東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

熱闘甲子園

熱い夏が終わった・・私にとっての夏とはまさに野球の夏です、自身の野球は未だ続きますが、7月の中旬から8月中旬の1ヶ月は高校野球との夏であり、
島根県予選から始まり、甲子園決勝までの期間はドップリ野球漬けと成ります。
私がみている選手が出場するからということもありますが、それはほぼ後付けで、単純に「野球が好きだかだぁあ(チャンドンゴン風)」ってことで・・
甲子園って野球経験者にとってはまさに聖地であり、私の近所にも甲子園出場経験者が数人居らっしゃいますが、一緒に飲むと延々甲子園の素晴らしさを語ろう!
みたいな状況になり、ややゲッソリと成りますが、それにしても羨ましい限りです・・・

今年の夏の大会はご存じの通り沖縄県勢初興南高校の優勝で終了深紅の大優勝旗は沖縄へと渡りました・・・
島根県は残念ながら春夏共に甲子園での優勝経験は無く、最高位は平成15年の江の川高校(現 石見智翠館高校)のベスト4が最高であり、
島根県民としては悲しい限りでございます・・・優勝経験が無い県としては中国地方では鳥取県岡山県と三校だけとなっています・・・
因みに実行委員で野球経験者の佐伯さんの出身地、四国は全県優勝経験があるという強豪地方です・・・更に優勝回数が最も多いのは10回の大阪みたいです。
しかし、私が現役の高校球児として地味に活動していた以前と違い、近年は実力の地方格差は徐々に狭まりつつあります。
その証拠に以前は弱小地区の代表とされていた新潟県がここ数年は目覚ましい活躍を見せており、昨年夏の日本文理高等学校の準優勝は記憶に新しいですし、
今年の夏も新潟明訓はベスト8に入る活躍をしています。

その大きな要因として指導者は当然のことながら、施設を含めた環境整備の充実が大きく、変化球も含め160Km近い速球が投げられるような
一台数百万もするピッチングマシンや雨天練習場など、ソフト面とハード面、両方が都市部と地方部格差が無くなってきたということでしょうか。
しかし、予算が少ない公立高校では環境整備も中々難しく、今年の夏の大会でもベスト8に入った学校は全て私立というのが現実です。
そこで、今回の甲子園も含め近年の球児達の気になる点が幾つかあったので、挙げてみたいと思います。
先ず感じたのは条件付ではありますが、確実に全体のレベルは上がっているということです。
投手の球種の多さに関してはほぼプロ並みに多く、ストレート・スライダー・チェンジアップを基本として、カーブに2シームやら落ち系で言えば
フォークにSFFと百花繚乱まぁ見事なモンです。
インサイドワークも対戦相手の心理状況など研究し、裏をかくなど優勝した興南高校のバッテリーなどはプロ顔負けの素晴らしさです。

バッティングに関しても、先程言ったように非常に高性能なピッチングマシンや飛びやすいボールも関係してか、素晴らしいバッターが多数存在します。
コースの打ち分けやパワー、スイングスピードも早く、将来が楽しみです。
 
その一方で感じたのは明らかにレベルが落ちているのではと感じた部分でした。それは『基本の大切さ』といった部分です。
特に基本中の基本である筈の守備面での荒さが全体的に目立ち、その一球で試合の流れが変わり、負けに繋がったという試合が幾つも見られました。
守備の基本はキャッチボールであり、相手が取りやすいところへ投げることが必要なのですが、ランダウンプレー(挟殺プレー)での暴投など、
他の練習と違って地味な練習が必要なプレーでのミスが数多く有りました。

野球は確かに点取りゲームなので、点を取らなければゲームに勝つことが出来ないので、点を取るのに必要なバッティング練習に力を入れるのは分かるのですが、
取ったら取り返すといった大ざっぱな点取りゲームに終始していると、本来、日本人が長い野球の歴史の中で培ってきた繊細なプレーが忘れられ、
アメリカMajor Leagueの様な力こそ全てのPower Baseballとなってしまい、日本人が勝てない領域での戦いを挑むこととなってしまいます。
 
話が大きくそれてしまったので元に戻しますが『奇跡のプレー』とは結局は普段行っている、練習での基本の積み重ねでしかなく、
普段やってないことは切羽詰まった土壇場では出て来ないと言うことです。
 野球に限らず全ての物事は基本の中に全てがあり、基本の応用が新しい発見に繋がり、次へのステップとなるのです。
基本が出来てないのに格好だけを見て真似しても所詮、真似でしか無く、本質には辿り着けません。
地道に基本・基礎を静かな汗をかきながら出来るかどうかが運命の分かれ道であり、栄光か挫折かのターニングポイントではないでしょうか。


福田勇治


9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催
2010年操体法東京研究会定例講習は9月から始まります。