東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

積み重ねる

この連休の休みを使い整骨院の模様替えをした。
模様替えとは言っても大半はたまったホコリを
払う大掃除の様なものではあったが、
やはり綺麗になると本当に気持ちが良いものだ。

話は変わるが、先日行って来たスペインの話・・・

高校時代の修学旅行で韓国(福岡からだと京都より近いのです。)
に行った以来の海外旅行、しかも遠く離れたヨーロッパ。
出発前は気分が憂鬱になるほど緊張していたスペイン。
到着したマドリッド・バラハス空港を降り立った感想は、
「なんて綺麗な街なんだろう。」というものだった。
綺麗と入っても町中で路上喫煙はしているし、
吸い殻はそのままポイ捨ては当たり前と言う
日本では信じられない様な有様であったが、
話では街が人を雇い雇用促進で清掃作業をやっているらしい。
何よりも路上の塵も気にならないくらいの建築物の見事さ。

以前フォーラム実行委員の佐伯さんが発表の中で
石の文化のヨーロッパに対して、日本は木の文化と
表現されていたが、今回初めて納得がいった。
建物が全て石の彫刻に見える。
それが顕著に感じられたのは古都トレド旧市街の観光だった。

トレド旧市街は街全体がユネスコ世界遺産に認定を受けており
7〜800年前の都市の建築物が現在でも大切に保存されている。
しかも美術館の中で保存されているのではなく、
市民の日常生活の中で歴史を積み重ねながら保存されている。
歴史の重みというのを実感させられた。
その中でカテドラルと呼ばれるトレド大聖堂を見学した。

建設に260年あまりかけたと言うその姿は
あまりにも重厚で威圧感すら感じられる程であった。
建物の中に足を踏み入れると見事な室内装飾や祭壇が
見るものの眼を捕らえて放さない。
何か大きな力で包まれているというか、
押さえ込まれている様な感覚にさえ襲われる。
これがキリスト教建築の持つ宗教観なのかもしれない。
大聖堂を出た時に一番に出た感想が「息が詰まりそうだった。」である。
決して操体的とは言えない感想である。
橋本先生の教えの中に『バルの戒め』というものがある。
縛らない、威張らない、欲張らない、頑張らない
しかし、この教会の持つ雰囲気にはその全てが感じられた。
(あくまでも私個人の感想なので皆がそう思うかは・・・)
遠くヨーロッパに来て自分の中のニッポン人を感じた瞬間である。

先週の佐助さんのブログにあった『日本の田舎』のおおらかさ
これはヨーロッパの重たい石の文化とは姿形は違っても
長い歴史を経て積み重ねられて来た伝統文化の美しさは変わらないのである。


秋穂一雄


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11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。