東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

時空を超える

三日目です。今日は「時空を超える」についてもう少し考えてみたいと思います。よろしくお願いします。
もし自分の意識が、自由自在に時空を超えられると言ったら、現代の生活環境に準じて生活している僕の周りの人々はどう思うでしょうか。きっと何かの能力者や天才として見るか、精神的に問題があると見られるかのどちらかではないかと思います。  
精神医学者の津本一郎氏の説では、宮沢賢治氏は人の死を予知する幻覚をみたことがあり、この幻覚を予知能力のあらわれとみているそうです。このようなことは、精神分裂病圏内の中にあらわれるとされ、精神分裂病と同じように自我境界のゆるみに他ならなく、自己と他者の区別、過去と現在と未来の境界の普通なら存在する画然たる枠が消失するとされています。
普通の精神分裂病者でも自我境界が消失し、自我機能が障害されることがあるようですが、その結果生じる症状は、思考化声(考えが声になって聞かされる)、幻聴(囁きや命令の声を聞かされる)、体感幻覚(身体をいたずらされる)、被影響症状(さまざまな影響をうける)、させられ体験(他者によって自分が動かされる)、思考奪取(考えが奪われる)などのような、いずれも「受動態の体験」だそうです。能力者はその逆の能動態の体験とされ、自己の影響によって他者や世界を支配する自我拡大の体験ともいうべき能動的な体験が認められ、たとえば予知・予言(時間)、千里眼・透視(空間)、テレパシーや霊の感応(自他の区別の消失)、念力(自己による外界の支配)、共感覚(感覚同士の区別の消失)だそうです。この中の共感覚者は約40%弱が神秘体験の経験があるそうです。
共感覚(きょうかんかくsynesthesia)とは、ある刺激に対して通常のひとつの感覚(臭覚、味覚、触覚、聴覚、視覚、動覚)だけでなく異なる種類の感覚を一緒に生じさせることができる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいい、例えば共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりするそうです。
神経学者のリチャード・E. シトーウィックは、共感覚の診断のために用いる基準を1.共感覚者は空間的なイメージの中で、自分の位置している場所がはっきりと分かる。2.共感覚は無意識的に起こる。3.共感覚の知覚表象は一貫性がある。4.共感覚はきわめて印象的である。5.共感覚は感情と関係がある。とされています。詳しくは東京操体フォーラム実行委員ブログの2010年10月5日を参照してください。
操体法で快適感覚を味わっていると、無意識のからだの動きや、共感覚に似た知覚現象が現れることが多く見受けられ、魂・意識は時空を超え、きもちよさの神秘体験をしているような感じを受けます。
意識・魂の求める快適感覚の世界は、きっと自我境界のない世界ではないかと考えられ、もしかしたら、快適感覚を十分に味わっている間に、未来や過去が見えるかもしれませんね!
ありがとうございました。

Sotai Forum in Madridは、9月24日、25日の二日間、マドリードにて開催致します。三浦寛

2011年秋季東京操体フォーラムは11月6日(日)、東京千駄ヶ谷津田ホールにて開催予定です。