東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「操体と生きる3」

操体では人間の命の営み(息・食・動・想)における法則を説いているのだが、一体どれだけの人がこの法則を実践し、自身の人生に活かせているのだろうか。

私も理論は知っていても実際の生活の中で生かしきれていない者の一人だと思う。
いつも「間に合っていれば良い」と意識していても、いつの間にか必要以上の欲をかいてしまったり、身体運動の法則に反して踵から歩いたりしてしまったりする。
日常生活の中に存在する自我(欲)と操体で学んでいることを生かそうとする自分との間に境界線が出来てしまい、結果的に自分がやろうとしている事が継続して続かないのである。今までの自分を客観的に見てみると眠っている間に自分が成そうとしている事を忘れてしまっているように思える。人は眠っている間に数えきれない細胞が産まれ変わっている。その細胞は本来「植物性」であると宮沢賢治は言われていた。しかしこのシャバはあまりに刺激が強いため人間の細胞も「植物性」から「動物性」の細胞に変化していったのである。この細胞を如何に「植物性」のものにしていけるかが己の思考回路をイノチの要求しているベクトルに向かわせる大切な要素となる。
その為には「眠り」という人間の生命に欠かせない営みとの向き合い方が大切になってくる。

三浦先生も今回のブログで書かれていたが眠りには幾つもの性質がある。
「意識の眠り」
「無意識の眠り」
「カラダが要求している眠り」
「自我(欲)の眠り」
以上の4つは私なりの見解で書かせて頂いたのだが、こういった様々な性質があるので自分でコントロールしていかなければならない。そして、ここで注目したいのは眠りの質と寝相との相関性である。
私は寝る前によく考え事をする。己の中にある「期待」「不安」等を眠りに就く前に色々と考えてから寝る習慣がある。特に「不安」な事を考えてしまってから眠りに就いた時は眠りが浅く朝の目覚めも良くない。そしてカラダにも何らかの影響を及ぼす。それは寝ている間の己の意識が寝相という形で身体に影響を及ぼしているように思える。「偏頭痛」等は良い例である。一般的には生活リズムの乱れや緊張状態が原因だと言われているが、私は眠りに就くときの己の思考回路がそのまま「歪み」となっていると思っている。
橋本先生も著書で「寝相」について書かれているが眠りが身体に及ぼす影響は決して小さくない。

「寝相は体重力を利用して、骨格の凸凹を調節するのである。それは無意識が自然療能をやってくれているのである」(「からだの設計にミスはない」P104より)

このコトバからも眠りには自然治癒力を引き出す作用があり、それは人間の無意識の中にあるということである。その無意識から産まれる治癒力を活かすにはまず眠りに己の思考を持ち込まないことだと思う。

こういった眠りに対する捉え方が日常生活における己の意識の使い方を変える事に繋がっていき、自分と操体との関係を深めていくのである。

2013年春季東京操体フォーラムは4月28日、千駄ヶ谷津田ホールにて開催致します。