東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「言葉は運命のハンドル」

今日は「想」に関してのお話です。「想」とは精神活動のことです。
簡単に言うと、その人がどのようにものを考えるか・捉えるかということに
なるかと思います。橋本先生の言葉に「言葉は運命のハンドルである」と
いうものがあります。これは、今、目の前にある現象はその人がふだん
口にしている言葉が招いているという意味です。たとえば、否定的な言葉を
口にすることが多い人は、マイナスなものを招いてしまいます。
他人の悪口ばかり言っている人は、やはり他人からも自分の悪口を言われている
であろうことは、みなさんも想像に難くないと思います。逆に他人を褒めること
が多い人は、他人からも喜ばれ、それにより自分もまた楽しい気分なります。


私は「想」の概念を学んでから、自分の言葉よりもまず、他人の言葉が気になるように
なりました。否定的な言葉を口にする人と一緒にいると、以前まで気にならなかった
そのような言葉を聞いているのが苦痛に感じるようになってきました。


私は月2回老人ホームでボランティアをしているのですが、「○○が痛くて」と言う方と、
「若い人がこんな年寄りにやってくれるなんてありがたい」と言う方とがいらっしゃいます。
その方たちから受ける印象は全く違います。前者からは少し硬い感じ、後者からは非常に
穏やかで軟らかい感じを受けます。「僕もこの(後者の)ように年を取りたいものだ」と
思っています。そして、それは自分が口にする言葉を意識して統制していくことで可能だ
ということです。これは何も操体だけで言われていることではありません。「できない、
できないって言ってると、いつまでたってもできないよ」なんて、よく耳にしますよね。


悪いことをしたら悪いことが返ってくる。良いことをしたら良いことが返ってくる。
当たり前のことなのです。しかし、人は自分がする行為に対してはそういった注意を
向けても、自分が発する言葉に対してはそういった注意を向けません。
他人に影響を及ぼすという点においては自分がする行為も、発する言葉も同じです。
自分が口にする言葉に気を付けること、耳に入ってくる否定的な言葉に敏感に
なること、この2つに意識を向けることで、ものの考え方・捉え方に変化が出てきます。