東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「日本医学」4/5 「運動系」に帰一す

4 「運動系」に帰一す

橋本師は医師であるから、西洋医学的アプローチは当然された。そして鍼灸や正体術、その他の民間医療も施行された。さらには漢方も試された。

試行錯誤の末、自分は専一に「運動系」で行く、と肚を決められた。「運動系とは横紋筋系運動系のことで、骨格を主とする硬組織と、筋肉から皮膚まで含めた軟部組織とを総称する。」と橋本師は定義されている。

師のDNAは、運動分析から感覚分析へと発展進化し、現在に受け継がれている。

ところで、 橋本師は医者として高い境地に居られたことは言うまでもないが、常々「名前なんかどうでもいいんだ、真理が大切なんだ。」とおっしゃっていたそうである。本質を大事にされ、形にすることを嫌っておられた。「操体」の命名も、NHKの取材に応じられた時に、(名前がないと困る、と言われて)仕方なく「体を操るんだから、操体でいいんじゃないのか。」と一見無造作に為されてしまった。(後学の我々から見れば、当を得たナイスなネーミングであり、有難いと思っている。)
橋本師79歳の時である。

師はまた、自身のやって来られたことを体系化しまとめることもされなかった。常に次代の発展を期待されていた。(だから筆者はプロセス(・・・・)である、と先述した。)

ましてや、組織を作ってその長に納まるなどと言うことは固辞された。「若い者が何かやろうというのなら、いつでも協力はするよ。」とおっしゃっておられたそうである。



山野真二