東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

再考 日本人と食

いよいよ最終日となりました。。。この一週間は文筆家と漫画家、両方の苦労が染みて解った一週間でした。最後までお付き合い願います・・・


“基本食”Basic Foodとでも言いましょうか、皆さんの基本食って何でしょうか?ここで言う基本食とは“穀物”のことです、いわゆる主食ですね。一日に食べる“穀物”の量を考えると意外とばらけている場合が多かったりするのです(特に若年層になるほど)。
朝はパンで小麦系、昼はパスタでこれ又小麦系、夜もビール(麦系)と軽食で済ます、などと考えると、日本は“お米”のお国柄と言いながらも、気が付けば米飯以外を日常的に主食で摂っていることに気が付きます。


残念ながら、今の栄養学は“カロリー”を土台に食のバランスを考えているために、炭水化物は単純に = “エネルギー摂取物”と考えているところが有り、主食と言いながらも残念ながらカロリーの帳尻併せに使われている向きもあり、朝は食べやすくパンにジャム(バター)をつけて摂りなさいとかここでも“カロリー”と各食品個体の栄養素とカロリーが重要視されるあまりに“素材”を無視した指導がなされています。
顕著なのは“糖尿病”などのカロリー制限がある病気に関しては、極端に主食量を減らすなどの調整により、『数字あわせの栄養学』とでも言うべき指導がされています。


これで本当に良いのでしょうか?人間の身体って単純に一日の総カロリー数の比で割り切れるほど単純なのでしょうか?そして栄養のバランスとおっしゃって一日何十品目も摂らなければならないほど、複雑なのでしょうか?


橋本敬三先生も著書の中でおっしゃっているのは、成人の歯の本数は28本であり、前歯(8本)は野菜などを切る歯、犬歯(4本)は肉類を噛み切る歯、大臼歯・小臼歯併せて(16本)は穀物や海草類をすり潰して食べる歯と分類されています。
これを人間の歯の数と食べ物の関連性として考え、歯の本数対比で肉1:野菜2:穀類・海草類4の割合で食事を摂るのが理に適っていると説いておられます。


これこそ“日本人”の食を考える際の基本であると思われ、“カロリー”を重視するのではなく、どの類の物をどれ位、食べるのかが重要になると思われます。
以前、フォーラムで食について話をさせて頂いたことがありますが、“食”を考える際に重要なのは“栄養価”などではなく
? 歴史があるかどうか(食べてきた)?
? 何処に住んでいるか(環境による食性)?
? 旬の物であるか?
主にこれら3つが挙げられると思います。
どんなに科学や栄養学が進んでも、食べる側の人間は根本的に変わっていない訳ですから、大きく食環境は変えるべきではないのです。


現在は昔に比べ“流通”“情報”利便性が上がってきていますので、とかくテレビでこんな栄養素が多く含まれているので身体に良いですよ・・・などと言われると情報に踊らされ、企業側の金儲けの論理に消費者が振り回され、何を食べればよいのかといった本質的な部分を見失っているのです。


それを食べるだけで健康に成れたり、秦の時代に始皇帝が求めた様に不老長寿の薬などは世の中には存在する訳がありません。
それと同じように、今の日本人はただただ有りもしない“超万能食品”を求め右往左往しているその姿は滑稽以外の何者でもありません。


日本人の死亡原因のトップはご存じの通り、昭和56年よりず〜っと悪性新生物(ガン)です。死亡者数は約30万人にのぼり、日本の全死亡者数の3人に1人は悪性新生物による死亡です。
この悪性新生物の傾向としては男女で顕著に傾向が分かれ、男性においては“肺がん”がトップで、女性に至っては“大腸ガン”がトップとなっており、共に上昇傾向にあるようです。
男女いずれもハッキリしているのは“大腸ガン”が上昇傾向にあるということです。


これは何故なのでしょうか?考えられるのは人間にとって最も大切な、『消化機能』の低下です。低下という表現は正しくないので、言い換えれば“消化しにくい食品摂取の増加”です。
私達は通常食べたものが咀嚼や酵素などの働きで消化され、小腸で吸収されることで栄養として作用することが出来るのですが、この『消化』に問題があるのです。


ついつい我々は食べたものが全て消化され、吸収されているのだと思い込んでいるのですが、実際の所は大腸に消化しきれない物がヘドロ状態で溜まっていく訳です。
腸温が約37度だとすると、その環境に未消化の食べ物が有ることを想像すれば、容易に大腸ガンの増加理由が解ると思います。


では私達日本人にとって消化しやすいベストな食材とは一体何でしょうか?間違いない物としては『歴史的に食べられて来た物であること』ここ数十年の食環境の変化によって俄(にわか)に食べられた様な物ではないことが大事です。
戦後世代と言われる人たちが、米国主導の食政策により余儀なく組み込まれた様な食習慣などではなく、歴史があり日本人が古くから食べてきたものと言えば、やはり『ご飯(お米) 』であり、その土地に季節毎に出来る野菜が安全且つ消化・吸収の良い物だと言えると思います。


最新の研究によれば米食弥生時代ではなく、既に縄文時代の後期には始まっていた様であり、少なくとも三千年の歴史が有るということになります。
我々の祖先が安全な物や解らない物などを自らの身体を実験材料にしながら、見極め、そして食べ伝えて行ったのだと思います。
我々のDNAにはご先祖様から受け継いだ“米”が安全であり、身体を育んでいくのに最も必要な栄養素なのだということを明確に身体が『記憶』しているということです。




これから日本人が健康に生きていく上において重要なポイントは、ご先祖様が食べ繋いできた“米”に主食を戻し、未消化の食物を身体に残さない、正常な“体内サイクル”を作ることだと思います。そうすることで、大腸ガン系も含めた消化器系の疾病のリスクも軽減出来ると思います。


今、日本の食料自給率は27%であり、先進国トップのオーストラリアの333%に比べるとお話にならない状況です。第二次世界大戦でもそうであった様に、日本は輸入を止められてしまうと国自体が機能不全を起こしてしまうという末期状態なのです。


食の安全が叫ばれて久しい昨今、あれやらこれやらと食べずとも、今一度“足元”をよ〜く見て、日本の基本食『Basic Food』お米を中心に据えた、真の健康生活を作る様に考えていきたいものです。歴史は真実を語り、歴史は嘘をつきません!
ご先祖様に感謝し、今日もお米を腹一杯食べたいと思います(稲刈りも終わりましたし・・・)。


今週一週間拙いブログにお付き合いいただきありがとうございました。来週からはお待ちかねの三浦理事長です!今回はどんな話が聞けるのかほんと楽しみです。宜しくお願い致します。



福田勇治



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