東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

p1*[岡村 郁生(おかむら いくお)] 医療水準と操体、その五

操体」と無理矢理結びつけ、考えているように見せかけているだけなのか。
それとも、「操体」にほんの少しだけでも「問いかけ」ているのか。
全く、自分自身の興味の指している方向ですが、ここまで書き留めています。
そして、文章中には時に矛盾を感じるかもしれません。

それが今週のテーマであり、「問いかけ」と思って頂ければ幸いです。
人に許してもらえるのか,人として赦されているのか。
もうしばらく・・・問いかけにお付き合い下さい。

日本において、思想としては職業に貴賎はなく、何をしても自由ではありますが
実際には、この世で本人が成している努力によって、職業は選択されてしまいます。
いわゆる「報い」なのです。
この「因果応報」とは、肉体を持っているが故に限定されるように思えます。

医療のなかにもヒエラルキーはあります。介護のなかでもヒエラルキーはあります。
ですが、「からだ」という世界共通の、最も”土台”たるべく確立された「イノチ」においては、
少なくともヒエラルキーは存在していないようです。

さて、現代の日本国を「家庭介護力」で対比してみると、60〜83歳の人口を100とした場合、
40〜59歳の女性人口とは、フィリピン220、イギリス100、日本は80なのだそうです。
なぜ男性を入れていないのかと言えば、女性の優位性にあると思います。
医療では看護師を例に、男性看護師も多くなりましたが、やはり圧倒的に女性が多い。
介護に関しても、やはり女性が多い傾向は同じなのです・・・が、それは他の理由があります。

平成18年に行った男性介護士1285人を対象にして介護労働安定センターのアンケートによれば、
男性介護士の離職率は圧倒的に多く、その理由としては・・・、
・待遇に不満(39%)・職場の人間関係(29%)・自分及び家庭の事情(20%)とあります。

ちなみに介護業界に就職を希望する若い男性は年々減少傾向にあり、
社会福祉学部を持つ大学では多くが定員割れを起こし、
鳴り物入りで始まった2000年介護保険開始時の勢いを止めたのは一体何だったのでしょうか。

多くの人は自宅で死ぬまで生きたいと願いつつ、実際は24時間見てくれる家族はいない。
子供に迷惑を掛けたくない。介護が出来るような住宅ではない。
そのような理由で、実際は最後に施設を探して・・・数十万人が老人施設への入居を待ち続けているんです。
でも実際は、その前に病院に入院して亡くなっていくケースがほとんど。
これが日本で亡くなること、つまり一般的な水準なのです。

ちなみに、
麻生元首相は、「四世代同居していたので介護の大変さは理解している。方向性は桝添大臣が正しい」と伝え、
桝添元厚労省は「母親の介護で苦労した。介護はプロに、家族は愛情のみ」と答え、
与謝野元財務相は、「子供に面倒みてもらえるとは思っていない。女房には迷惑かけられない。
入れる施設があれば利用したい」と話しているんですよね。

私は何も遺伝子治療とか、IPS細胞の可能性とか、最先端の機械医療に水を差すようなこと言いたいんじゃないんですよ。
ただ、急性期における医療水準を上げていくことは華があります。
しかし華は萎み次世代に種を残すように亡くなるのです。

もっと身近に出来ることで、橋本敬三師が何を語っていたのか。
それを踏まえて、医療と介護に限定せず、もっと真上の視野をもって問いかけに答えていきたいのです。

一つに、地域包括ケアシステムとは「環境」であります。
人が安心できる住まい、医療を受ける自由、永く流れる介護、未病となる予防、現物支給を守る生活支援、
これらが一体となって、それぞれがそれぞれを共有で出来る価値を認め、一体的に提供されていることで、
必要な「サービス」が、どこでも提供される地域。

特に、住み慣れた「環境」で”自分らしい生き方”を通して、”生かされている悦び”を味わう。

「ご先祖様、そして皆さんのお陰で 
 丸九十年生かされた。

 気持ちのよさには色々ある。
 その時よくても後で具合が悪くなるようではダメダ。

 原始感覚・・・。
 試してみて、その味を つかんで見るしかない。
                       おんころや」 〜イサキ2006年3月号〜
     
ハイ!、それは・・・「極楽」ですよネ。
ハイ!いつも、見守って頂いてのご指導、本当にありがとうございます。