東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

立つ

みなさんは立つというとどんなイメージをお持ちですか?



辻は立つことが好きである。
電車に乗るときなども、どんなにすいていても座席に座ることは殆ど無い。
同行者には、「変わってるね」と言われたりするが、性分である。


最近は若い人でも平気で座る人が多いし、立っている人でも吊革に頼って足下が不安定なのをよく見掛ける。
自分の足で立つということができていないように思われる。



立ち姿というのは大切な文化だと思うのだが。



今でも学校などで廊下に立たされるというのはあるだろうか。(初めて立たされたのは幼稚園の頃だったな…)
本屋なども基本的に立ち読みである。
おかげさまで、立つ事には慣れっこである。
長時間立ち続ける為には無理の無い姿勢でなければいけない。



操体ではまず、理に適ったからだの使い方を学ぶ。
般若身経と呼ばれ、次回のフォーラムのテーマでもある。
これは、誤解されがちな、単なる健康体操や施術後の運動指導のようなものではなく、操体を学ぶ者にとっては必要不可欠であり、これの理解無しには先へ進めないものである。


その中の一つ、重心安定の法則をご紹介したいと思う。



1、両足を腰幅に開く


2、つま先と踵を平行させる


3、軽く背筋を伸ばす


4、正面の一点に目線をすえる


5、両膝の力を抜いて緩める



この時大事なのは、手は小指(尺骨側)、足は親趾(脛骨側)を効かせるということである。
からだの正中に力が集約され、腰を要としたからだの使い方ができるようになる。



立つというのは止まった状態ではないと思う。
動きを前提としての働きを持つ基本姿勢である。
そこに無駄な力みがあってはいけない。
この力みを抜いてくれるのが親趾であり、腰(の中心)である。
体重を乗せるのは親趾の付け根(足心)だが、趾自体が使えるともっと活きてくる。



この秋のフォーラムでは、テーマにある通り、般若身経三昧です。
臨床の中での般若身経、般若身経から操法へなど、様々な角度から味わえると思います。


お楽しみに!



辻知喜



<補足 2008.08.25>
重心安定の法則について簡単な説明を。
理解の進みにより、随時更新します。


1、両足を腰幅に開く

まず一つ目、腰を要としたからだの使い方という点で、狭すぎず、広すぎず、腰を基準に真っ直ぐ下ろした位置がこれに当たる。
足の幅は、重心の位置に関わる大事な要素である。


2、つま先と踵を平行させる

つま先の向きは膝の納まりの角度となる。
ということは、からだの進行方向につま先を向ける必要がある。
学校などで教わる気をつけの姿勢のような踵をつけた立ち方だと、体重が後ろに掛かり、背中が必要以上に反りやすくなる。
膝の柔軟性も保ちにくい。
つま先が平行だと、膝を緩めたときに正中を向いてくるので安定した姿勢となる。


3、軽く背筋を伸ばす

背筋が伸びていると、姿勢がいいと思われがちだが、行き過ぎると窮屈になる。
ゆったりと脊柱の弯曲を保ち頭の重さを支えるようにする。


4、正面の一点に目線をすえる

この目線というのは、連動において重要な役割を果たしている。
からだの外側の動きと内側の動きを繋ぐものである。
より質の高い動きを求めると内側からの動きが必要となってくるのだが、この時、目線が助けてくれる。


5、両膝の力を抜いて緩める

膝を伸ばした状態は不安定である。
呼吸の際、重心は前後に揺れが生じるが、膝が伸びていると影響を強く受けてしまう。
親趾の付け根(足心)に体重をのせる為には、この膝の緩みが必要となってくる。




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