東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「継承」〜UNO〜

UNOというカードゲームがあります。
これはスペイン語のひとつ目を示す言葉なのですね、恥ずかしながら知らなかったのです。
小松実行委員は、日本で一ヶ月前からスペイン語の勉強をしてきたそうで、持ち前のおもいっきりの良さに加えて社交的であり、ハグの国?スペイン滞在中には私達は勿論、現地の方にも喜ばれていました。ホテルのチェックアウトの際、フロントに部屋番号を尋ねられて、「ヨンイチキュウ」と思いっきり日本語で真面目に伝えた私を見かねて?そして数字の1さえ知らなかった私に「NHKテレビでスペイン語という番組が丁度10月から始まるので、それで勉強してみたらいいですよ。毎日五分でも聞いていておくことが大切ですよ」と、アドバイスをして頂きました。
日本に帰ってきてから録画して見ているだけでしたが、何故か患者さんが私に最新テキストをプレゼントして下さいました。「ハイ!これはやらなきゃ(いけないんだな・・・)」と、重いお尻に着火しました。お世話様です、ありがとうございます。

今回からしばらくのあいだ、自分の感じている「継承」をテーマに書かせて頂きます。
私にとって操体を学ぶ上での、必須条件に挙げておきたい大切なことです。
なぜなら、「イノチ」を扱うのですから。
患者の痛みや愚痴を扱っているわけじゃないのですからね。
(*継承を見ると、辞書では「うけつぐこと、ややかたい表現」とあります)
「ソレは、ワタシに向けて意識の確認をします」
ソレは、直接会ったとき、口を酸っぱくして言っていました。
厳しいことを伝えてくれる人がいたら、その人はあなたの心の友人である。
夜明けも沈まなければ、新たに迎えることはできないのだ。
たった今、知ったいまから、しっかり切り変えなさいよ、と。
いま、始めるということは、今を生きていることである。
振り返って自分の生活基盤がしっかりできていない・・・そう感じるならば、
自分のまわりとも良い状態にできておらず、何より迷惑なのは自分自身なのだ。
上っ面ばかり見ていれば、面こそ流れているようでも、底の流れが違うことさえ見えない。
するに他者関係の不幸とは、自分とのつきあい方があまり確立されていない事によるのだ。
重要な順序が逆立ちしていることに気が付いていても、
それに向かっていないところがある。
肝心なことは自分のことなんだよ。
これだけは自分で決めるしかないし、貴方の素晴らしさを知っているが故にもどかしい・・・。
八方美人は、自分を通じて騙し続けることで幸せなのだろうか。
徹底して自分を滅することで他者の共感を得られるのだろうか。
中途半端では結果として、誰も幸せにできていない。
自分の顔をまじまじと見つめなさい。
思わずほころぶ笑顔をたたえているのか。
いわゆる八方美人は、心の中で焼却されていくしかない。
戻りながらも進み続けるしかない。それを感じて喜びに変えられるか。
もう一度いっておくよ。厳しいアドバイスに頭で反応してはいけない。
バラに棘があるように意味がある。思考しても良いが、そこにある香りを感じるんだよ。
それができなければ、その棘のみ受け取れば、自分の良さも削ってしまう・・。
自業自得と言う言葉、これは悪い言葉じゃない。
誰かを責める言葉でもなく、そこに愛を感じること。
「継承していく」と言う言葉に感じるのは、自分のみで決めてはいない、決められない事。
自分で発する言葉にすれば薄っぺらで弱い。「言葉は天の意志」忘れてはいけない。

「継承」というのは生半価なものではないのだよ。
我を捨てて、自らの欲を削ぎ落とした先にしか見えない・・・。
そういうものじゃないのかな・・・と。今日も、ありがとうございます。


岡村郁生


新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part 2(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。