優しく声をかけてみる。うんうんと二、三度頷きながら奥さんは仰向けに足を投げ出した。始める前に投げ出された足を良く観察してみる。良く見慣れた足相ではあるが最近特に内くるぶしの辺りがボッコリと膨らんでいる。足底からゆっくりと揉み始めた。ユッサユッサと揺れるお腹を眺めながら足趾の操法は続く。足底から土踏まずをまんべんなく揉み、内くるぶしの辺りに差し掛かった時奥さんが不意に口を開いた。「うぁ〜っ、そこ気持ちぃ〜ぃ。」気持ちの良い所は満足するまで味わって貰わないと罰が当たるので「気持ちいいのが消えたら教えてね。」と十分間位揉み続けていた。「ああ〜気持ちよかった。もういいよ。」すっかり満足した奥さんは終了の合図をしてくれた。ほっとした僕は内くるぶしを押さえたまま足底の揉みの操法を納め「もっと早く切り上げてくれればいいのに・・・」なんて思いながらも、「なんか動きたくなったら自由に動かしていいよ。」と内くるぶしの皮膚に手を触れたまま脱力した奥さんの様子をうかがっていた。「ちょっと動いてみていいかいな。」動診嫌いの奥さんが足をもぞもぞ動かし始めた。両膝が屈曲して来てゆっくりと左右に揺れている。僕は邪魔にならないように内くるぶしに手を当てたまま、奥さんの動きに付いて行っていた。内くるぶしに当てた両の手を両膝が挟むような姿勢になるので一見窮屈そうなのですが重心移動さえ間違えなければ両手関節の内旋をしているみたいで気持ちがいい。しばらくふたりで気持ちよさを共感していると突然グゥルンとお腹の中のならず者が動いた気がした。「あっ、赤ちゃんも操体しようよ。」奥さん曰くお腹の中で何やら伸びたり縮んでみたりしている模様。ふたりで味わっていたつもりがどうやら三人で味わっていたようだ。これ以降お腹の中のならず者は大人しくなりましたと書く事が出来れば素晴らしいのだが、そうは問屋が卸さないらしく、今でもやっぱり荒くれている。やっぱり将来が心配だ。ちなみにうちのお腹の外のならず者の4歳の娘は、最近足揉みを覚えて、僕が足を投げ出していると気分が乗れば足を揉み揉みしてくれる。天性の才能があるのか僕よりも断然筋が良い。これはこれで将来が楽しみだ。


馬鹿親日記 秋穂一雄



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