東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

カッコいい女

皆さんはカッコいい女の条件は?と聞かれたら何をと答えるだろうか。

パソコンで「カッコいい女性」「上司にしたい女性有名人」というようなキーワードで検索すると、黒木瞳天海祐希篠原涼子など年齢層が以前より高く、美人だが気取らずサバサバしている、凛として、自分の意見をはっきり言うといった女性が選ばれていた。このランキングには「如何に風に年齢を重ねるか」という思いが反映されているのではないだろうか。

私にとってのカッコいい女とは、いくつになっても自分のやりたい事をイキイキと楽しんでいる人である。キツい言い方だが、「誰々のせいでやりたい事をしないできた」というようないいわけは聞きたくないし、言いたくもない。

 現実の生活は大変である。最近は結婚しても共働き夫婦が多い。家事はまだまだ男性より女性が多くを担っている風潮であろう。仕事をする女性は社会との付き合い、家族のケア、自分の健康も管理しなくてはならず、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)をとる事が重要課題である。
「今やりたい事をやる」ために生きている人は、一瞬一瞬の決断に責任を持ち、大変なことがあっても毎日を人のせいにしない。その時その時に責任を持っている。
そしてそういう生き方をしている女性の笑顔はチャーミングである。メイクでは出せないはじけたものを内側からぴかーっと放出している。性格がさっぱりしているのは自分の決断で生きているので、その結果としての現実の世界を受け入れられるからかもしれない。
ある年齢から年を取らなくなるような女性、増えてきましたよね。


 ところで、最近、カッコいい女とのご縁が増えている。
その筆頭にあげたいのが先日のフォーラムでゲストとして講演いただいた田中稲翠先生である。

(先生のプロフィールはこちら)
http://www.tokyo-sotai.com/09Novkoushiprofile.html

 写真は稲翠先生の講演中のもの。私は年齢を聞かせていただいたが、軽く10才は下に見えます!私が言うのも失礼なのですが(すみません)キュートです。


そしてこの直後のきりっとした表情への変化がまたカッコいい。


フォーラムにはご家族もいらっしゃっていたのだが、いわくプライベートでも「急にスイッチが入る」という。普通に会話していても「語らねばならない」瞬間が訪れると、目が、表情が、パッと変わる。小柄―しかも幼少時から病弱だったそうだ―な先生がこれぞという話をされると、波動というのか、ものすごいエネルギーが出て、聞いている側は吸い込まれてしまう。書を書く姿に助手の岡村実行委員長も感動で涙がにじんでいたらしい。私は距離を撮ってカメラ撮影をしていたので、何故近くで波動のシャワーを浴びられないのか悔やんだものだ。

「楽と快のちがい」について語られていた時のこと。「楽という文字は巫女さんが鈴を持って舞う姿を表したものです」とゼスチャーを交えて説明された。おっしゃる姿はカメラ越しに見ていると、まさに巫女さんのようであった。

また、22日に島津先生が講演される日も稲翠先生は見学にいらっしゃられていたが、一見武術と芸術では違う世界のようでも、一つの世界を極めている人同士は理解し合えるのである(そういえば懇親会では初対面の平さんと長い事サシで語り合っておられた)。
「指先の使い方、島津先生に先に言われてしまったの。それも話そうと思っていたのに」と残念そうにおっしゃられていたのが印象的だった。武術もからだ、芸術もからだの表現である。先生が南画の世界に足を踏み入れたきっかけはと八大山人と宮本武蔵の書と出会ったからだそうだが、書や武術の話をされている姿をみていると、武術家のようにも見えてくる。

フォーラムだけでなくその後の打ち上げでも、稲翠先生のお話を引き続き聞くチャンスを得た。先生にとって初めての質問をされても、とにかくさっと目の前に出されたテーマを自分のからだに落としこみ、瞬時に答えを出される。動きと決断は早くて無駄がない。
島津先生が見せてくださった武術の演武、治療の時の対応と同じように、真実とは瞬時におりてくる、現れるものなのだ。

フォーラムに参加された娘さんは、三浦先生に「こんなお母さんをどう思う?」と問われ、「すごくカッコいいです」と即答した。著書である「水墨画イスラエルへ行く―それでも好きさバラガン王国」は34才でイスラエルで個展をしたときの滞在記であるが、この時は幼い娘さんを母に預けていたそうだ。必要な時には子どもと離れる時期があっても、電話や手紙、想いで時空を超えてケアをされていらしたし、一緒にいる時にはしっかり目を見て大事な事を伝える育て方をされていたそうだ。そういう子育てをしていればまっすぐでピュアな娘さんに育つのだろう。
父の背中を見て育つ、それもいいが、本気で自分が選んだ道に没頭する母の姿をみて育つのもいい。母になるならそうなりたいなと思う。


 操体の業界は女性は本当に少ない。
操体だけで食べていける臨床家自体少ないというのに、女性で操体で食べて行こうとするのは、人から見たら難しいと思われるかもしれない。
しかし、幸いな事に操体は食息動想、という生き方や自然を学ぶものであって、生活の中に学びがあることである。どこにいても学ぼうとすれば学ぶ事ができる。
そして、操体であれば、私の道の前には畠山先生という「寝ても覚めても操体について考える(そしてビューティへのこだわりも忘れない)」女師匠が存在し、
芸術の世界では稲翠先生のように、芸術に生き、かつ子育ても家事(料理の天才だそう!)もカッコ良くこなしている方がいらっしゃる。

こういった方々に囲まれていると、自分の悩みはまだまだ大した事ないなと励まされるし、いいアドバイスもいただいている。

こうしてカッコいい女達のそばで同じ空気を吸わせていいただけている限り、
私も毎日へこたれないでやっていける。
今日は特別にカッコいい女性に向けて、感謝の言葉を述べたい。

どうもありがとうございます。


森田珠水