東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

般若身経からはじまる・・・4。

おはようございます。

 操体法は、創始者橋本敬三の「気持ちよさをききわければいいんだ
気持ちよさで良くなるのだからな」という発言によって、従来の
「辛い方から楽なほうに動きを操る方法」である第1分析から、
一つ一つの動きを個々単独に独立させ、からだに快をききわけさせる
一極微の分析法、つまり第2分析へと深化と進化が成された。

 ここでいう深化と進化とは、身体運動の法則の3法則、つまり重心
安定の法則(からだの使い方の法則)、重心移動の法則(からだの動か
し方の法則)、連動の法則のうち、連動の法則での未開拓の部分を重心
安定の法則、重心移動の法則、つまり「般若身経」をより深めていく
ことによって、連動の法則が明確ものとなったという事。そして、連動
の法則が明確なものとなり、それを臨床に応用することで一極微の
分析法が成り立つこととなり、気持ちよさの問いかけに適う、第2分析
へと進化したという事。
 
 進化というと、より複雑化することを連想する方もいると思う。
 確かに「辛い方から楽なほうに動きを操る方法」である第1分析は
二者択一的であり、それに比べて一極微の第2分析は一極一比な為、
分析法の数としては倍になる。しかし、からだが自然良能作用を
発揮し、良くなるには「楽」ではなく「快」という事が明確になって
くると、第2分析の方がシンプルでストレートなものなのだ。
 わざわざ楽の動きを確認してから、快に対する問いかけをする必要
などないし、快がききわけられれば、即、操法に入れるのが第2分析
なのだ。
 
 第2分析は、気持ちよさに対する問いかけをシンプルでストレート
なものとしている。それを可能としているのは、からだの使い方、動
かし方の法則である「般若身経」からはじまる身体運動の法則である。
 第一分析の頃は、身体運動のうちの連動の法則に未開拓の部分が
あった為、熟練度や経験値といったもので、その効果に開きが出ていた。
しかし、気持ちよさで、からだが良くなるという事実が明確なものと
なり、連動の自然法則も明確になってくると、操体法の臨床(臨生)は
「自然法則の応用、貢献」という操体の大前提が基になっているという
事が、より明確なものとなってくる。テクニックという捉え方ではない
ということであり、キチンと取り組めば誰でも効果があげられるという
ことなのだ。誰でも自然界の一員であり、自然法則が自在してあるお陰
で生かされて生きているのだから。
 
 その取り組み方は、身体運動の自然法則を知り、「般若身経」という行
をとおして、自らのからだで体感していくことが大切と思う。
 からだに歪みを生じさせていない人などいない。特に文明社会に生きる
我々は、生活の営みのなかで、必ず歪みを生じさせている。それを正体に
近づける様、自然法則に則って身経の行をとおす。そして快、不快という
原始感覚を研ぎ澄まし、感覚をききわけていく。その土台を基に、末端関節
からの連動の理解も深めていく。その繰り返しの中で、自らのからだを
とおして、臨床での相手のからだの要求しているものもイメージ出来てくる
と思う。勿論自分も、より健康になっていく。
 はじめから上手く出来る必要はないと思う。無論それに越したことは
ないのだが、上手くからだを操れて何も気づきを得られない人よりも、
上手くいかなくとも、感覚を重視しコツコツ積み上げていく人の方が、
人の痛みがわかる、つまり、どの様にからだが歪み、それに対してからだは
どの様な不快のサインを出し、症状疾患現象に至っているかが、わかり
やすくなると思う。これは視診にも触診にもつうじ、からだの内なる要求
を感じるということにもつながる。そして、どの様な動診をするのかという
事にもつうじると思う。
 何事も般若身経からはじまり、それを基として枝葉がつき、真花が花開く
のだと思う。

一週間ありがとうございました。
来週は中谷さんの担当となります。
来週もどうぞ宜しくお願いいたします。