東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「バルの戒め」について

私はここ半年の間自分の意識、体が変わってきているのに気が付きました。その理由は体の要求に委ねた生活を心掛けているからだと思います。言い換えるとそれは欲の脳のコントーロルとも言えるが例えば、「食」において朝・昼・晩規則正しく食する事を意識するのではなく、体が食する事を要求している時に要求している分だけ口にするようにしています。その聞き分けがしっかりしてくると大体食べる時間や量は毎日決まってきます。その習慣が身に付いてくると体の要求以上に食したりするとすごく不快な感覚になり、心と体のバランスや生活のリズムの波長が狂ってくるのです。それは「食」だけに限らず、仕事等でもそうです。少し頑張りすぎたと思った時は自分の心にブレーキを踏むようにし、体に異変を感じたときは1日に少しの時間でもメンテナンスをするように心掛けています。
このように日常生活における生の営みを体の要求感覚に委ねることで全てのベクトルは「気持ちの良さ」に向いている事を己の体を通して体感したのですがこれらは橋本敬三先生が説くバルの戒め(頑張るな・欲張るな・威張るな・縛るな)に結びついている事がよくわかりました。
私がこの「体に聞き分ける」ことを今まで以上に重要視するようになったのが好きなサッカー選手であった松田直樹選手(松本山雅FC)が心筋梗塞で倒れるという新聞記事を目にしてからです。松田選手は横浜マリノスに入団した時から知っていた選手なので他界されたのは非常に残念で仕方ありません。この新聞記事に目を通した時に「元気な人程、自分の体の異常変化に気付きにくい」という文があったのだが確かに言われてみるとそうだと思う。これは決して「他人事ではない」と思い、倒れてからの数日間、彼の無事を祈りながら彼の事について色々と考えていました。
松田選手は去年、長年在籍していた横浜Fマリノスを解雇されてしまったのだが彼は尊敬する三浦知良選手より「先に辞めない」という強い意思で現役の道を選びJFL松本山雅に入団しました。恐らく、肉体的な衰えは多少あったと思いますがそれ以上に「好きなサッカーをやりたい」という気持ちが強かったのだと思います。松田選手のプレーを見た事がある人なら分かると思いますがピッチの上での彼はプレーは他のどの選手よりパワーに満ちあふれていた。そんな松田選手は私が思うに頑張っていたが頑張り過ぎてはいなかったと思う。この「過ぎ」というのは自分の許容範囲内を超える負担が生じた場合の事を指し、彼の場合は好きなサッカーを許容の範囲内で一生懸命プレーしていたと思うので「頑張っていた」と表現させてもらった。そんな彼が近日どこか体に異常を感じていたかは分かりませんが、もしかすると彼の頑張りに反し体が自分の心が知らないうちに悲鳴をあげていたのかもしれない。今回のように突然、命を落とすような事態になりうるので松田選手に起こった事は重く受け止めなければなりません。
橋本敬三先生も著書の「からだの設計にミスはない」にて「許容度からハミだすな」と書かれています。その許容度の範囲も自分の体に聞き分けなければいけないのだと私は思います。
みなさんも「過ぎ」には注意して人生をエンジョイしてください!