東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

クマソからハヤトへ 2

橋本敬三師の論想集に、天地創造のくだりがある。
アメノミナカヌシ・タカミムスビカミムスビを太極・陰陽になぞらえてある。

この本は残念ながら現在絶版のようである。


天孫降臨の物語は、タカミムスビがニニギを地上に遣わすところから始まる。


「彼の国に、多に蛍火の光(かかや)く神、及び蠅声(さばへ)なす邪しき神あり。復、草木ことごとくに能く言語(ものいふこと)あり。(中略)吾れ葦原の邪しき鬼(もの)を撥(はら)ひ平(む)けしめむと欲(おも)ふ」(日本書紀)


つまり、ニニギは「諸(もろもろ)の順(まつろ)はぬ鬼神(かみ)を誅(つみな)ひ」に降りるのである。



霧島ドットコムより)


記紀編纂の当時、ヤマト王権は、九州(筑紫)の北部までその勢力を延ばしていた。

そして、南九州や南島の異民族に並々ならぬ興味を示していたようなのだ。



南九州の有力な豪族に曾君(そのきみ)と阿多君(あたのきみ)がいた。
大隅隼人と阿多隼人(薩摩隼人)である。


古代の日向(ひむか)は、宮崎県・鹿児島県熊本県にまたがる南九州一帯を指す言葉であった。


ニニギは日向の襲(そ、曾)の高千穂(宮崎・鹿児島県境の霧島山系)に降りると西へ向かう。
そこで出会った、山の神の娘カムアタツヒメ(神阿多都比売、コノハナサクヤヒメ)と結婚する。
その長子がホデリ(海幸彦、阿多君の祖)、末子がヒコホホデミ(山幸彦、大王の祖)である。
土地の末子相続の習俗に従って、ヒコホホデミは山(地上)の神の相続権を得ることになる。


ある日、ヒコホホデミは兄の大切にしていた釣針を失くしてしまう。
困った弟は、海神ワタツミのもとを訪ねる。
そこで山幸彦はワタツミの娘トヨタマヒメと結ばれる。
この時、山幸彦は天・地・海を制する力を持つことになった。


以後、海幸彦(隼人)は山幸彦(大王)に従うことになる。



辻知喜