東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

今日から歯の衛生週間。

今日から歯の衛生週間がはじまります。
はじめは6月4日、6(ム)4(シ)ということで虫歯予防デーとなっていたみたいですが今は6月4日からの
一週間を歯の衛生週間としているようです。
日本歯科医師会のホームページを見ると、歯の衛生に関する正しい知識を国民に対して普及啓発するとともに歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、併せてその早期発見及び早期治療等を徹底することにより歯の寿命を延ばし、もって国民の健康の保持増進に寄与することを目的としているそうです。
そして今年のスローガンは「かみしめる 生きる喜び 歯とともに」で、小さな子供からお年寄りまで家族全員で歯を磨いているポスターになっています。
このスローガンなんだか良いと思います。
「かみしめる」という言葉の意味は、①力をいれてかむ。②よくかんで味わう。③物事の味わい、深い意味まで十分に感じ取る。 ということですが漢字にせず、ひらがなにしたことで、なんだかここに上げた全ての意味を含むようでまた良いです。

虫歯予防で歯磨きを奨励するのも良いですが、この良く噛むということも大切だと思います。
良く噛んで食べていると、唾液の分泌が促進されてきます。
虫歯になるメカニズムは簡単に言うと、口の中の細菌が糖を材料にして歯垢を作り、その作られた歯垢のなかに棲む細菌がまた入ってきた糖を分解して酸を作り、その歯垢内のphを低下させます。→歯の表面を覆うエナメル質はリン酸カルシウムからできていてこれはphが5.5以下になると溶け出すようで、だから歯垢のついているところが酸に溶かされて(脱灰)、その部分が虫歯になるようです。
しかし、唾液を分泌すれば唾液の成分(重炭酸塩など)で歯垢の酸は中和されphも上昇し、歯から溶け出して歯垢の中にあったリン酸カルシウムは歯の表面に再び沈着し、歯の修復(再石灰化)が成されます。そして更に唾液もリン酸カルシウムを含んでいますから、これらも歯の表面に沈着して修復に加わるようです。
唾液の中には、でんぷんを(酸をつくる)糖に変えてしまうアミラーゼもあり、ここだけで見ればphも下がって虫歯になりやすいと思われてしまうかもしれませんが、同時にそれを中和させphを上昇させ、修復させる成分や殺菌作用もあるわけですから、良く噛んで唾液を出し、甘く、おいしくなった感じを十分に味わえば良いのだと思います。
よく虫歯になってしまう人もいれば、まったく虫歯にならない人もいるというのも、この良く噛んで唾液を出して咀嚼しているかどうかというところに秘密があるのではと思います。
噛むためには、顎がなければ噛めない。
顎がなければ、呼吸や言葉を話すこともできない。
かまない子は精神状態が不安定とも言われます。
幼児期に良く噛まないと下顎の発育が不十分となり、噛み合せも悪くなりますし
毎食、毎食のことですから、不自然な動かし方は、からだ全体の歪みにも通じてきてしまいます。
小児では、ゆっくり良く噛んで咀嚼することによって脳の発育の活性化や口や顎の正常な
発育が促されるようです。
ですから、乳歯の生えそろう3歳ぐらいから、食を通しての躾、食による人間形成が重要になってきます。
この「食を通しての躾」ということに関しては2006年の春季操体フォーラムでも理事長の講演の中に出てきました。この東京操体フォーラムのサイトの中にアーカイブスというページがあり、その時の内容をまとめたレポートが載っていますので見てみてください。また2006年の秋季操体フォーラムでは「食文化と食快」という福田副実行委員長の発表の中でも歯の種類と本数の話が入っていますので、こちらもレポートが載っていますので見てみてください。
今年の歯の衛生週間のスローガンが「かみしめる 生きる喜び 歯とともに」ということから、良く噛むということについて少し書かせてもらいましたが、この良く噛むということの効能はまだまだたくさんあって書ききれないぐらいです。
そして何よりも、食べなければ自分の生命が保っていけない。
だから他の生き物のイノチをいただいている訳ですから、謹みをもって良くかみしめながら、ありがたくいただくということが大切だと思います。
それを継続することによって何かが変わってくると思います。


友松 誠。