東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

先天性股関節脱臼のひろさん

小代田さんの温かい文の後で、なぜかまた連休担当になって
いるラッキー今です。
今回は、臨床のお話を書いてみることにします。

「先天性股関節脱臼のひろさん」
患者さんは43才の女性でひろさんといいます。
その女性を連れてきてくれたのは隣県の保健師はるちゃん
でした。

はるちゃんは何度か私の操体の治療を受けたことがあり、
皮膚の操法で無意識の動きの不思議な妙味を味わったことが
あるひとりでした。

ひろさんは先天性の股関節脱臼で股関節の手術を過去に
三回経験し、二年前に臼蓋回転骨切り術 (RAO)という手術を
したらしいのですが苦痛はぜんぜん良くならなかったとのこ
とでした。
股関節周囲の痛みと腰痛、下肢の重苦しさ筋肉の弱さなどが
主訴でした。

私は仰向けになったひろさんを見て、左背中のあたりが
なんとなく気になりました。
両肩周囲を触診してみると、やっぱり左肩甲骨と背骨の間に
コリがあって、押すと痛いとのことでした。
でも押されたい感覚(痛快さ)がなかったので確認だけして
その場を離れて股関節周辺の皮膚の操法をやってみることに
しました。

三回手術をしているということだったので、手術痕の皮膚が
気になったのでした。
私は仰向けになっているひろさんの右股関節のところに
横から手をふわっと当てて、その皮膚を軽くずらしてみました。

ひろさんは前方にずらしてもらうと心地がいいといいました。
一分ぐらい経ったころ、ぴくっ、ぴくっ、とひろさんの背中が
少し動き始めました。

つづく