東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

 根源的なもの(1)

おはようございます。
4月も中盤をすぎ、暖かくなってきました。
春季東京操体フォーラム分科会も、もうすぐですね。
いつもは土曜、日曜の開催が多いのですが、今回は29日の金曜日です。
まだ若干、席の余裕があるようなので、詳しくはこちらからご覧下さい。
                       東京操体フォーラム


「生体の歪みを正す」橋本敬三論想集の26ページの文章からですが
性 ― 性には消費の性と蓄積の性がある。
異性が互いに接近し、語り合い、見つめ合い、触れ合っただけで充電される。これをいかに清潔に優雅に高尚に行うかは、その人の知彗による。性の充電のないのは気枯(けがれ)となる。
消費の性は節約の一語につきる。コントロールは呼吸法による。餓鬼意識を捨てること。
思いやりとサービス精神が天国を開く鍵となる。
という文面が載っています。
これは、「日常生活の手入れ」の項目のなかの文面ですが、自己最小限責任生活必須条件である「息、食、動、想」と同じ様に、「性」も日常生活の中でこのようにしなければ、歪みが出来てきますよ、というかたちで書かれています。
「性」となると個人の男と女が営むものですから、個人の「息、食、動、想」と人為的環境の関連として「性」と捉えても良いと思うのですが、そうしないで自己最小限責任生活必須条件と同じように取り上げているところに、「性」の生命に直結する重要性があるのだと思います。その理由については様々なことが考えられますが、一つには「息、食、動、想」については個人がこの世に生まれ落ちてからのことですが、「性」はそれ以前の事柄も含むからなのだと思います。
これは橋本先生が70歳の頃に書いた、「遺言」と題して日本医事新報に載せた文面からも窺い知ることができます。
生命現象のギリギリのファクターを整理してみてはどうですか。
 まず七つのことが残るようです。
(一)生かす力の環境、
(二)生かされている生命体の過去から未来に流転しつづけているこのナマミの身心、
(三)これは(+)(−)の性によって引き継がれている。
(四)このナマミはオギャーの一声から息を引きとる瞬間まで絶え間なく呼吸しつづけ、
(五)飲食して行かねばならず、
(六)心をはたらかせ、
(七)そのために動くことの連続です。
と書いてあります。
 (四)から(七)はこの世に誕生してから、自分自身で必要最小限、責任をもって営まなければならない「息、食、動、想」ですが、その前の段階に「性」がきています。ですから、「性」というのは自分がどのようにして、この世に存在しているのか、その意義を学び、生きて活動している自分たちは、どう生きなければならないかを考えさせられるという面も持っていると思います。
 なぜ男と女という性別が元々の元から存在し、結ばれる時には快感が生じるのかとか、色々辿っていくと、(+)と(−)の元となる起源、つまり陰と陽という異なる性相(本体と現象)を誰が設定し創造したのかということに行き着いてきます。その誰かとは「一にして二、二にして一」の無極無限の太極の存在であり、その太極の意志により、男も女も万物すべての現象が創造されたということにつながる。そうなると太極の意志、すなわち「どうしたいのか」「どうしたくないのか」を陰(−)と陽(+)を設定する時点で通じさせておかなくてはならなくなるが、それがなんなのか、それを知る為にはどうしたらいいのか、を学んでいかなくてはならなくなってくる。学んでいく中で陰陽を結びつけ万象を具現化させているのは「愛とその法則」であり、その法則は具現化された万象すべてに貫通されており、その法則を知るのは原始感覚であり「気持ちいいか悪いかがわかるから有り難い」「イノチある存在は、快を求め、快に従い、快の方向をむく」ということにつながってくる。この原始感覚を生かされて生きて活動する中で、より高度で敏覚なものとさせ、そうして知り得た「太極がすべてのものを愛するがゆえに決めた決まりごと(法則)」を人々の健康の為、気持ちよく快適に生きるために役立てたいと考えるようになってくる。
 橋本敬三先生は医専の学生時代にセックスを生涯のテーマにしようと決心したそうですが、その時からすでに異性への好奇心という域を脱して、すべての人が生かされて生きる中で気持ちよく快適に生きていけるようにと達観されており、その生涯の中で自分の生前の身分と向き合い、その実相の中から自然法則を悟っていったのではないでしょうか。

つづく。



光は人間の解釈の仕方で、粒子にも波動にもなる。
その本質は解釈を超えた存在だが、恩恵を受けていることは誰でも知っている。
いつだって希望の光は降り注いでいる。
必ず夜明けは来る。



友松 誠。