東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「いきとどく」

一週間のブログも今日で終わり、校正執筆とダブルで追いかけてきたので、十分チェックを入れられなかったけど、お付き合いいただいて有難う。なかなか楽しかったよ。
ブログの最中、横森君から手紙をもらって終えることができて感謝している。


皆さんのブログ、なかなかいい形で波動し、共鳴し合って、とてもいい流れを作り出しているなァーと思います。肩の力が抜けて、一人一人の思い想いのなかで、個性あふれるハーモニーを奏でていますネ。継続は力なり、このブログもきっと、一人一人の思考の底力になることでしょうね。


最近、糸を引くようなコトバがフーと消えてはフーッと浮かんでくることがある。ブログにも書いたけど「わからないってことが臨床」だというコトバや、「感じること、感じとることが大切」だというコトバもその一つでした。


何か、私の中で人生の問いかけとか、臨床の原点につながるような、ヒントがあるような気がしています。


この間の講習で、西田をつかまえ
「西田、おまえ、うまいんだけどヘタなんだなァー」と。
やはり当人はキョトンとしている。
師匠、ほめてくれるんだったらちゃんとほめてくれと言いたそうだが、ほめられてるんだか落とされているんだか、当人、これじゃバツが悪いよ。


こんな言葉を口にするというのも、私の臨床観がそう言わせてしまうのだ。
要はうまいんだけど、熟知されてのうまさじゃない。それは、生かすのと生かしきるとの差ともいえる。それは、その動きのことがどこまでわかっているのか(的確な情報とその分析処理)どうか、ということと、その動きのことと、自分の動きとのハーモニーの問題
(ハーモニー=調和)。


その動きそのものは、患者の主体主動だが、その動きを誘導するのは操者である。それによって、患者の動きがからだの動きとなる。
臨床では、操者の熟知されたそのサポートがあって、快のききわけと、その快感度の質をよりグレードの高いものへと導くことができる。指導者の存在の意味がある。


臨床上でなぜ、私が存在するのか。
その目的意識をハッキリ認識しておく必要がある。それがハッキリ意識できたら、どう介入していくことがその目的に適うのかを、一つ一つ総括してとらえていく、と全てが調和してくる。
全てが行き届いておさまりがつく、という行程を熟知するに越したことはないのだ。
俺は、なぜおまえがヘタなのか、ちゃんと説明したな。納得したろう。納得できれば、ヘタクソと言われても気分がいいだろう。
指導するってことは、よくよくわかっていないと、いつかメッキがはがれるものなんだよ。一日一日と本物になっていくこと。ブログにも本物という言葉を使っているけど、本物というのはどういうものなのか、ブログ見てなければもう一度目を通してみなさい。


骨董の世界にはね、ニセ物を売って、それが発覚したら3倍返しという掟があるんだ。売った者が買い主に3倍にして返金、返済することなんだ。実際に僕自身が体験したことなんだが。


ある骨董屋のオーナーが、是非そちらにある、ルネ・ラリックの作品を見せてくれと言ってきた。治療所に来てもらい、1点1点、手にしてもらった。そのうち何点かを譲って欲しいと言われるので、その数点、わけて差し上げた。このオーナーは、ルネ・ラリック専門の商いをやっておられる。プロ級のプロ、まあ、ルネ・ラリックに魅せられたきちがいの一人かな。俺も相当ルネ・ラリックにいかれているが、きちがい沙汰は月とフンドシほどの差がある。


ルネ・ラリックは、ヨーロッパの工芸美術のアールデコ、アールヌーヴォーの時代を代表するガラス職人。巨匠の一人。彼の作品はガーレーと並び美の最高傑作だ。好きだったねェ。今もそうだけど・・・。


俺のところから数点持ち出したのはいいが、帰路の246号線で愛車ベンツもどきが釘を踏んづけてパンクしてしまったんだな(珍しいこともあるもんだ)。当の本人、何かイヤな予感がしたんだろうな。店に戻って一点一点改めて目利きしたら、一番ヨダレをたらして欲しがったその作品(ラジエーター)が偽物だとわかったんだな。
数時間後再度私のところに引き返し、
「オレとしたことが・・」
「熟知していたが、ツメが甘かった」とうなだれる。


この場合、オーナーが領収書を切った時点で商談が成立し、譲った私の方は返金する必要はないのである。その逆にネ、買った客が偽物をつかまされて返金を要求された場合、3倍返しのルールがおこるのだ。たとえば300万円で買った場合、900万、支払わなければいけないということだ。そこで私は当初私に売りつけた骨董屋のオーナーを呼びつけ


当時、買ったあのラリックね、あなたも、同業のよしみだから、青山のラリック専門の○○さんと言えばわかるだろう。その、オーナーが偽物と見抜いたんだ。
「わかるな わかったら何も言わぬから今すぐ反応しろ」


オーナーは真っ青だ。プロであれば「まけてくれ」とも言えないのだ。骨董の免許は、その業界の推薦人が2,3人いればとれるんだがネ。
こんなことも事実、あるんだから、楽な仕事なんてないんだ。きわめること、診立てをきわめることは生涯のおつとめだよ。


ブログの最終日、
こんなところで、お、わ、り、ま、す。
明日から森田だな。たのしみに、読ませていただきます。



三浦寛



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