東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体治療ではない、操体臨床(臨生)である

今週のブログは茅ヶ崎から岡村郁生がお送り致しますのでよろしくお願いします。

道=タオ〜無関門〜

晩年の橋本敬三先生は、今までの操体を、”道”を語っています。
「きもちのよさを聞きわければいいんだ」
「回数も、たわめの間もすべて、気持ちの良さでいい」
「気持ちよさで治るんだからな」

そして、TVやラジオで有名になった後、仙台の温古堂に患者で来る人、お客さんには、
「こんな簡単な原理になってんだから、ウソかホントかやってみなさいヨ」
「あのね、身体はねェ、罰当てたくて当ているんじゃないのよ、親心なんですヨ」
といって、般若身経(=身体の使い方)の解説をしていました。

ところが、親しいお弟子さんには・・・。
「よくもマァ、こんなに難しいことに、おまえ達クビ突っ込んできたナ〜ありがとう」
「でもネ、こんなに面白いことはないヨ、一生楽しめるから、コツコツ学びなさいヨ」
「理に適うことが自然法則なんだから、学べば学んだだけご褒美もらえるんだヨ」
そう、おっしゃっていたのです。

この操体を学んでいくたびに、不思議なことも、かみ砕いていけば理に適うんだ。
世の中の何故?どうしてそうなるのか・・に答えていく学問体系こそ操体でもあり、
ここに、自然・不自然さを感じていく能力こそ、元々生きていくための最も大事な、
元々生まれつき備わっている能力。つまり、原始感覚なのです。

これを磨いていくための素材こそ「快適感覚」です。
それは臨床においても、からだの要求をとおすことなのです。
本質はシンプルでも、言葉で説明できることだけでは構成されていませんが、
カラダを通して、“感じること”で噛み砕いていけるのです。

そう!ヒントは”刺激”ではなく”接触なのです。
人はスパイスでは生きていけません。刺激には慣れてしまいます。
もっと!もっと!と際限なくなってしまうものには、執着しないでいただきたいのです。

いくつになってもあなたの代わりは一人もいません。
たったひとりのあなたを応援してくれるのは、いとおしい”からだ”です。
そのために必要なことは、刺激的な情報をそのまま鵜呑みにしないこと。
自分自身の原始感覚に静かに尋ね、快適感覚の有無をまずききわけて欲しいのです。

それは別の表現をするなら、本質とは何かを感じること。内観することでもあります。

自然の中に感動を味わい、小さなコトでも嬉しくなり、他愛ないことには悩まない。
よく笑うことが出来なければ、笑顔を作る練習をすればよいのです。
偽物でも、フリでもいいのです。
本質的なものであれば、そのうち本物になってきます。

食事を栄養(カロリー分析)から捉えず、営養(礼儀・営み)として捉え、
呼吸とはを大きな深呼吸することのみと捉えず、ゆっくり吐くことを主として捉えなおし、
動きなんて自分勝手で良いんだと甘えず、作法には如何に無駄のない効率のいいルールがあるのか謙虚に味わい、
考えること、思いを馳せること、言葉を発することに自ら責任を負い、
責任のない過ちに気付けたときには”からだ”に謝り、言葉の汚さに気付いたらその時点で薄めていく努力をする。

これも、世代を超え次元を超えていく有り難みなのでしょうネ
コツコツ学ぶ操体を通じて、私自身もこれを次世代に伝えたいのです。
それではこんなところで・・・ありがとうございます。

※4月28日に開催決定した「春期東京操体フォーラム」についても、
随時ホームページにてお伝えしていく予定です、お愉しみに!!