東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

鉱脈クラブ。

鉱脈クラブ。
ここ二週間の間に「一万時間説」の話を何度か聞いた。5月末の新聞に、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)理事長で経済学者の中谷巌氏のインタビューが掲載されたかららしい。何だかピンとくるものがあったので、早速調べてみた。

「鉱脈クラブ」に入り人生をより豊かに
さらに、私は20代の若者が大きく成長するには、何か一つのことに一万時間を費やすべきだという「一万時間説」を唱えています。一つのことにそれだけの時間没頭すれば、必ずひとかどの人物になれる。その理由は、どんな分野でも一万時間費やすとプロ級のスキルが身につき、同じような経験を持つ人たちの集まりである「鉱脈クラブ」に入会できるからです。
比喩的に申し上げているのですが、地下の鉱脈はつながっているので、一つの鉱脈を掘り当てれば、ほかの分野との交流ができるということです。そういう人的なネットワークから多くのことを学べるようになるのです。それが自分の生き方にとって大きな財産になるのです。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のホームページから引用」


上の言葉は20代の若者に向けての言葉だが、ひとつの事に一万時間費やすと、他の分野で一万時間勉強(時間投資)した方と交流ができる、ということ。これを「鉱脈クラブ」と言う。
単純に考えて、一日8時間として土日を含め三年半。土日を抜いたら約五年。何かのスペシャリストになるにはこれだけの時間が必要だということ。
それも、あちこちに手をつけるのではなく、コアスキルに一万時間かけよとということだ。

★ちなみに「鉱脈クラブ」というのは実在のクラブでありませんのでご注意下さい★


○以下は中谷巌の『プロになるならこれをやれ!」よりの引用


また、一流のプロに共通していることがある
1.自分の仕事に命をかけている。時間やお金をプロとしての技量を磨くためなら出し惜しみしない。逆に素人は『出し惜しみ』する。ろくに投資もしないで、リターンばかりを過大に期待する。期待が裏切られるとがっかりして努力をやめてしまう。
2.少しでも高いところに到達したいと常に高い目標を自らに課している
3.プロは必ず結果を出す。言い訳の材料はいくらでもあるが、言い訳をする人で一流のプロになった人はいない
4.「自分はまわりの人達に支えられてここまで来ることができた」という感謝の気持ちを持っており、その人達に報いることこそ自分の務めだと自覚している。社会への恩返しの気持ちを持つことが更にプロとしての風格を磨く
5.「地道な努力は必ず報われる」という信念を持っている

「一流のプロになるためには、まず自分の専門領域を確立しなければなりません。もし、自分が人生をかけて取り組みたい分野が見つかったら、まずはそこに禁欲的に「一万時間を投資する」ことが大切です。そうすれば、分野にかかわらず、必ずひとかどのスペシャリストになることができるでしょう。さらに、一万時間を経験した人は、「鉱脈クラブ」に入会する資格が与えられます。そこには人生に成功するためのたくさんの栄養素があふれています。



先日、三浦理事長のところに、この秋のフォーラムで講義をして頂く予定の、田中稲翠(たなかとうすい)先生が治療に見えていた。私は稲翠先生とご家族とは操体を通じてかれこれ10年近くのお付き合いがある。
稲翠先生はご自宅が近いということもあり、師匠(三浦理事長)の治療も受けている。普段のメンテナンスやご家族は私が担当し、スペシャルケア?の時は師匠が診る、という感じである。


稲翠先生の名刺には「Contemporary Artist」と書かれている。書を学び、南画(詩、書、哲学、篆刻)を学び、活躍の場は日本というよりも世界。今年の夏は講演や芸術系のイベントで渡米される。一言で「芸術」といっても奥が深く、彼女の作品や活動を一言で述べるのはなかなか難しいところがある。それだったら作品を実際に間近で見て、その筆遣いとか呼吸を感じるほうが早いだろうといつも思う。

実は操体も同様で、一言ではなかなか伝えにくい。私達はいつも『プロの意地』か『芸術も操体もなかなか一言で言い表すのは大変だ』というテーマで長話になる。ここに師匠が加わって談義が弾むこともあるし、稲翠先生が文字学(もじがく)から『楽』と『快』の違いを説明して下さったり、最近のアート界や操体界について語り合ったりする。そういう楽しい時はあっと言う間に過ぎてしまうのだ。

芸術と操体という別々の事柄を学んでいるのだが、話が繋がるし、相手の言わんとしていることが『あ、そうそう!』とすんなり入ってくる。また「気づき」の共有もできる。これは素晴らしいことではないか?

私が先の「鉱脈クラブ」の話を聞いてまず思い出したのは稲翠先生のことだった。なるほど。これが鉱脈クラブのお仲間なのか。私も鉱脈クラブのメンバーかな(笑)。

写真は稲翠先生のお嬢さん(現在女子美在学中)のMioさんのコラージュ。彼女もアーティストの道を歩んでいる。