東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

自由度が高いということ。

11月18日(日)に開催の「2012年秋季東京操体フォーラム」の特別講師は、太田剛先生である。
7月末、太田先生は「FM鹿島」のラジオ番組に出演した。私は丁度それを聞きそびれていたのだが、川崎隆章氏がデータを送ってくれたので、早速聴いてみた。母校鹿島の清真学園の話からはじまり、編集工学に終わるのだが、その中に「なるほど」と思う一節があった。
清真学園というのは中高一貫教育である。男女共学でクラスは男女別だったらしい。
太田先生が入学した当初はまだ新しい学校で、先生方も授業のあり方を模索していたそうだ。中学一年の時の国語の授業は、一年間「徒然草」だったとか、なかなか私立らしい面白さがあった。そういう自由なところがあるかわりに、エレキはダメだがアコースティックギターはOKとか、制服が厳しいとかヘンな縛りがあったらしいが、太田先生は身長180センチ、と書いて大きな学ランを作って着ていたらしい。学生はそんなところで工夫をするものなのだ。

「何でも自由にやりなさい、っていうのは実は酷なんですよ」

そうそう。
操体も同じだ。「自由にきもちよく動いて〜」と言われても、患者様はそれができないから困って操体を受けに来ているのだ。最初は、操者が手伝って「はい、それでは軽く背筋を伸ばして、私が右手を内側にとっておきますから、この状態から、中指を中心に小指側を効かせて、ゆっくりと外側に回していただけますか?」のように、ガイドがないと不親切なのである。言うなれば操者の介入は「校則」みたいなものである。
世の中にはたまに上記青文字のような言葉の誘導に対して「いちいち細かい」という方もごく少数おられるが、大抵は言葉の誘導と操者の介助補助は「最初は」必要なのだ。

★最初は「診断」しているのだから「きもちよく動いて〜」というのは順序が逆。最初は「ゆっくり動いて、感覚をききわける」。きもちのよさがききわけられたら、そこから「きもちよく動いて」あるいは「きもちのよさを十分味わって」と、進んでゆく。最初から「きもちよく動いて〜」というのは、「診断」をすっ飛ばしているのである。

考えてみると、私も中学から大学まで同じ学校で過ごした。途中から中学は別の場所に移ったが、私が中学の頃は、中学から高校、短大から大学まで同じ敷地内にあり、学生ホールにはそれこそ13歳から22歳までの女子が集っていた。
中学高校は規則がとても厳しかった。
私は小学校の頃、クラスで非常に浮いていたので、そこから離れるのが嬉しかった。規則が厳しいのもそんなに気にならなかった。
私はバスと電車で通学し、学校の帰りは毎日津田沼の「長崎屋」のレコード屋でKISS初来日時のビデオ(店頭で再生していた)を毎日見ていた。また、怖ろしい(笑)ことに、同級生の中にはロック好きな子が沢山いた。
私は中高6年セーラー服で過ごした。高校の同級生の中には「都立は私服なんていいなあ」という子もいたが「毎日考えなくていいじゃん」と思っていた。勿論カバンをつぶしたり、スカートを伸ばしたりはしていたけれど。
それはさておき、高校を卒業して、多くの生徒は同じ敷地内の短大、大学に行くわけだが、高校で押さえていた分(?)皆ブレイクするわけである(笑)。高校時代の先生と校内で会ったりすると「キレイに化粧してんな〜(笑)」とか、そういう会話が交わされたりするのだ。

これまた操体も同じで、最初は操者の手伝い(というか、あーしろこーしろという誘導)が必要で、「きもちよさをききわけろっていわれてもなあ」「からだにききわけて?どういうこと?」みたいな感じなのだが、その状態からある日「卒業」する時が来る。
そうすると「ああ、きもちのよさで良くなるって、こういうことなんだ」という実感がわき上がり、そうなってくると、臨床を受けるにせよ、セルフメンテするにせよ、自由度が大きく増してくるのである。


伊達政宗公の墓所瑞鳳殿に向かう参道。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催