東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

筋絡と骨絡 

筋絡と骨絡という、現代ではあまり知られていない概念が、柳生心眼流の基本概念。
そして、古来より続く日本武術の概念、この2つの概念は大陸には存在しない。
電気製品や自動車に工夫を重ね世界1となった日本の技術力と同様の事が
かつての日本で在った。
大陸の人体構造学に、日本独自の工夫を積み重ねた結果見出した、筋絡と骨絡。
人の骨はツルツルではないし、筋肉はただの塊では無い。
骨の表面には無数の窪みがあり、まるで山や谷のようになっている。
そして表面はざらざらしている。
そこに髪の毛よりも細い筋繊維が絡みつく、だから骨から筋肉は離れない。
ただ筋肉が骨に、接着剤のようにくっ付いていれば自由に動く事は出来ない。
骨にどうやって筋肉が付いて、人の身体が動いているのか。
そこに日本武術の工夫と知恵の結晶が在る。
言われてみれば合点が行く事は、知らなければ、ずーっと知らないままで終わる。
これを知れば、武術は正しい用法を用いる術と変わる。
これを用いれば活法も、本来の医術として用をなす。
絡みついた筋は、外れるような事はめったにない、但し微妙にズレル事はある。
複雑な動きを産み出すには、多少のズレルような余裕も必要だから筋は動く。
骨の窪みに自分の骨の窪みを当て、筋をずらせば相手の力を内側から奪う武術の術となる。武術は自分の力を使わないのではない、相手の力を使わせない事が武術の術の根幹となる。病んでしまった身体の多くは、歪んでいる。
歪みは、骨の窪みと、筋がずれている事が多い。
それを元に戻せば、身体の内側から健康に戻ってゆく。
身体の歪みを、かつて日本人は、このように考えて来た。
筋引きという術は、遥かな昔から日本にあった。
筋を動かすのが、大陸の氣を動かす事、2つは同じように感じる。
2つの学びの中で、僕は感じる。
皮膚の下の筋肉を動かすのが氣功。
日本武術はそれを筋と呼ぶ。
大陸と日本の感じ方の違いが言葉を2つに分けた。
実際には同じ事をやっている。
僕には、そうとしか思えない。
ずれて張り付いた筋は、動かす事で元に戻る。
人の身体は健康に戻りたい、それが生命の意志。
戻りたいのに動けない筋は、動かしてあげれば勝手に元に戻る。
脱臼と同じように、上手くずらせば、後は勝手に良い位置に収まる。
脱臼ははめるのでなく、綺麗に外せば元に戻る。
外れた関節をはめる事は必要ない、もう一度綺麗に外せば良い。
人は骨格で身体を支え、筋肉で動かし、それを皮膚で包み込む。
骨格と筋肉の関係は、窪みとギザギザに筋繊維(筋)が
綺麗に絡む事で、正しい動きとなり、健康な状態となる。
身体の歪みを正す、大元は
筋絡と骨絡の関係を知ると案外簡単に見えて来たりする。