東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

言葉について〜 手入れ・・・1。

おはようございます。



出した言葉の方向に必ず心が向く、という原則がある。
そして、心とからだは中枢神経を介してつながっている。


言葉を慎重に統制できる人を賢者と言い、口に戸締りのできない者を痴人(しれもの)という。
これを頭だけで、上手くコントロールしようと思っても、無理があるようです。

脳科学者の茂木健一郎氏は、俳人黛まどかさんとの共著「言葉で世界を変えよう 万葉集から現代俳句へ」の中で、「準備電位」と呼ばれる脳神経活動を元に、「考える前に脳が動く」ことを準備電位が示しているならば、発話という行為にも実は同じようなプロセスが当てはまるのではないか。実際脳科学の分野では、このような推測のもとに、発話における「言葉の準備」は意識以前に始まるのだと考えられています。根本的に言葉の生成に関わっているのは、いわば「無意識の領域」だということです。と書いています。

「準備電位」については、実行委員ブログでも佐助さんが3月29日に、身体運動の面から紹介しているので、詳しくはそちらを参照していただくとして、人間は自分では自らの意思で行動しているつもりでも、意識以前に「無意識の領域」が脳を動かしているということです。つまり、イノチを宿すからだが、行動や言葉の生成の源泉になっているという事だと思います。

茂木健一郎氏の文章を、途切れ途切れにして申し訳ないですが、「準備電位と言葉」「無意識との勝負」と題した文章の最後には、だからこそ、身体が鍵となる。無意識の宿り場は、あくまでも身体だからです。その人がどのような経験を素地とした身体性すなわち無意識の場を持っているかが、言葉の生成において非常に重要になってくるわけです。と書いています。

その人がどのような経験を素地とした身体性すなわち無意識の場を持っているかが、言葉の生成において非常に重要ということは、日々の手入れが殊更に重要となってきます。なぜなら嫌な事、不快な事が経験の素地の大半を占めていれば、無意識に口を吐いて出る言葉も嫌な事、不快な事を表す言葉となってしまうからです。
そして、出した言葉の方向に心が向いてしまうという原則があり、自分や自分のまわりをそのようにしてしまうからです。それが無意識の領域に刷り込まれ、年がら年中嫌な事、不快な事を表す言葉ばかりが口を吐いて出てくるようになったら、そういう運命となってしまっても仕方がないのです。もし、みんながみんなそうなってしまったら、この世は生き地獄と化してしまいます。
だから、日々の手入れが重要となってきます。早め早めに、手入れをして嫌な事、不快な事を引きずらないようリセットしておく必要があります。
では、どのように手入れをすれば良いか。それは明日とさせていただきます。



友松 誠。

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