東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

稲の実り.


実るほど頭を垂れる稲穂かな。



雨にも負けず、風にも負けず、台風18号にも負けませんでした。




米は八、十、八、手間かかるとされていて、春先に種もみから苗作り、それから夏前に田植え、夏のあいだは小まめな水管理と雑草取り、秋に収穫を向かえ稲刈り、脱穀と数ヶ月間、手間ひまかけて米となり、それを水と一緒に炊いてご飯となります。
春先から数ヶ月間の、手間ひまがかかり秋の収穫を迎えますが、その間の天候によって収穫高は左右され、天変地異が起これば田んぼそのものがダメになってしまう事もあります。
10月8日に台風18号が上陸し、私の住んでいる群馬県でも真夜中過ぎから、明け方まで突風と豪雨で安心して寝てられない状態でしたが、稲の方は大丈夫だったようです。
もっとも、稲妻という言葉もあるぐらいですから、雨や風には強いみたいで、雷の落ちた田んぼの稲は良く育つと言われているそうです。
稲穂を実らせるまでが稲の一生だとすれば(栽培上は一年生植物)、天と地の縦軸の恵を受け、稲としての天命を全うすることの出来たものを、人間が鎌で横からスパッと切って往生させ、その恵をいただく。
秋もこの時期になると、各地で収穫を祝う祭りが行われますが、先人達は自然を崇拝し、そこに神の存在を見出し、自然の中で生かされているということを感じ、感謝し、自らの中にも神性を感じ、また感謝するということをしていたのではと思います。
そして、それぞれの個々の感謝の念がつながり、波及していき、新しい文化を生んでいったのかもしれません。
また、米などの穀物は保存が利き、この人間の手で一から育てる保存食が出来るということは、不安定な狩猟、採取中心の生活から開放され、時間的にも建物を建てたり、新たに道具を開発、工夫していくことが出来てきて、それが文明に発展していったのではないかと思います。
しかし、この文明は持てる者と持たざる者、階級制など負の面も生んでしまいました。
そして動物としてのカン、いつなんどき、どんなものを食べれば良いかという食の自然本能を鈍らせてしまった面もあるかと思います。
私達はこの文明の発展の恩恵の中で生まれ、生活していますが、この文明の始まる前の先人達がどのような生活を営み、稲作の伝来をどのように受け入れたのか、このあたりのところを学ぶ必要があるのかもしれません。
1192つくろう鎌倉幕府と暗記したりするだけが歴史の勉強ではないはずです。
保存食の知恵や技術もあったでしょうが、自然からの恵の恩恵だけを中心にしていた時代の生活習慣と、そこから自らの手で食物を育てて食べることが出来るようになった時の、その人たちの想念(自然へのいたわり、畏敬、他)を知るということは、物質文明の中にあって、本来の自分がどこに位置しているのかということが解る手がかりとなり、感謝の念の中で生きていくことができるかもしれません。
欲張って、上をみればキリがない、下をみてもキリがない、横に逸れていたら早めに気づいて修正して、また進めばいい、ただただ快の方向へ。
ありがたいという気持ちは快に通じる。
ご飯を食べる時も、八十八手間かけて作った人への感謝の気持ちの他に、なにかまた違ったありがたさを感じることができるかもしれません。
すべてに感謝、感謝。
実るほど頭を垂れる稲穂かな。
また一つ快の予感。


友松誠