東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

私にとって操体とは・・・〜無意識へのアプローチ〜

 私にとって操体とは・・・の六日目は、操体法は無意識へのアプローチにも繋がっていると考えられるので紹介したいと思います。
 昨日のブログでふれたように、からだが動くということは、無意識の活動からはじまり、遅れて意識が活動し、インパルスが伝達されからだが動くという流れになりますが、無意識のアプローチはその逆の流れになるのではないかと考えられます。からだの動き→意識→無意識という流れは、操体法でいう快適感覚をききわけさせる動診(診断)と操法(治療)である第二分析の流れに非常に近いように感じます。
 操体法の第二分析では、身体運動の法則(重心安定の法則、重心移動・移行の法則、連動の法則、呼吸との相関性、目線との相関性、意識との相関性)に基づき、ひとつひとつの動きに対して快適感覚の有無をからだに確認します。これはからだの動きによる感覚受容器を活用しています。そこで快適感覚がききわけられたら、ききわけられた快適感覚が味わってみたい要求を満たしているのかを再度からだにききわけることで、意識とからだの対話となります。したがってからだ→意識までの過程が動診となることが考えられます。その後はききわけられた快適感覚を十分に味わう操法となりますが、操法に入ってからの動きはどんな動きになっても、からだの要求ときもちよさに委ねます。このときの動きは無意識の動きとなります。
 操体法では、からだの感覚→意識→無意識という流れで無意識へのアプローチになるといえるのだと思います。
 実際に操体法を受けて、野球のバッティングやバトミントンなど瞬発的な動きを要するからだの動き対して反応しやすくなったという方が多く見受けられます。からだをどんなにトレーニングをしても脳とからだの間には、0.5秒の時間がかかります。この0.5秒後に動いていたのではすでに遅いわけです。0.5秒前に判断し、予備動作をする無意識の動きが必要なわけですが、この無意識の動きを引き出すことが操体法では可能だということだと思います。そして身体運動の法則のからだの動きによって、無駄のないホームの獲得もできるわけですから、無意識・意識のそれぞれの動きが向上し、スポーツ選手のレベル向上に繋がったことが示唆されます。
 意識的な動きと無意識的な動きの両方を引き出せる操体とは、この自然の中で生かされているからだの動きを、理に適った方向へ導く羅針盤そのもののような気がします。
 今日はこのあたりで・・・。ありがとうございました。