東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

心を動かす。

人の心は移ろいやすい、移ろいやすく動くという事は
心は確実に動くという事でもある。
動いてしまう心を、自分自身の意志で自由自在に動かす。
そこに武術の真髄の1つがあります。
練習で強いのに試合では弱い。
それは練習と試合では、心が違っていた可能性の方が高い。
練習と試合で身体が変わる事は、あまり考えられないのですから。
身体を動かす心が変わったと考えたほうが、より具体的な気がします。
人は心の持ち方で身体も変わる。
人はストレスであっという間に胃に穴を開けたりする。
少し風邪気味の時、楽しい時間を友と過ごしたりすると
帰った時間には、風邪はいつの間にか治っていたりもする。
立禅は胸の前に手を当てる。
胸には心臓がある、心臓に離れた状態で手を当てるようにする。
心臓は心の臓と書く、英語でも心臓はハートと呼ばれる。
その位置と手の形に秘訣が在る。
胸の前の手の位置と形を変化させると、何かが変わる感じがする。
近過ぎれば胸が締め付けられる感じもするし。
離れ過ぎれば何かボーっとぼやけるような感じもする。
手の位置を探りながら、記憶を呼び起こす。
楽しい記憶を呼び起こす。
未来や知らない心を導くのは現実には難しい。
自分の知っている、楽しい記憶を呼び起こす、その方がより具体的。
武術とは極めて具体的なものでした。
武術家のおこなう治療も同じでした。
記憶を出すのは、始めは案外難しい。
それでも段々楽しい記憶が出るようになって来る。
出て来た記憶は、消えてしまったり、他の思いに移ろう。
それを取り留めておくように続ける。
人の身体は続ける事で鍛えられる。
筋肉同様に、心を動かす力も続ける事で、鍛える事が出来る。
心を動かす早さ、心の持久力、心の強さ。
そのどれもを筋肉同様に鍛える事が実際には出来る。
そのやり方が武術の根幹の1つでもある。
人は心で身体が変わるのですから、命をかけた時代にそこに注目し
その力を引きだす事に心血を注いでも不思議は無い。
梅干を見ると心に変化が起きる。
梅干を見ただけで、人は反応し唾が出て来る。
楽しい記憶を自分の中から引き出し心を動かす。
そうすると身体に変化が起きる。
まずは、そうやって心を動かす事を覚えてゆく。
そこから武術として心を動かす方法に進んでゆく。
この方法は始めに身体を健康にするのが良い。
この方法を知れば、身体を細かく感じ動かす
武術の鍛錬に進む時間に役に立つようになる。
氣を動かすとは心を動かす事でも在る。
決してただ思うだけではない。
それよりも遥かに高度で素晴らしい物が氣功であり
武術とは人類の英知でもある。