東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「そこが知りたいのが本音」

操体法の考えではこうである。
症状、疾患とは、からだの異常を示す警告=サイレンとみなしている。このサイレンそのものに放水しても延焼しつづける。この警告は火元であるボディの歪みそのものが火元になっている。その火元に放水しなければ鎮火しない。なぜ火元がボディーの歪みなのかというと、どのような症状・疾患たるにおいても、その全期にわたって、ボディーの歪みが発症以前から発生しているのだ。症状・疾患のレベルが上がるほど、局所の歪みが全身に波及し、より歪みを歪体化する。しかし、ボディーの歪みを正すと言えども、その歪みがどこから手をつけていったらよいのかが、わかりにくいのだ。又、必要あって存在している歪みもある。
そうしてみると、それらの症状や疾患と直接関与している歪みが知りたい、確認できないものかと考えるのが臨床家である。この火元で言えば、火元のどの火種が、その症状・疾患と関与しているのかが知りたいのである。多くの臨床家は、それが知りたくて、長い臨床経験を積むのである。そこが知りたいのである。それでも、つかみきれずに現役から身を引いていくのである。この火種が理解できれば、臨床に無駄がない。なぜ無駄がないのか、それは、からだの治し方、治り方が見えるからである。この火種の歪みが修復されてくると、全身形態の歪みまでもが正体化されてくるのである。
火元に放水しても火種そのものを直接放水する必要がある。そうすれば、くすぶり続けることなく鎮火する。現在まで、火元の存在を認めても火元の中の火種までは理解できなかったのである。
どの臨床家も、この火元のなかの火種が知りたくて、四苦八苦しているのだ。

三浦寛