東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

みたて

三ヶ月ぶりのご無沙汰でございます、60年に一度の出雲大社遷宮
で大賑わいの出雲之国住人福田です。今週一週間、他の実行委員の
方々とは異質なゆるさでは御座いますが、箸休めと思い、お付き合
い下さいまし・・

昨年、今年と世界規模で不安定な気候が続き、冬の寒さの長期化や、
梅雨のフライングなど、さすが『壬(みずのえ)・癸(みずのと)』
と二年にわたって続く、冷えや寒さを伴う、水にまつわる年の締めく
くりの一年だなぁと、感じている今日この頃です。

天の気と地の気によって生かされている人間にとって、この例年に無
い天候異常は体調不良といった形で明確に顕れ、古傷、神経、精神系
の疾病に否応なしに影響を及ぼしている感じです。

特にここ数年、精神系(ストレス性疾患)の疾患は非常に多くなり、
一言に腰痛と言っても、第一次産業花盛りだった時代とは明らかに疾
患の質が変化しています。重い物を持ち運びするわけでも無く、過度
な肉体労働を常時行っていない方々が、病院の最新技術による検査で
も原因不明、最後には主治医から、心療内科への受診を勧められてい
るのが現状です。

我々、特殊な検査機器も持たない臨床家からみれば、大変な時代にな
ったなぁと思います。お医者様のお仕事は、病名をみつけ、名付けて
あげることでもあり、それがお手上げということは、忸怩たる思いで
あろうと思います。

幸いに我々はミクロな細胞やDNAレベルでボディを捉えるという観念が
ありません。あくまでもボディという小宇宙をマクロな視点で捉え、
ボディの歪みに疾病の要因があるという思想から”みたて”ます。
マクロでボディをみると、妙なこだわりが無くなり、チョットした変
化が私たちにとっては大きな変化としてクローズアップされるのです。

臨床は『みたて』で9割が決まると言っても過言ではありません。名医
とヤブの差はこの『みたて』であり、私たち操体の臨床家にとっても最
大の武器はこの『みたて』です。
この『みたて』という言葉は面白い言葉です。
私たち臨床家を守る『身盾』にもなり、臨床家として一生をすごすため
『身立て(身を立てる)』にもなって行く大事なキーワードです。
業界は違っても、超一流と言われる方々は、独特の『みたて』をお持ちです。
鑑定眼であったり、選球眼、心理眼などなど、表現は変わっても行っている
ことは同じです。
悲しいかな、超一流と一流にも大きな開きがありますし、ましてや一流と二流
では雲泥の差です。私なんぞ、先ずは一流の”みたて”をなどと思いつつ、
十年が過ぎました・・・
もう幾つ寝ると人生のお正月が来るのでしょうか。。臨床の世界は深いです・・

などということをツラツラ考えつつ、今週一週間宜しくお願い致します。