東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

臨床体験実習


今日は昨日とうってかわって清々しい晴天に恵まれました。

本門寺の五重の塔も空に映えてます。
写真は見晴し台下にある藤原吉志子作「馬込文士村」。


ところで、昨日は冷たい雨の中、卒業校の学生さんが2人、臨床体験実習にいらっしゃいました。
MさんとSさん。20代前半の今時の美人さん達です。フレッシュです。

臨床体験実習というのは、決まった施術所から3カ所選び、患者になって臨床を受けレポート提出する、というもの。
http://www.teg.ac.jp/course/toyo06.html

さて、21箇所ある実習施設から何故操体を選んだのかを聞いてみたのですが、
操体を知らなかったので逆になんだろう?と興味をもったから」との事でした。
他の施設は鍼灸か按摩指圧、マッサージで想像できるため、操体は珍しく、是非体験したいからと選んだ方もおりました。

私の所は、実習施設となって今年で3年目ですが、ほとんどの学生方が操体を知りません。
東京で医療系の業界なのに、です。

操体体験者は2年半で3名ほどしかいません。経験者も「楽かつらいか」の二者択一の操体しか知らなかったですね。
なので、第2、3分析を体験されると、目を丸くされます。
そういえば、体験実習施設を進めてくれた学校の先生も、「操体って膝の裏をぐりぐりってやって痛いがらせるヤツでしょ?」みたいな事を言われたような気が…。操体のイメージはそんなものですかね。トホホ。

操体はそうじゃないですよ(声を大にしていいます)。常に進化&深化しているのです。
膝裏谷(ひかがみ)を診なくても臨床はできます(もちろん、ひかがみも大事ですが)。
二者択一の操体しか行われていなかった頃のではない、今の操体を知って欲しいなと切に思います。
我々が年に2回のフォーラムをやっていても、まだまだ知られていないのですね。

フォーラムも、もっと世に知られるような試みをしていかなくてはなりません。


だから、体験実習といえど一つのご縁。
just nowな操体を伝えたい。
そういう気持ちでこの実習を受け持たせていただいています。


とにもかくにも昨日は、

感覚の聞き分けが一番大事であること
気持ちの良さで治ると言う体験
操体は単なる治療法ではなく自然法則の応用貢献であるということ
操体の可能性(どんな場所、ポジションでも原理原則がわかれば臨床を通せる。
治療だけでなく、息食動想、生き方に生かせる、等)
操体をする上での女性ならでの特性

などを、まずは体験を通して伝えてみました。

お二方とも、操体を知らないとおっしゃていましたが、大変真摯に聞いて下さいまして、
その場に浮かんだ疑問もどんどんくださって、いい流れで3時間ほどがあっという間にすぎました。
しかも、会話をしながらもアタマのスイッチを切って、感覚のききわけや皮膚への問いかけにも、
なにがしかの感覚をつかみ、それによってからだが変わるところまで体感してくださいました。
からだの不思議体験状態だったようです。

からだで「不思議!」や「なんだかわからないけど面白い!」って感じてくれたらそれでいいかなと
(質問、感想はいつでもメールで下さいと伝えておきました)。


鍼灸学校に入学してこれから他力の治療を学ぶ学生に、
「施術者は治療にまで関与するな」という操体を感じてもらうのは混乱を与える事になるかもしれません。
私もずっと他力の治療をしてから操体の道に入ったので、
「私が治療する」「局所疾患に対する治療」から抜けることが難しかったですし。
しかし、この他力から自力自療へのルートをたどるのも一つのプロセスでしょう。
今後彼女達が操体の道に興味をもってくださるかもしれませんし、そうでないかもしれません。
今はそれはどちらでもいいと思います。

でも、操体って、無視できない何かがありますよね。
今回は大学で臨床心理専攻だったという学生さんから「下手な心理療法より効果があるような気がします」というような感想をいただきました。
昔は私もカウンセラーになろうと思っていたので、私と同じ道を辿られているMさん。
もちろんこころへの働きかけもできる操体ですから、からだからどんなアプローチができるのか、話が盛り上がりました♪

Sさんはこの時、操体初体験とは思えない程、第3分析によるからだの感覚を味わっていらっしゃいました。


操体を体験してくださった方には、アタマではなく、
何年後かにでも、この日の体験がぽかっと浮かぶような、からだの記憶が刻まれる思います。


自分のからだを壊さないようなからだの使い方のルールや、自力自動のからだのケアができること、
妊娠出産中にできる事、こころのケアにもいかせること、昨日はなんだかいっぱい話してしまいました。
話を沢山しすぎて、消化不良になっていたらごめんなさい。

特に女子の実習生には、同性として「どうやって好きなことを追究していくか」
という気持ちが湧いてしまい、熱がこもりすぎたかも(爆)。


橋本先生は操体を通して何を伝えたかったのでしょうか。

そして、後に続く学士達に、どのように操体を進化、発展をして欲しかったのか。
操体とからだを耕し、自然の原理原則を追究するとはどういうことか。
何が大事なのか、常に考えさせられて私たちは日々学んでおります。

それは「つらそうに」「努力して」「がんばって」ではなく、
豆腐の角にアタマをぶつけて、わくわくしながら、謎を解き明かしていけたらいいな、と思っています。


臨床体験実習は学生さんと一緒に勉強させていただき、
いい機会をいただけた学校の先生方に感謝しております。
きょうもありがとう、をいっていい気分でねられそうです。


おやすみなさい。


森田珠水