東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

サッカーW杯との出会い

こんにちは、ブログ2日目です。
サッカーのW杯はスペインの優勝で終焉。スペインの皆様、本当におめでとうございます。
それにしても、日本サッカーの健闘に感動!

私は、テレビを持ってないので、パソコンから流れる3〜4分遅れの、試合速報を読みながらの静かな応援でしたが・・
それでも、十分に臨場感を味わえました。

しかし、W杯がこのように身近なイベントとして定着したのは、つい最近のこと。日本が1998年のフランス大会に初出場する以前は、W杯がどのようなものか知らない日本人の方が多かったと思います。

私が初めて、W杯のことを知ったのは、1982年。
丁度、ニューヨークのダウンタウンにある、リトルイタリーを、当時つきあっていた彼女と歩いているとき。

突然、頬に国旗を描いた若い兄ちゃんが、イタリアの国旗を付けた車や、オープンカーに乗り、クラクションを鳴らし始めました。
とにかく、うるさい!
「いったい何事なの?」
「あっ〜、多分ワールドカップでイタリアが優勝したのよ!」
「何それ?」
「あなた、ワールドカップを知らないの?私でも知ってるのに!」
「全然!」

確かこんな会話をしたように思います。
彼女は、日米のハーフでアメリカ育ち、日本語は出来ません。それほどスポーツが好きではないけれども、ワールドカップクラスの大イベントは知っているわけです。
1930年には米国は3位になっており、今大会まで6期連続で出場している世界ランキング14位の強豪国。
野球やアメリカンフットボールほどの人気はないけれど、アメリカ人ならば、ワールドカップくらいは常識として知っている訳です。

アメリカに於いて、サッカーは男衆にはそれほど好まれてはいませんが、女性・子供には人気のスポーツ。

私が10年前に住んでいたペンシルベニヤではいたる所に、サッカー場があり、子供達がサッカーをしていました。
スポ根のママ達は、からだをぶつけ合うアメフトよりも、サッカーのほうが安全という考えがあり、我が子のためには、サッカー!
また、メキシコや南米からの移民が増えているので、益々米国のサッカー熱は上がっていくと思います。

さて、その後ワールドカップに縁があったのは、4年後の1986年メキシコ大会。
同年4月26日にはチェルノブイリ原発事故。
まだベルリンの壁は崩壊しておらず、東からの情報が乏しいなか、6月上旬、私はベルリンに行くことになりました。

当時、舞踏家・石井満隆氏の舞踏ワークショップに参加していた私は、石井氏がベルリンのクンストラハウスベターニアンに呼ばれるや否や、付き人となったのです。

1986年1月21日に舞踏の創始者・土方巽氏が死去。
同年、ベルリンで舞踏の大回顧展を行うことになり、大野一雄氏、田中泯氏らと共に石井氏は招待されました。

当時のベルリンは、ご存じの通り、東ドイツの中央部に壁を巡らし、西ベルリンが存在し、壁を隔てて東ベルリン。
質素な共産圏東ドイツの中に、きらびやかな西ドイツが不夜城のごとく輝いているという、不思議な世界。

そんなベルリンでは、途轍もないハプニングに次から次へと見舞われながらも、石井氏の付き人として、何とか使命を全うしました。

その時に知人のアパートで、たった一人見たのが、ワールドカップ。
しかも、そのテレビは、東ドイツの放送しか入らず、白黒。コマーシャルのない静かで穏やかな画面に、アルゼンチンのマラドーナだけが強引に突っ走っていたのを覚えています。

また、ベルリンのクロイツベルグというトルコ人労働者の居住地区のバーでは、アンチドイツの嵐。
ドイツと対戦するチームならどの国でも応援するという、異様な雰囲気を味わうことになりました。
かれらにとって、ドイツは単なる仕事の場。様々な偏見を受けながらの暮らしぶりが、その声援、血相に恐ろしいように映し出されていました。

その年は、アルゼンチンと西ドイツが決勝。
夜の静まりかえったアパートで、固唾をのみながらの一戦。
西ドイツが得点すると、どこかしこから歓声、拍手。まるでアパート全体がサッカー場のような雰囲気。
結局3対2でアルゼンチンの勝利となりましたが、
ドイツにいながら、初めて味わうワールドカップの醍醐味でした。
それまで、あまり興味がなかったサッカーに格別の思いを持つようになったのは、この一戦からだと思います。

その後、私はチェルノブイリ原発事故現場に近いポーランドに行き、積み木パフォーマンスを行うのですが・・・これは、またいずれお話することに・・・・
今日は、この辺でおしまい。
お付き合いどうも有り難うございました。
               では また あした!


佐伯惟弘


8月28、29日は大徳寺玉林院にて「東京操体フォーラム in 京都」開催
9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催