東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

生命エネルギーのインプット〜その4〜

柏樹社主催のシンポジウムの際、竹熊宜孝氏、野口三千三氏、福岡正信氏、和田重正氏、金光寿郎氏と、
参加者の皆さんの前で橋本敬三先生はこのように語っている。

地湧きの思想〈1〉未来を啓く人間観 (1980年)

地湧きの思想〈1〉未来を啓く人間観 (1980年)

「(204頁より抜粋)それからこんなこと言っていいか悪いか知らんけれども、普通一般の人は裏の裏をあんまり知らないんですよね。裏のことわかんないで表面のこと、(中略)だからそういうことちょっと気がついたら、だまされないようにしてください。だまされてるんだから。だまさなくちゃ金儲かんないからね。本当に吸い取られているから、残念ですよね」と問いかけ、
からだの設計にミスはない―操体の原理

からだの設計にミスはない―操体の原理

『からだの設計にミスはない』259頁にも、81歳で”地政学”を知ったことは、天成の道を歩んできた
橋本敬三先生にとっても”天啓”だったと紹介しているのである。
悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)

悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)

『悪の倫理』では、地政学(日本を含む地理環境としての観方捉え方の一つ)と黒幕(世界の情報操作による表面と裏側)について”知る”ことを進言している。
内容については長くなりそうなので、ここでは私も書籍紹介にとどめておこう。これも、無知は罪であることを知り、さらに原始感覚を磨く一助となるだろう。
生体の歪みを正す オンデマンド版―橋本敬三論想集

生体の歪みを正す オンデマンド版―橋本敬三論想集

さて、今日も(続きです)
『生体の歪みを正す』(5頁13行目)
「(前略)そもそも大前提として、生命体(身心ともに)の設計は完全に出来上がっているけれども、我々の生命現象において、
 他人に変わってもらえない最少限四つの営みがある。呼吸、飲食、身体運動、精神活動である-----性生活ももちろんあるが、
 四つは常時必須------。これらの営み方には、それぞれに自然法則があり、反則すればアンバランスが起こる
 現時点での健康度は、今までの、これらの営みの集積の結果であり、しかも、これらはお互いに同時相関相補性になっている。
 これらの法則の研究は医学者の責任であり、営みの指導は医師の責任と考える。
 生命エネルギーの収支バランスの可逆性を巧みに応用するには、医師自らこれらに習熟することを要する。プロフェッションの座がそこにある

橋本先生の直弟子三浦寛先生は、この法則を噛み砕き、飲み込みやすく介助する達人であり、生き方の自然法則を入力・出力で分類した。
つまり、「息」と「食」は生命エネルギーのインプット、そして生命エネルギーのアウトプットは「動」と「想」となる。
そして「環境」とは、これらを包み込んで生命エネルギーのバランス現象の流れとなる。そしてこれを操体用語「Zの法則」とした。

「ケイゾーコード」法則の研究と営みの指導という医師の責任とは、
橋本敬三先生の著書のオウム返しや、臨床でも橋本敬三先生の行っていたことだけで満足することではない、と私自身思っている。
学ぶなら、コピー&ドラッグでは勿体ない。方向を変えての考察や自分自身の実践による語りを「操体」の器に入れて味わって欲しい。

(前回からの続き)
野口英世氏の言葉に「すべての病気の原因は酸素欠乏症である」とあり、
高橋迪雄氏の言葉に「現在では食べ物が足らなくて粗末すぎて死ぬ人は殆どなく、多く食べ過ぎて死ぬ人は無数です」とある。
ノーベル医学賞の細胞生理学者ワールブルグ氏は、悪性腫瘍とは”ほぼ酸素を使わないで生きていける”ことに注目していた。そして、「細胞が必要な時に酸素が供給されない状況が続くと、酸素なしで生きていける細胞(=ガン細胞)に変化する」という説を唱えており、要するに「ガンは細胞の酸素不足が引き金になる」という説は、実際に日本の大学でも検証されている。
これらの説を引用すれば、からだの各細胞に酸素を運ぶ、血液循環の”慢性的な不良状態”とは、生命エネルギーの停滞でもある。
ガン細胞の発生原因ということは勿論、全死因の60%以上を占める生活習慣病脳梗塞心筋梗塞悪性腫瘍)にも関わっており、現代医学的に言えば、病とは血液の循環不良から始まるともいえるし、東洋医学でも同様、”気血”の滞り、偏りによって”証”は決まる。つまり、不定愁訴に対する理由さえこのように明確に提示、説明が容易となるのである。

ここで再度「千島学説」を裏付ける事実として、人体におけるエネルギーの生産システムを考えてみる必要がある。人体は常にATP(アデノシン三リン酸)を必要としており、これにより生命活動を行っている。
故にATP、つまりエネルギーの継続した欠乏とはエントロピー増大であり、ストレス反応により機能低下をきたし、継続した場合の結果としては気質異常から戻ることなくエントロピー100に至れば、肉体の死を意味する。それは、自発呼吸の停止・心拍動の停止・瞳孔散大を経て、完全な脳機能停止を意味するのであるが、ここで注目しておきたいのが“酸素代謝”であり、動物の証明でもある人体とは、酸素という”一種の毒素”を、エネルギーに化学変化させて無毒化して取り込むために、ミトコンドリアという酸素代謝システムを取り入れているのである。

まさに、人間とは植物の核とも言えるミトコンドリアを取り込んでいる生かされし存在なのだ。
その証明となる一つ、有酸素系のエネルギー産生システム“クエン酸回路”(TCAサイクル代謝)は機能しており、この仕組みによって、酸素を利用して効率よくエネルギーであるATPを造り出すことができるのだ。
(説明しちゃうわよ〜ウフフ)
例を出して説明しましょう。グルコース1分子が完全に代謝されてH2OとCO2になると、合計して38分子ものATPが生産されます。これに対して、無酸素系のエネルギー産生システムには“解糖系”はありますが、この解糖系(エムデン−マイヤーホフ経路)による、グルコース1分子の代謝では、わずか2ATP分子しか産生されないのです。ここで改めて人間の営みを考えてみましょう。生命維持に必要な熱産生において、”赤血球”による細胞内呼吸、酸素運搬システム、およびクエン酸回路(TCAサイクル代謝)とは、
大きく生命エネルギーの方向性に密接に関わっていることになるのですネ(説明終わり〜)

あともう少しだけ・・・語らせて欲しい。
このシステムとは、地球発生以来より存在する、原始細胞に近い代謝システムなのだと思われる。
なお余談にもなるが、ここに大切なヒントにとして提示しておきたいのが、ヒトがヒトである所以である。
変温性の動物である魚類・両生類・は虫類は無酸素系・解糖系がメインの代謝システムなのに対し、
恒温性動物である鳥類・ほ乳類(ヒト)は有酸素系・クエン酸回路による代謝システムがメインとなるのも納得できないだろうか。ここにこそ、変温動物と恒温動物の生態が成立するのだ。
故に、慢性的な酸素不足は低体温を生じさせ、生命エネルギーの収支バランス効率を著しく下げてしまい、血液中の高血糖状態をきたす。

「ケイゾーコード」を紐解く(チャンスは時節到来!)
高等ほ乳類動物であるヒトが必ずしも自然と共存しているとは、言えない場合がある。
それは、人間の設計にミスは無し!つまりヒトとしての自己責任分担、反則すればアンバランスが起こる。
集積された結果、それは人間の欲望によって重なっていく累積反則点数でもあり、それぞれの健康度を示すのだ。ただし、患者は自然法則に疎く、殆ど無知なのだから、無知は罪とはいえ・・・操体指導者(医師)は責任もある。
三浦寛先生は、東京操体フォーラム実行委員の勉強会で常に学びの重要性と再現の豊かさを求め、
操体実践の”場”において「操体を学んでいても、朽学しちゃ駄目」と日々学び、日々臨床し、日々語っている。
そして私たち弟子にできること。一つの具現化として畠山常任理事を中心にその意志を引き継ぐ法人「(社)日本操体指導者協会を立ち上げたのである。http://www.sotai.jp/
・・・ということで続きは明日(ってまだ続くのかい!)それでは皆様、今日もありがとうございます。

陰陽極まるところこそホント!見極めるなら逃げない、そして失敗は成功の母ってネ