東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

熱闘甲子園その2

同じタイトルにブログアップを間違えたのか?と思われた方、残念ながら今日も昨日の延長戦で野球の話しになります・・・
 昨日はテクニカル(技術的)な部分から気付いたことを話しましたが、本日はメンタルな部分について話したいと思います。
 ご存じの通りスポーツ界は昨今、メンタル・トレーニングブームでして、先のワールドカップ南アフリカ大会でも、奇跡の勝利を見せた侍ジャパンも、このメンタルトレーニングを行ったお陰で勝利出来たと、マスコミもこぞって報道しました。
まぁ全てがメンタルトレーニングのお陰だと言うのは言い過ぎであり、JAROに訴えなければならなくなりますが、少なからずとも勝負の世界とメンタルは切っては切れないものであり、メンタルを制するものは世界を制すと言われた所以でもあります。

 では勝負の世界に必要なメンタルとはどの様なものでしょうか?キーワードは『平常心』です。普通に今、家で寝転がってる心理状態でピッチやグランドに立てるかどうかが、この平常心であり、常に心が静まりかえった山奥の堤のように波紋一つたてない状態であれば人は誰しも、イチローであり本田になれるのです。
但し、緊張がなさ過ぎても駄目で、“真っ赤に燃える炎”と言うよりは“刀剣の切っ先の様に青白く燃え上がる炎”が理想ではないでしょうか。
気合いだ!気合いだ!気合いだぁ!だけでは逆にメンタルのコントロールは不安定となり、自分より明らかに弱い相手と闘うのであれば、勢いに負けて相手もびびるのでしょうが、同等の能力若しくは上の相手では逆に負け犬の遠吠えにしか聞こえず、足下をすくわれる結果となります。
本当の名人とはゼロから一気に1,000%の力が出せる人のことではないのでしょうか。一瞬にして場を変えたり、自分を変えることが出来る人こそ、メンタルコントロールの達人ではないかと。車で言えばランボルギーニ系とかフェラーリ系の様な(スイマセン・・スーパーカー世代なもので)

またまた話しが大きく逸れそうなので本題に戻しますが、昨今の球児にはこのメンタル(心)が弱い子が非常に多く見受けられ、テレビを見ながら思わず「ごるぅあぁ!」と怒鳴ったことも幾度となくありました。
それが一番よく分かる場面は試合が終盤に差し掛かった時です。表の攻撃のチームが相手に負けている場面で、信じられないのは8回の表とかにも関わらず、泣きながらベンチで声を出している選手が居ることです。9回の1アウトでも取られようものなら、殆どの選手が目に涙を浮かべ或いは嗚咽している選手も見受けられます。
試合は未だ終わってないのです、野球は2アウトからなどと言うこともありますが、現実今回の大会も終盤に4〜5点差をひっくり返して勝利しているチームも多数あるのです。
泣くということは試合を放棄したのと同じです。勝負の最中に感情を露わにし自分の弱い部分を人に見せるなどというのは勝負以前の問題であり、小っちゃな子供が欲しい物が手に入らず泣いているのと同じ状態です。
この話をすると選手に同情的な人達は、三年間の厳しい練習や思い出が駆け巡り、感極まっているんだろうと・・・
まぁ同情的な人は思い入れがありますので、ありがたい限りですが、これが同じベンチにいる選手だったらどうでしょうか?
片や野球は2アウトからだ!やるぞ!と思っているのにもかかわらず、同じベンチの中で泣いている選手が居れば・・・
怖いのは弱気やマイナスイメージは強烈な伝染力を持っていることです。
よく心が折れるという言い方をされることがありますが、涙を流し感情を露わにするということは自ら心を折るという行為に他なりません。
本人は気持ちいいのでしょうが、回りにいる人間はたまったモンじゃありません。

話しは飛躍しますが、軍隊で最前線にいる兵士が極限状態に追い込まれると、メンタルが弱い兵士は気が触れてしまい、見えない敵に怯え言動や行動が不安定になり、他の兵士の士気に関わるので、最前線から後方部隊へと回されてしまいます。
軍隊といった究極の集団生活の中だからこそ、たった一人の人間の言動が、隊全体の士気と命に関わるからこそ、厳しい規律の中で管理をするのです。
 勝負の世界はプレイボールから始まりゲームセットの声を聞くまで終わりではないのです。選手の中にはベンチにすら入ることが出来ずに、スタンドで応援している部員だっているのです。必死で声を枯らしてゲームセットの瞬間まで勝負をしている選手にとって、途中で試合を投げてしまうのは、失礼極まりない行為なのです。
 人生だって勝負です。仕事で追い込まれることや辛い人間関係など様々な障害が現れます。一度逃げる癖を付けてしまうと、人間は楽な方へ逃げてしまいます。辛いからと途中で泣いたって誰も助けてくれませんし、仕事を投げ出し逃げることも出来ません。
勝負の世界は必ず勝者と敗者が決まります。この事実をしっかりと受けとめ、負けた時は次へのステップとし、勝った時は奢らず更なる上を目指す心構えと人間形成が必要なのではないでしょうか。
だって人生にはゲームセットはないんですから!球児達よ!真の心の強さを磨け!!


福田勇治