東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体的呼吸(五日目)

我々は出生時において始めて呼吸を学ぶことになる。出生時点に居合わせた医師や看護師それに両親などが、自身が知らずとも、呼吸の仕方を教えているのである。出生というのは爆発的な感情エネルギーを伴い、呼吸をどのようなものとして学ぶかは、そこで重大な意味を持っている。赤ん坊は生れ落ちて間もなく、エネルギーと呼吸と感情との基本的な関係を自身で確立してしまう。
実は、母親ならみな感づいていることだが、生まれたての赤ん坊であっても、意識も知性もあり、反応することや、印象を受け取る力があるいうことだ。本当のことを言うと、むしろ意識過多といった方がよく、生後、数時間は、生涯で最も敏感にトータルにまわりの世界を意識しているのである。しかし、生きのびるために、膨大な感覚のインプットをふるいにかける無意識のメカニズムを徐々に発達させていくことになる。こういった時期の赤ん坊は、自分を大きくひらき完全に受容的であって、呼吸をはじめとするすべての感覚を通して全世界を取り込んでいるのだ。まさに原始感覚の始まりである。
この赤ん坊のような受容的な感覚を得るには、静かに座って、背筋を伸ばし、意識的に頸部や肩周辺を楽にして、胸部や腹部を緩めて、心穏やかに落ち着けていると、呼吸は自然に深くゆっくりとしたリズムになって、心もからだも心地よい快感覚に包まれてくる。やがてはイノチの波動も感ずることができよう。


それでは例によって操体的な呼吸をしながら感じてみよう!

〝 ゆっくりと、やさしく、やわらかく鼻から入ってくる息に目線をつけて、
からだの中をいっぱいに満たして、息を止めないで、ただそっと、
なめらかに、鼻から息を送り出そう 〟
〝 無理なく、自然に鼻から外へ息が流れ出ていくように 〟
〝 そしてすっかり息が出てしまったら、間をおかず、
また入ってくる息に目線をつけて、からだいっぱいにしよう 〟
〝 やさしく、やわらかく、からだじゅうに息を満たして、息を止めないで、
ただそっとなめらかに、鼻から息を送り出そう 〟
〝 息を静かに流れさせたら、間をおかず、
また自然に入ってくる息に目線をつけて、からだじゅうに満たす 〟
〝 決して息を止めず、こらえず、そっとなめらかに、鼻から息を送り出そう 〟
〝 さらに間をおかず、また鼻から息が入ってくる 〟
〝 しばらく続けてみよう 〟
〝 やさしく、やわらかく、ゆっくりと鼻から息を入れながら、
そしてゆっくりと鼻から息を送り出す 〟
〝 決して息を止めず、力まず、 〟
〝 そう、そっとからだの声に耳を傾けて・・・・・・ 〟
明日に続く



2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定