東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

けんちん汁から見る未来

こんばんは、今日はお天気も良く、気持ちの良い日でしたね。皆さんにとって今日はどんな一日でしたか。今日もしっかり食べて笑いましたか。
実は私、ひょんなことから月1回お料理教室と言うものに通っています。じき一年になりますが、お休みが合わずなかなか参加できません。それでもどうにか細々と通っています。そんなお料理教室に先日先生の計らいで数ヶ月ぶりに参加することが出来ました。嬉しかったです。
先生は懐石料理の修業をずっとされていた方で、縁あって静岡にやってきました。そして今は一線を退き、自宅で色々な世代の方々に懐石料理を家庭でも出来るお料理にアレンジしたものを教えています。
その日作ったお料理の一つにけんちん汁がありました。ごま油とごぼう、人参のにおいがとても美味しそうです。私は先生の横でこんにゃくや木綿豆腐を手でちぎるという作業に初挑戦。この歳になってお恥ずかしいのですが、ちょうど良い大きさに食べやすく、かつ綺麗にちぎっていくのは思っていたより中々難しい。だけど先生の「料理は繰り返すうちに体に馴染んでいくから大丈夫よ」という言葉を信じて一生懸命こんにゃくと豆腐をちぎったのでした。
お鍋を見ていた先生が言いました。「今日は少し急ぐから火を強めにしてあるけど(早く教室を出なければならない生徒さんがいらっしゃったので)普段はもう少し弱火でコトコトゆっくり煮てあげるのが良いのよ」「弱火でコトコトですか?」「そう、そうするとお野菜の旨味が上手に出てくれるのよ」。そして「さあ、ではそろそろお醤油を入れましょう、最初はお野菜に火を通してからお醤油を入れるのよ」「先生、先に調味料を合わせて煮る物もありますよね?」「そうよ、でもそれはお料理や素材によって変えるのよ、美味しく作るには順番やちょっとしたコツがあるの」と話してくれました。調味料の使い方もそうですが、油も炒めるため、香りをつけるためと使い方が変わってきます。そしてけんちん汁は本当に野菜の旨味だけだろうか?と思うほどこくと旨味がっぷりのお汁に仕上がりました。
私はその出来上がったけんちん汁と料理を頂きながら、料理というは、そして料理が上手な人と言うのはその素材を良く知り、その素材の旨味や個性を十分生かすことが出来る(引き出すことが出来る)人なんだなと思いました。
高級な食材も時には並びますが、先生はいつも私達が手に入れることが出来る食材や調味料を使って私達に料理を教えてくださいます。それでもいつも美味しく出来るのは、先生が選んできてくれる良い素材と、その素材を生かすその料理の仕方(引き出し方)です。きっと先生のからだにはその素材を十分に生かす生かし方が先生のからだに染み込んでいるんだろうなと思った。そして先生がその学びや経験を自分のからだに染み込ませてきたように、きっと私達もこうして操体を学び、からだというものを学び続けるんだろうなと。
運命に偶然はないという。全てに意味があるのだと。それなら神様は私にどんな役割をお任せになったのだろう。これから新しい時代に入っていく操体、未来の操体のために私は何が出来るのだろうか。神様は私に何を課題としてお与えになったのだろうか。
スペインの空を思い出す。私達は人生を歩み続ける。その中で色々な岐路や出来事があるだろう。それでもどんな形であれ操体と繋がって行きたいと思う。
いよいよ明日、明後日(20日、21日)に東京千駄ヶ谷の津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。テーマは新生期に入った操体操体は人生である〜。多くの方に参加して頂けたらと思う。お待ちしております。
あなたの人生で大切なものは何ですか?
では今日はそろそろ。そして最後にもう一度、2010年秋季東京操体フォーラムは明日からですよ!おやすみなさい。


小代田綾


新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part 2(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。