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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

エネルギー変換その1

 佐助の担当五日目です。よろしくお願いします。
 近年、生化学、分子生物学、そして構造生物学などの進歩により生命科学は飛躍的に進展しているそうです。これまでの研究は生命を構成する要素に関する研究が中心でしたが、生命はこれらの要素が時空間的に複雑に関係し合って構成するが「生命動態システム」で、細胞は膨大な素子がネットワークを形成して相互作用する超複雑な生命システムなのだそうです。
 ヒトは呼吸が停止すると容易に死に至りますが、絶食しても水分さえ供給されれば一週間や10日は死ぬことは無いそうです。死に至る根本的な要因は、細胞の死をもたらすような物理的な破壊が無いとすれば、エネルギーの供給が途絶えることにあります。ヒトは活動していればもちろんのこと、なにもせずに安静にしていても体内の各部はエネルギーを必要とします。寝ているときでも心臓は動き続けているし、意識せずとも血液や骨、からだをつくるタンパク質は作られています。すなわちエネルギーは常に消費され続けていて、エネルギー保存則が成り立つ以上、からだにはどこからかエネルギーが供給されなければならないのです。
 ヒトに限らず、全ての生き物では生きている状態を維持するためのエネルギーとしてATP(アデノシン三リン酸)から得るエネルギーが使われます。反応の全体をみると、ATPと水との反応によってADP(アデノシン二リン酸)とリン酸になる過程で発生するエネルギーが消費されます。
 ATPはリン酸部分が高エネルギー結合をしたもので、高いエネルギーを与えてその結合が作られたものから、切り離す時には高いエネルギーが発生するそうです。
 タンパク質の合成、筋肉運動、生物電気作用など体が必要とするエネルギーのすべては、ATPからADPになる反応によって生じるエネルギーが使われますが、エネルギーの供給はこの逆の過程をとり、ADPから ATPになる反応で準備されます。このときにはエネルギー消費とは逆に呼吸や、発酵によってエネルギーを供給することによって、エネルギー消費の準備が行われるとのことです。 すなわち生体においては常にADPとATPの変換の反応が起きているということになります。
 細胞は生命の最小単位であり、その活動を支えるためには全ての細胞でATPの産生が行われています。この生体特有の化学工場のはたらきは、細胞内の主にミトコンドリアで起きています。ATPから取得されるエネルギーはあらゆる生命活動のエネルギー源として利用されますが、ATPは貯蔵されないので、生命維持のためにはATPの産生は常に休みななく行われなければならないのです。
 通常の細胞ではATPは1分以内に消費されますので、ATP産生が滞れば細胞は1分以内に死に至るということを意味します。ATPの産生には酸素が必要であり、従って無酸素状態の密室に入れば数分以内に意識を失い死に至ることになります。
 ATPの産生には摂食によって得られた栄養と酸素が必要です。まず、食物摂取によるATP産生の材料供給について触れてみたいと思います。
 摂食によって得られた食物は酵素によって触媒され、まず胃で細かく砕かれた後に、タンパク質はアミノ酸加水分解され、多糖類(炭水化物)は単糖に加水分解され、中性脂肪グリセリンや脂肪酸に加水分解され、小腸で吸収されます。
 タンパク質は20種類のアミノ酸が結合して作られています。そのうち9種類は体内では生産することができないもので、かならず体外から摂取しなければならず、必須アミノ酸と呼ばれています。
 単糖とはグルコースブドウ糖)等で、これ以上分解できない糖類の総称です。ATPの産生にはグルコースや脂肪が利用されます。
 小腸で吸収された栄養素は静脈から門脈を通り肝臓に移送されます。肝臓は必要に応じてグルコースを血液中に放出し、グルコースは肝静脈を経由して血液循環によって全身に供給され、エネルギーを必要とする身体各部の細胞で消費されます。このとき余分なグルコースはグリコーゲンの形で肝臓内に蓄積され、筋肉細胞にもグリコーゲンとして蓄積する機能が備わっています。
 細胞がグルコースを利用し、ATPを産生する仕組みには解糖と呼ばれる嫌気的反応と酸素を必要とする好気的反応があります。嫌気的反応(解糖)は、1分子のブドウ糖を解糖によって2分子のATPを生成しますが、酸素を必要とせず、乳酸発酵をするものをいいます。生命維持のためのATP産生は解糖だけでは不十分であり、好気的反応が必要となります。好気的反応は、嫌気的反応に対して酸素を必要とします。酸素を必要とする反応ではADPをATPに変化させるためのエネルギー源として、酸素と水素の反応エネルギーが使われます。酸素は呼吸によって供給されますが、水素は外部から直接取り込まれることはないので、細胞内で生成されなければなりません。クエン酸回路を通じて水素原子が発生し、最終的にはこれが分子状酸素と結合して水になるのですが、生体においては特有な酸化様式がとられているようです。水素原子は細胞内にある補酵素であるNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)と結び付き蓄積されます。このように補酵素によって行われる水素原子の結び付きを電子伝達系といわれます。
 ヒトが呼吸によって酸素を取り入れ、不要物として二酸化炭素を排出するのは、呼吸によって取り込まれた6モルの酸素分子から36モルのATPが産生され、このとき6モルの二酸化炭素が排出さることになる。これにより36×7.3kcalのエネルギーが供給されることを意味する。好気的反応に解糖によるATP2分子と合わせると、ブドウ糖1分子から38分子のATPが産生されることになります。
 代謝とは細胞内の化学反応で産生された水素が酸素と結合するときに発生するエネルギーを利用してADPをATPに変化させる機構であるといえるようです。
 今日はこの辺りで・・・・。ありがとうございました。