東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

痛みとのおつきあい2

昨日の続きですが、左拇指の回復経過です。

11/17 受傷、縫合
11/18 包交外来 バンドエイドでカバーのみ。
11/20 仕事再開
11/21 包交外来 「順調なので抜糸を」と言われるも、職業内容を告げ再出血のリスクを考慮し延期
11/22、23 フォーラム
11/26 抜糸 バンドエイドもなし

抜糸後は手仕事なので防御のためバンドエイドでカバーをしており、再出血はありません。
もう指先の麻酔注射はごめんです。


今回行った治療は以下の通りです。

病院処方の抗生物質、抗炎症剤。
トラウメール(シュタイナー医学の外傷用軟膏)
枇杷の葉水
操体(動的な自力自療、静の操体も)
フォーラムでの島津兼治先生の治療

枇杷の葉水は、同僚が作ってくれた枇杷の葉を焼酎に漬けたもの(東城百合子「自然療法」より)。
バンドエイド交換の際、汚れた部分の消毒と抗炎症の目的でしばらく浸しました。
作ってくれた同僚曰く、炎症効果が高いということで、確かに熱を持った患部がすうっと引き、心地よく、
「心地よい=治る」と思い、からだで十分味わいました。味わった後、しばらくいい感じ。

注意することは、傷口が塞がっていないとアルコールが凍みて痛むことと、皮膚が離れたままになるため、痛みを感じた所で塗布した脱脂綿をはがすようにすること。
なんでも使い方を間違ってはいけない。効くものも効かなくなります。

操体は昨日も書きましたが、痛みを感じるたびに左手より遠い末端部分を使って自力自動をメインに試してみました。
いつもの3倍もぞもぞしている怪しいオンナでしたが、他人の目は気にしません(笑)。

「痛くなったら心臓より患部を高くしろ」も大変効果的で、左拇指で心臓の位置を確認する、を楽しみつつ、
「それでもいたかったら鎮痛薬を飲め」の変わりに左手を壁や額、側頭部に当て、手関節の背屈、橈尺屈。
自然法則を知っていれば、どんな姿勢でも操体ができる事に感謝ですね。

それと、指越しで操体をしていると、患者さんと私のからだの療法に感覚をつけて治しがなされてもいました。
これもありがたくちょうだいしました。
普通だったら悪化させないよう気を遣って仕事をするはずなのに、逆ですね。

気持ちのよさを味わうたびに「おお。今一瞬、痛み感じかったな〜」でもまたじわじわしてきたな。
そんなことを繰り返し、初めはU字の切り口に沿って感じていたドクドク、ズキズキ、とうずく痛みが
日を追うごとにおさまってきます。

おかげで「それでも痛む時に飲むロキソニン」の出番はありませんでした。


そして、最後は島津先生の治療。

22日の懇親会でのこと。
私ののガーゼでくるまれた指を発見され、「どうしたんだ?ここ」と声をかけてくださいました。
とはいえ、その前のフォーラムでモデルさんが治療を受けている所を見ていたため、
(治療開始20〜30秒は飛び上がるほど痛いがその後は驚くほど楽になる)
「いえ、申し訳ありませんが骨の問題ではないんですよね」なんて事言って腰が引ける私。

「切ったの?どれどれ、どこ?」
とおっしゃるや否や、ぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
私も叫ぶけど、見ている周囲も痛そうな顔。
傷の真上から1分ほど(30秒かもしれませんが私にはそう感じました)拇指をつままれました!
どびっくり。 
そのあと、一番塞がっていない部分をまたもや、ぎゅ〜〜〜〜〜〜〜。
先生はおだやかな笑顔「どう?痛くないでしょ」

いや、痛いですよ(泣)!
…いや痛いんだけど、でも、傷口を机の角でぶつけるような痛さとは違う。
圧は強いんだけど、安心感がある痛さ。
こんなの未体験!

この日は病院でガーゼとテーピングテープでまかれていたので、傷口は外から見えないようになっていたのですが、
先生は、切り離された真ん中と切り口の中で一番くっつきの悪い部分にぴたっと指をあてられていたのです。
まったく迷いなしなんです。達人とはそういうものなのかと再び驚きを味わっています。
そういえばフォーラムで治療のモデルになった方々が
「島津先生はすっと痛いツボにピタッと触れられる」と話されていたのを思い出しました。

先生の治療は骨にアプローチする、との事でしたが、戦場では切り傷もあり骨折もあり、どんなことでも治療されていたはずです。「これしかできない」ということはほとんどないのでしょう。

先生は「もうこれでつくよ。本当は切ったその場で抑えればそれでつくよ」とさらりとおっしゃいました。
「本当ですか??」と半信半疑で言ってしまいましたが、
実際その直後からズキズキしていた指がまったく痛みを感じなくなったのです。

「なんじゃそりゃ〜!」と私が言いたい程で、もちろん10日経った今日まで1度もうずきません。
もうくっついたのですね。
ああ、今度切った時にはぎゅーっとおさえよう(というか、切るな!)。


操体と島津先生の治療、「似て非なるもの」のテーマで行ったフォーラムでしたが、
くっつけることで、多分からだに「もともとくっついていたものだから」を信じ込ませてくれたのじゃないかと私は思っています。
あとはからだにお任せする。おまかせすればうまくいく。
そのからだへの絶対的な信頼感を持っている点で共通しているなと思いました。

今回は平さんのご縁をたどり(ありがとうございます)、我々フォーラムメンバーは島津先生の真なる活殺に触れさせていただきました。島津先生の話された事は今すぐできることではありませんが、操体に生かせる内容が満載で
1+1=2ではない学びです。これから操体を学び続けるワクワク感が増すものでした。

その後ろでは橋本先生が笑って見守ってくださっているような気がします。
どうもありがとうございます。


ああ、指を切ってよかったなあ。

いや、そんな事はないんですけど(爆)。
これも必然だったのかも、と、考えがちな昨今の私です。


お酒は28日から復活しました。



森田珠水