東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

時代劇今昔

先日の福田のはまってるものシリーズの延長戦ではありますが、テレビおじさんである私の心を掴んで話さないのが、スカパーの時代劇専門チャンネルです。以前からことあるごとに言っておりますが、歴史系・時代劇系が好きな私としてはスカパー加入動機の第一がこのチャンネルが有ったからなのです。
昔の大河ドラマや、時代劇など、若い頃は鼻で笑っていたチャンネルを夢中で見ている今の姿は、ツクヅク年をとったなぁと感じる今日この頃です。
松方先生主演の大江戸捜査網や杉良の「同心暁蘭之介」、マニアックなところでは市川雷蔵の忍びの者シリーズなどなど、歴女である師匠の畠山先生とも時々、時代劇の話しで盛り上がることがあります。。もっとも師匠は必殺シリーズ大岡越前など渋好みで、私以上にマニアックですが・・・

その中でも今、私にとって最高なのは去年の後半から、私の敬愛する千葉真一(現JJサニー千葉)』大先生の影の軍団シリーズをパート1から4まで完全放送するという快挙を行っているのです。
以前も書いたことがありますが、影の軍団は当時DVDも発売が無く、私自身どうにか制作して欲しくたのみこむと言う、販売を行っていなかったり、絶版になった様な商品を発売しようと企画するサイトに“影の軍団”発売の嘆願をしたりもしていました(お陰でPart1とPart2は販売)。
影の軍団シリーズは当時の時代劇の常識を覆した革新的番組と言っても良く、JAC(旧ジャパンアクションクラブ)で培われたアクションの数々は、今迄の時代劇にあった、ゆったりした歌舞伎に近い、殺陣から、千葉大先生のベースである空手や少林寺を組み合わせた、よりスピーディーに見せる殺陣だったり、トランポリンやワイヤーアクションなど、エンターテイメント時代劇といった色合いが前面に出たものでした。
その中から真田広之志穂美悦子(意外なところでは堤真一)と言ったJAC生え抜きのスターも誕生し、まさに千葉大先生我が世の春と言った絶頂期でもありました。
夜の番組ということもあり、お風呂屋が軍団の隠れ家に設定されていて、当時、高校生位だった私はちょいエロシーンも楽しみに見ていたのを覚えています。

話し逸れそうですが、サミュエル・L・ジャクソンクエンティン・タランティーノ監督などハリウッドにも千葉大先生のファンは多く、ご存じ、傑作キル・ビルVol.1」にも千葉大先生は岡村実行委員長が大好きな、弟子のギャバン大場こと大場健二氏と共に出演し、オマケに出演者に日本刀の使い方等々、技術指導も行ったそうです。
このままだと千葉大先生を語ろうの会になりそうなので、本題に入りたいと思いますが、よく考えたら私のブログって毎回、千葉大先生を取り上げている様な気がしました・・・藤原紀香風に言えば「どんだけ好きやねんん。。」って感じでしょうか・・・

よく我々時代劇マニアの間?では殺陣NO.1の役者は誰だ?という話題が出ます。殺陣と言えば、まさに時代劇の華!この善し悪しで時代劇そのものがぶち壊しになったり、素晴らしいものになったりするので、非常に重要な要素です。
敢えて。。敢えて。。涙を飲んで数人の強者をあげてみました・・これは私だけではなく、一般的にも言われていることなので、ご容赦を・・・
よく言われるのが、近衛十四郎(松方弘樹の父)阪東妻三郎(田村三兄弟の父)、個人的には好きな大御所、萬屋錦之介、桃から生まれた高橋英樹などの名前が挙がります。後、忘れてならないのが仮面ライダーこと自称侍、藤岡弘、大先生、抜刀術の有段者でもある滝田栄など名前が挙がります。
その中でも共演した俳優やプロである殺陣師の方々が口を揃えて名前をあげるのが、あるご兄弟です・・・この時点で名前が出る人はかなりのマニアと言えます・・
その兄弟とは、パンツ事件と今では中村玉緒の元旦那様で有名な勝新こと勝新太郎とその兄である若山富三郎先生です。
勝新の代名詞、座頭市は何回かリメイクされていますが、某ビートさんも勝新の凄すぎる居合い斬りはマネ出来ないと作風そのものを、変更したそうです。あの勝新の独特な“居合い逆手斬り”は一般には勝新のオリジナルだとする人も居るようですが、実は合気道の体捌きと、古流の半棒術をミックスして考えられたとのことです。
その天才的な実力の持ち主、勝新をして、俺なんか兄貴には到底及ばないと言わしめたまさに、芸能界一の武芸者が勝新の実兄、若山富三郎大先生なのです。
若山先生は柔道・居合道・仗道(じょうどう)の有段者であり、沖縄空手、手裏剣術などなど、もはや俳優と言うよりは武芸者と言った方がピッタリの武芸百般芸人です。
 前置きが長くなりましたが、この武芸者「若山先生」が認めた俳優が何を隠そう、千葉真一大先生その人なのです。二人が雑誌の対談で、当時、二人の殺陣のスピードについて行けた俳優は居なかったと振り返っていました。お互いが認め合った名人と言えると思います。
因みに、現在DVD等で見ることが可能な名人二人の共演シーンは、沢田研二天草四郎を演じた魔界転生柳生十兵衛父但馬之守宗矩が燃えさかる江戸城で決闘するシーンが有ります。柳生但馬の鬼気迫る演技は何度見ても凄いです。
更にマニアにお勧めは現在、時代劇専門チャンネルで絶賛放送中の影の軍団3」の第一話において、ゲストに若山先生を迎え、軍団頭目の半蔵役の千葉大先生と、架空の人物、丸目正眼の決闘シーンとして見ることが出来ます。これも、殺陣の際のスピードやら、身のこなしなど、何れも尋常ならぬ迫力に度肝を抜かれます。。。


何故、熟々とこの様なことを書いているかと申しますと、以前、フォーラム相談役平顧問が、『今の日本人の武道家で本来の日本人的身体の使い方で、技が掛けられる人は少ない』と言われたことがありました。
この話に私はなるほど!と強く感じました。私が最近作られた時代劇に違和感を覚えるのが、この事なんだと思いました。
因みにこちらの写真二枚は明治初年の頃の日本人の写真です。筋骨隆々なのにも驚きですが、下半身の筋肉の付き方には尚、驚きます。

そう考えると、あまり名前を出すと気の毒なので、何ですが現在、TBS系で放映されている“○戸△門”などは私から言わせると、現代劇であって時代劇では有りません。
役者の体捌きが余りにも時代劇離れしていて、リアリティを全く感じられないのです。意識が上半身にありすぎて、完全にうわずっているのです。
小手先だけで刀を捌いている姿を見ると、フェンシングみたいで何だか様にならないのです。
理由は下半身、丹田に意識が全くないというのが大きな理由だと思われます。着物は洋服と違い、摺り足の様にして膝を余り高く上げずに移動をするという歩法に成ります。しかし、下半身主動で動きを通さないと、洋服的動きに成ってしまい、違和感を生じる結果と成ってしまうのです。
まぁ、助さんや格さんは袴で旅をする訳ではないので、動きやすい服装故に、余計みっともない身体使いになるのでしょうが・・・
少なくとも本当に時代劇を演じるのなら、事前に専門家のところで教えを乞うとか、日本人には日本人の身体の使い方があり、骨格の違う西洋人とは明らかに違うのです。見様見真似で殺陣を学びスポーツ的身体の使い方で動きを通せば、見るものが見れば何とも違和感のある、和洋折衷な時代劇となってしまいます。

時代劇は大袈裟に言えば『文化』なのですから!だから私が最近作られる日本の時代劇に興味が無く、スカパー(決して広報部長ではございません)の時代劇専門チャンネル日本映画専門チャンネルなどで、時代劇黄金期のものを見るのです。
この頃の銀幕のスター達は、華もあり、見てても無駄がない!格好良い!!それに引き替え今は、事務所が仕事を取ってきたから、仕方なく時代劇に出演するのではなく、少なくとも役者としてのプライドが有るのなら、文化継承者としての責任を持って、演じて欲しいと切に願います。

と言いながら今日も録画した、影の軍団を見る私でした・・・
↓こちらは”若山先生”の映画版「子連れ狼」の拝一刀でし


福田勇治


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