東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

昨日の続きです。

昨日は、それからしばらくしてゲイラカイトなる外国製の凧が出てきたというところまでで、終わりとしましたが


このゲイラカイトが出てきた時というのは、当時の私たちにとっては黒船来航みたいな感じでした。
それまでは、四角い凧や奴凧など竹の骨組みに紙というのが一般的で定番でしたがこれは三角形をしたビニール製で、それとなんといっても上から見られているようなあのギョロッとした目のデザイン、それまでの常識を覆すような、まさに黒船来航だった。
それまでは、凧揚げというと正月の風物詩的な情緒があり、比較的晴れて穏やかな日が多い正月に、その風景と一体になって楽しむ感じの、何かほんわかしたムードがあったのですが、これは凧というよりもそのままカイトと呼んだ方が良いような、何か今までと違う雰囲気がありました。


テレビのCMで見た時は、あんなもんは凧じゃねぇやいと思っていたのですが近所の大人が揚げているところをみて、ビックリしてしまった。
畳めてあるゲイラカイトを拡げて裏に横棒を通し、凧糸を正面の正中に沿って付いているこれまた三角形をしたピラピラしたビニールのところに結びつけ、ただ凧糸を緩めていくだけでグングン真上へ揚がっていってしまう。
今までは、誰かに凧を持っていてもらったり、どこかに立てかけておいたりしてからダッシュで走って揚げていたが、これは何もせずとも真上へグングン揚がっていく。
風が止んできて、傾いてフラッとしてもクィクィッと引っ張れば、下のビラビラした部分をバタつかせて、またグングンと上昇していく。
あんなものと思っていたのに実物を目の当たりにしたら、急に欲しくなってしまいました。


近所の駄菓子屋では売ってなかったので、街のおもちゃ屋まで自転車を飛ばして買いに行きましたが、値段もこれまた高かった。
伊藤博文の千円札を1枚持っていったら、100円玉が1枚か2枚ぐらいしか戻ってこなかった記憶がある。近所の駄菓子屋の凧の倍か3倍ぐらいの値段だったと思います。
高っけぇな〜と思いながらも正月明けだったので、お年玉で買ってしまいました。


家に帰って、どんなツクリをしているのだろうかと、袋から取り出して見てみると、本当にシンプルな構造で、三角形の2辺と正中にプラスチックの骨組みがあるだけ。
今まで、四苦八苦して竹の骨組みを作っていたのに、こんなもんで?という感じだった。


早速、小学校の校庭に行って揚げてみた。
凧糸を結びつけると、もう飛んでいきそうな勢いだ。
そのまま凧糸を緩めて引き出していくと、グングン上へ揚がっていく。
引き付けも強烈で、右手の人差し指と親指の間に凧糸を挟むようなかたちで引き出していったのですが、人差し指の内側が摩擦で擦り切れてしまうような感じだった。
それと、この当時の付属の凧糸は、円柱形の棒の上半分に凧糸が巻き付けてあり、急激に揚がっていく時、巻き付け部分を持っていると指を痛めやすかった。
なんにしても、初めて揚げて80M付いていた凧糸があっという間になくなったしまった。
それにしても良く揚がる、そして簡単に揚げることができる。


しかし、何かが足りない。
これはカイト遊びなのだと区別してしまえば、それで良いのかもしれないが。
今まで、いろいろ工夫しながら手作りした凧が揚がった時の喜びや、揚げているときも風の状態によって糸目を束ねる位置を調整したりとか、うまく揚がらなかった時は尻尾を余分につけたり、位置や長さを調整したりして自然の状況と調和し、より良く揚がる様に工夫していく面白さや楽しさを味わったことがあれば、なんの工夫なしでも高く揚がってしまうことに対して、なにか物足りなさみたいなものを感じてしまう。
誰でも簡単にすぐに高く揚がるということは、慣れてくるといい加減にやっていても高く揚がるということにも繋がってきて、次第に夢中になれなくなってきてしまう。
自分の場合、スゴイな〜と飛びついたのも早かったが、飽きるのも早かったように思う。
プラモデルでも部品から一つ一つ組み立てていくから面白いし、完成品にも愛着が湧くのだけど、いきなり完成品を買ってもらっても、面白くないですよね。


やはり、そこまでいくプロセスも重要で試行錯誤しながらワクワクしたりドキドキしたりの中に新たな発見、気づきや学び、面白さ、楽しさがあり、それが一つのことを達成した後でも他の事柄でも十分に活かされてくるのだと思います。


創始者、橋本敬三先生は「操体はおもしろいぞ、一生たのしめるからな」と話しておられたそうです。



それと、去年の秋の東京操体フォーラムでの質疑応答についての実行委員による回答が昨日から掲載されておりますのでクリックしてみてください。




友松誠




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