東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

『あの素晴らしい愛をもう一度』

あれっ?今日のブログ更新されていないみたいなのでおまけにもう一日分おつきあいいただこうと思う。

今日、先日の2011年春季東京操体フォーラム分科会の特別講師新田和長氏の講演中にも話題に上っていた元フォーククルセダーズのきたやまおさむ氏のコンサートに行って来た。きたやまおさむ氏はフォーククルセダーズ解散後作詞活動は続けながらも精神科医としての臨床医そして臨床精神医学、精神分析学家として大学でも教鞭をとっており、一昨年までは、私のこころの母校九州大学で講義を持っておられた。私もちょっとした御縁で最近きたやま先生のコンサートに足しげく通うようになったのであるが、そのミュージシャンとしての顔も勿論であるが、精神科医としての目といいますか、その独特な世界感で話されるMCのあまりの素晴らしさに大ファンになっているところである。

今回もきたやまおさむレクチャー&ミュージックということで演奏の前に1時間程『あの素晴らしい愛について』という内容で講演がなされたのであるが、その中で日本の母子像を浮世絵の中から紐解くという内容のお話をされていた。きたやま先生が九州大学に在職中にこのテーマで研究をされいたそうであるが、浮世絵の中には母親と子供が共に描かれている作品が多く残されており、その事自体が西洋画には大変珍しい構図なのだそうだ。子供と言えど一個人として扱う西洋思想に対し、子は親と共にあるという日本的家族の有様が反映されているそうだ。これらの作品の多くに母親と子供が共に肩を寄せ合って何か共通のテーマを見ているという絵が多い。これは景色を見ていたり、花やおもちゃなどの静物を見ていたりと対象物は様々ではあるが、この共に視るという行為は共視(きょうし)といって同じものを見ながら親から子へ物事の価値観を教え伝えるための手法なのだそうだ。

確かにリンゴというものを伝えようとする時に、「リンゴはね、赤い果物で甘酸っぱい香りがして、形は丸いんだけど頭にはヘタがあって、お尻の方は少し緑がかっていて・・・」なんて説明するよりも、果物屋さんの前で一緒にリンゴを眺めながら「これがリンゴだよ、美味しそうだね。」と言った方が100倍リンゴそのものの様子が伝わりやすいに決まっている。共に感動を分かち合うということは教育の上では欠かす事の出来ない行為ということであろう。

話は少々変わるが、私の小学校時代の恩師は中々破天荒な人で、授業が終わると私達と一緒になってサッカーをやったり、休みの日には先生の家に友達数人で泊まりにいったり、夏休みにはクラスのみんなと一緒にキャンプをしたりという常に子供目線で物事を教えてくれる教師であった。今年になって当時の同級生からその先生が私達が卒業した後、教師を辞めて普通のサラリーマンをしているということを伝え聞いた。しかもその辞めた理由が、私達を過剰に課外に連れ出した事が教育委員会で問題となり、その処罰を受けたのだそうだ。「教育委員会ってやつは一体全体教育者の質を下げるのが仕事なのか!」なんて声がどこからか聞こえていそうだ。(私は一言もそんな事は言っていない。)今日のきたやま先生の話を聞きながらその先生のことが思い出された。本当に良い先生であった。

私達が操体を学んでいく中でも、橋本先生やその他の先生方の著書を読むだけでは、操体の本質を知る事は難しい。どれだけ親切丁寧に書かれてあったとしても、目に見えない感覚だけは文章で表現する事は出来ない。何百冊の操体本を読むよりも、確かな指導者の元で、共に快適感覚を共感する事の方がどれほど操体の学びになるだろうか。まだ操体法を実際に体験された事の無い方、来月7月18日には東京操体フォーラムの関係団体である一般法人日本操体指導者協会主催で第一回足趾の操法大会というものが開催されます。これはSPAJ認定操体プラクティショナーが行う足趾の操法を実際に受けていただこうという主旨のイベントです。是非この機会に操体の本質を味わいに来てみてはいかがであろうか。

息子よ!これがソフトバンクホークスの本拠地、福岡yahoo!ドームだぞ。

東京操体フォーラムin 京都2011は8月28日(日)に開催されます。北村翰男(奈良漢方治療研究所、奈良操体の会)、三浦寛

Sotai Forum inMadridは、9月24日、25日の二日間、マドリードにて開催致します。三浦寛

2011年秋季東京操体フォーラムは11月6日(日)、東京千駄ヶ谷津田ホールにて開催予定です。