東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

書き写す

ある日の勉強会のことです。
三浦先生が「そういえば橋本先生の本を書き写してみろ、っていったのはどうした?」とおっしゃいました。

…どき(汗)。
確かに一年半前、三浦先生が橋本先生から写本を勧められたお話を聞いて私も始めたものの、
1/7あたりでストップしておりました。
―スペインからチョークが飛んできそうです。

三浦先生の写本をされたお話は以下の「私が東京に出ること、その師の心」にあります。
http://d.hatena.ne.jp/tokyo_sotai/20080522

ちょっと焦って私も書き写すのを再開させました。代田文志先生の「鍼灸の基礎治療学」も「正体の歪みを正す」も500ページちょっとの写しがいのある厚さです。

それでも、今書き写してみると、以外にも1年半前とは違う感触がありました。
確かに手で書くことは、ただ読むよりも橋本先生の想いがからだで感じられる
と、思っていたのですが、「感じたつもり」くらいのものだったようです。

それは、橋本先生が繰り返し医学界に操体を伝えつつも、なかなか理解してもらえなかった様子が、三浦先生の操体を追求しつづける姿と重なる瞬間があったからです。
また、著書で橋本先生が指導する方法が三浦先生の姿に重なるなど、私なりに感じ方が変化してきました。

私の師匠は三浦先生と畠山先生、の2人だったのが、今はそのうしろに、お会いしたことのない橋本先生の姿がつながっている感じがあります。
不思議なことに、そのイメージができてからは心のどこかにあった霧が晴れたようで、うまく言葉にできませんが、ひとつ階段をのぼったような感覚です。

 三浦先生は、橋本先生が指導された時代とは指導内容が進化しています。例えば、なぜ皮膚に問いかけることが治療につながるのか、またなぜ自然体をとる時に聞き手と反対の足を半歩出すのか、といったようなことは他では教えていないと思います。
それには、三浦先生が臨床上ぶつかった難問に対し、橋本先生だったらどうするだろうか、と深く想いを巡らせ、橋本先生の著書、言葉の中にひらめき、発展させたというプロセスがあります。橋本先生の想いはちゃんとベースに残した上での進化なのです。
そのプロセスを理解していないと、これらを「○○流」という理解をされるかもしれませんが、自然法則の応用貢献という橋本哲学の原理原則は外れていないことにどうぞ気づいてほしいと思うのです。それと、「生体〜」を読んでいて感じたのは、橋本先生が「まだ操体と言う本は書きかけだから、どうか解明しきれなかった部分を明らかにして顕してほしい」という想いがあることです。この橋本先生の想いを継いで、責任をしょっているのを三浦先生から感じます。

フォーラムのメンバーの絆はそれを師から感じているから強いのかな、と思いました。
私たちは、橋本先生の想いから継いで伝道師にならないといけないのですね。


なんていって、自分がちょっと写本を再開したからといってエラそうにいろいろ書いてますが、私より先に何人も書き終えているメンバーが何人もおります。「今更何言ってんのよ〜」と自分にツッコミいれているところです…。

いやでも、写本はいいですよ、とあらためていいます。
書き写すことで方向の違う理解が深まります。
また、学ぶにおいて、人から教えてもらうだけではなく、自らの気づきや、疑問に立ち向かう姿勢が必須ですが、それにも役に立ちます。
操体に関わらず、気になったらどんなジャンルでも書くことをおススメします。

三浦先生は今でも気にいった本があると書き写しているらしいです。

私もそう書いた以上は仕上げてみせますぞ。



いよいよ明日からマドリッドにてヨーロッパ初のフォーラム開催。
歴史的瞬間ですね。
みんな、どんどんアバレてきてください!


森田珠水

9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラムin マドリード」開催
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。