東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

 操体とは・・

私は根っからのロック派である。一時期の熱心さはないが、好きなバンドが来日すれば大抵はコンサートに行く。アメリカでは50'sとか60'sに加え、最近は80'sというジャンルもあるそうで、人気があるらしい。私ももっぱら70'sか80'sを聞いている。

私が「ベストアルバムを3枚挙げよ」と言われたら必ずベスト3に入るアルバムがある。
"Destroyer"(日本語タイトルが「地獄の軍団」。当時KISSのアルバムは「地獄」シリーズだったのだ)私はこのアルバムを長年(爆)聞いている。操体歴よりも長い(笑)。余りにも聞いているので親も曲を知っているくらいだ。最初はアルバムで持っていたが、それがやがてCDになり、iPadで聞くようになっても、まだ聞いている。勿論、歌詞は丸暗記している。

このアルバムは1976年発売で、今年35周年を迎える。35周年記念で、Destroyer Resurrected(死者がよみがえるとか、復活するという意味)が、発売された。
リミックスは当時のプロデューサーと同じ、ボブ・エズリン。
目玉は"Sweet Pain"の"当初のオリジナルのギター・バージョン"と、カットされた"Beth"のヴォーカルらしい。というわけで早速買ってみた。勿論聞き比べをするのである。考えたら、デジタル・リマスター盤も持っているのだが、やはりこういう「特別盤」にはそそられてしまうのである。そんな商売上手にすっかり乗ってしまっている。

Destroyer-Resurrected

Destroyer-Resurrected

彼らはビジネスが上手いというよりも、ファンの心理を知っている。ファンを"そそる"方法を知っている。40年近く高い人気を誇るにはやはり理由があるのだ。例えば、メンバー全員がソロアルバムを出すとか、メルボルン・オーケストラと共演するとか、映画に出るとか(ベースのジーン・シモンズは『秘密警察』という映画で悪役を演じている。よくテレビで放送されているが、素晴らしい悪役ぶりである)、サラ・ブライトマンとデュエットしちゃうとか(ポール・スタンレイ)、「オペラ座の怪人」で主演しちゃうとか(これもポール・スタンレイ)いつも何だかファンが喜びそうなことをやってくれるのである。

バンドのフロントマン、ポール・スタンレイは言う「KISSは流行じゃない。ライフスタイルそのものだ」。
私も頷く。「操体は流行じゃない。ライフスタイルそのものだ」

阿川佐和子さんの「聞く力」を読んだ。その中に、阿川さんがデーモン木暮閣下にインタビューする箇所がある。
デーモン木暮閣下とは、その昔「聖飢魔Ⅱ」のヴォーカルとして活躍したロックシンガーである。そのスタイルはどうみても「KISSのファンだろ!」としか言いようがない(笑)。閣下のお姉様はその昔TBSのアナウンサーをしており、閣下は私の父が勤めていた報道部によくあのスタイルで「姉貴いますか〜?」と、現れたそうで、私の父は「デーモン木暮って礼儀正しくていいヤツだよ」と、閣下を誉めていた(笑)
現在はソロとして、相撲評論家としても活躍中である。たまに大相撲の解説をしている姿を見たことがあるかもしれない。あの格好でNHKのお堅いアナが「本日の解説は、デーモン木暮閣下にお願いしております」とか真面目に話している姿は結構笑える。

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)

阿川さんはデーモン木暮閣下に「ヘヴィメタルって何ですか?」という質問をする。
閣下の答えは「速さと激しさを追求したものがハードロックで※1」「それにクラシックなどの様式美を加えたのがヘヴィメタル※2」「速くて激しいけど、上手く歌ったってしょうがないじゃ〜ん。上手に歌うことに何の意味があるんだ〜っていうのがパンク。※3 ヘヴィメタルは上手じゃないとダメなの」
阿川さんが「閣下は普通の声は結構ダミ声ですが、歌うと高い声になりますね」「音が轟いているから、必然的にヘヴィメタルのヴォーカルは声が高くなるんです」という説明があった。
私はこれを読んで「何たる明解な説明なんだ!」と感動した。

※1 LED ZEPPELINQueen(ともに英)、アメリカではKISS、Aerosmithなど
※2 DEEP PURPLE(英)が代表的。
※3 SEX PISTOLSなど。

さて
操体」というと「整体とどう違うんですか」と聞かれることがよくある。これは私のみではなく、操体を勉強している人達ほぼ全員に当てはまるのではないだろうか。
大抵はアガワさんのようにハードロックもヘヴィメタルもパンクも区別がつかないのだ。

これはやはり「操体とは何ぞや」ということを、私達が分かりやすく啓蒙していく必要がある。
「宇宙を貫く天然自然の法則の応用貢献」と言っても間違いではないが、多分ふつ〜の人に言ったら「へっ?」と言われるだろう。
以前私が見た「操体の紹介」で強烈だったのは「操体は安全な整体です」(以前にも書いたと思うが余りにショッキングだったので、忘れられない)これだと、整体が安全ではないみたいではないか。整体の先生にも失礼である。「操体はゆっくり動くから安全」確かにそうだけど、何故「安全」というキーワードが出てくるのか(笑)

「きもちよく動いて、からだの歪みを治す」間違いではないが、これを教えてくれたクライアントの方は「痛いから行くのに、きもちよく動けっていわれても動けないわよ」と言っていた。

「(最初は操者の指示に従って)末端から、全身の動きをゆっくり操り、快適感覚の有無をききわけ、からだの要求に適ったきもちよさであれば、それを十分味わうことによって、ボディの歪みが解消し、症状疾患を二次的に解消します」
う〜ん、これではしつこいだろうか(笑)
また「操体は説明するのが難しい」という話もよく聞く。あまりいい加減なのも困るのだが、説明する対象者によって、内容を変えながら説明するしかない。これは個人の創意工夫しかない。

ボディの歪みが良くないというのはご存じですよね?
何故ボディが歪むんでしょう?歪みは良くないってみんな知ってるのに、何故歪むのかはあまり知らないんですよね。
人間には「息食動想」という、他人には代わってもらえない営みがあります。これらはべつべつのものではなく、お互いに密接に関係しあっています。
この4つと、環境のバランスが崩れるとボディが歪みます
ボディが歪むと、歪み →器質異常 → 機能異常 → 病名診断 というように症状が進行します
操体は「ボディの歪みを正す」ことによって、二次的に症状疾患を治しているのです
ところで、ボディの歪みを正す、一番の妙薬はご存じですか?
それは「きもちよさ」なのです
快か不快かききわけるちから、それを原始感覚といいます。きもちよさをききわけて、味わうには不可欠な力です
ところが現代人はそれが鈍っている場合が多いのです
そこで、原始感覚を目覚めさせ、育てるお手伝いをするのが私達操体の専門家なのです。

などと、今日も色々考えているわけなのである。

一週間ありがとうございました。明日からは島根の福田師範代の担当です。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催