東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

βエンドルフィン

七日目の最終日よろしくお願いします。


3月11日に脳内で痛みを記憶したり、身体の痛みを作りですことができるという最新文献を紹介させていただきました。(3/11のブログ参照してください。)
脳のどこで痛みを作り出しているのでしょうか。
βエンドルフィンってなに。
2008年のVision S 82ページの内容を教えて。
という声がありましたので、最終日の今日はそれにお答えしたいと思います。


〜脳のどこで痛みを作り出しているのでしょうか。〜
文献によりますと、慢性腰痛の方や幻肢痛の脳活動において視覚と体性感覚情報の前頭連合野外側部と身体図式が蓄積されている頭頂連合野(7野)の脳活動の増大を認めたとのことです。この領域は感覚刺激がなくとも身体知覚を生成する場所であり、痛みを知覚として形成している可能性が考えられているそうです。


〜βエンドルフィンってなに〜
2008年のVision S の内容をそのまま載せます。



「気持ちよさ」を考察する


はじめて操体を学んだとき、「楽ではダメ!気持ちよさがからだを治してくれる。だから第三者が治すことまで関与するな!」と大きな声?で言われたことを昨日のように覚えています。でも十数年も西洋医学の中にいた私は、気持ちよさで治る???
なぜだと思ってしまいました。気持ちよさを味わうだけなんですよ!治すのはからだにおまかせなんですよ!気持ちよさって不思議じゃないですか?
気持ちよさにはいったいどんな魔法があるのでしょう?
操体を学んでいくにつれて、不思議ですが理学療法士として学んできた解剖学・生理学・運動学などが一つ一つ繋がってきました。なぜ気持ちよさでからだが治るのか、なぜ操体は自力自療なのかを私なりに考察してみたいと思います。
気持ちよさを味わうことにより、脳波はα波が優位となり、視床下部ではβエンドルフィンというホルモンが分泌され、副交感神経が優位となります。
この「βエンドルフィン」がすごいのです!
人間には快楽物質となるホルモンが20種ほどあるそうですが、その中でも最強の快楽物質とされているのがβエンドルフィンだそうです。βエンドルフィンの効力は麻薬のモルヒネの数倍はあるとされますが、依存性や副作用の危険はまったくないというホルモンです。βエンドルフィンは脳内モルヒネとも言われています。数々の症例報告でβエンドルフィンと痛みの関係が報告されはじめていますが、脳内革命の著者であります春山先生の報告でも、他臓器へ転移した悪性腫瘍の難治性疼痛に苦しむ方にβエンドルフィンを3mmgクモ膜下腔に投与した結果、全例痛みから長い時間(平均33.4 時間)開放され、投与後、恍惚感を訴えた方もいたとのことです。また、ねずみを使った発癌実験で、βエンドルフィンの分泌により発癌率低下や病気にかかりにくくなる可能性を示唆された報告がされています。この魔法のようなβエンドルフィンですが分泌させるためには、快楽物質ですから気持ちよさを感じたり、前向きに考えたり、相手に褒めてもらうなど、「快」に対して分泌されるそうです。
操体では患者さん自身に一つ一つの動きに対して、気持ちよさがあるのかないのかからだに聞き分けてもらいます。気持ちよさを聞き分けられたら、味わいたい要求感覚があるのかないのかからだに聞き分けてもらうことによって、より質の高い「快」を自分自身のからだに見極めてもらうことで、βエンドルフィンが分泌される状態になります。そして気持ちよさが消えるまで最高の気持ちよさを十分に味わうことにより、βエンドルフィンが十分に分泌され、痛みを抑制する中枢神経系が働いたり、副交感神経が優位になるなどからだが治癒に向けて働きます。
第三者が気持よさや味わう時間などを決め付けてしまうという行為は、βエンドルフィンが十分に分泌されないことにより、効果がないとか一時的によくなってもすぐ元に戻ってしまうなどの訴えに繋がるのではないかと示唆されます。その他の効果としてβエンドルフィンが分泌されることで、自律神経系では副交感神経が優位に働きます。副交感神経が優位になると、涙腺は緩み、唾液腺は分泌され、血圧・心拍数がさがり、呼吸は深くゆっくりと、消化器官は亢進され便意や尿意を催し、汗腺は特に手掌が分泌されるなどの作用効果があります。気持ちよさを十分に味わうということは、これらの臓器の作用もおこるということになり、βエンドルフィンの効果とはからだの未知数の効果を引き出す魔法のホルモンなのです。
気持ちよさを味わう他にも、口から発する言葉にもβエンドルフィンは分泌反応するそうです。ただし気持ちのよい言葉、特に褒められることでβエンドルフィンが分泌されやすくなるそうです。NHKのある番組でも、子供は褒めて育てることで、βエンドルフィンの効果が得られ健やかに育つというような内容を特集していました。言葉にはチカラがあるということが立証されていると言ってもよいのではないでしょうか。
操体では「楽」を通していた時代から「気持ちよさ」をからだに聞き分け・味わうというように進化してきました。ではなぜ「楽」ではだめなのでしょうか。「楽」ということは、どちらが楽とか、治療前より楽になったというように、比較するものがあってはじめて「楽」という言葉が生まれます。この二極対比の「楽」ではβエンドルフィンを十分に分泌させるとこができないのです。βエンドルフィンは「快」にしか反応しないためだったのです。
気持ちよさについて快楽物質のホルモンであるβエンドルフィンを用いて考察させて頂きました。βエンドルフィンを十分に分泌させるためには、より質の高い気持ちよさが必要だったのです。「楽ではダメ!気持ちよさがからだを治してくれる。だから第三者が治すことまで関与するな!」これが極意だったのです。
※ちなみに「楽ではダメ!気持ちよさがからだを治してくれる。だから第三者が治すことまで関与するな!」この言葉を信用していなかったわけではありませんので・・・
勘違いしませんようよろしくお願いします(^0^)v



1週間お付き合いしていただきましてありがとうございました!!