東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

会いに行くアイドル

『会いに行けるアイドル』ってフレーズで一躍、一世を風靡したのが、
ご存じAKB48ですが、私の様なオジさんはもはや誰が誰なのかがサッパリ
分からず、AKBよりも一世代前のおニャン子が辛うじて分かる世代になって
しまいました。

別にここでアイドルに関して語ろうというのでは無く、何を隠そう
私もごく一部の人々の中では『会いに行くアイドル』なのです。
と言っても勿論、歌を歌ったり、踊ったり、CDに抽選券をセットで売ったりもしません。

”会いに行くアイドル”のタイトル通り、私にとってのステージとは、
会いに来てもらうのでは無く、私から直接クライアントの元へと会いにお邪魔する、
『出張施術』のことなのです。

島根県はご存じの通り?日本でも屈指の過疎県+ご年配層が多い地域です。
首都圏と違い、交通網は年々縮小、バスや電車を乗り継いで研究所へ来て戴く
となると、一日がかりになる大仕事なのです。若い方ならまだしも、ご年配の
方にとって最大の負担は、交通機関の待ち時間やしんどい身体を引きずっての
長時間の移動なのです。
そんな島根の交通事情や人口動勢も考え、私は開業当初から、出張施術には力
を入れていました。

島根県は海も山も近く、若い頃は自然を利用したレジャーには夏も冬も事欠きません。
裏を返せば自然環境が過酷な地域に住んでいる方も多く、車無しの生活は考えられません。
一家に一人一台車がある家庭も珍しくなく、現に私の家も4台の車を所有しています。

実際、私がお邪魔している方々も、いわゆる漁師町独特、山の斜面に自宅が建ち並ぶ
地域に生活をされていたり、庭先に鹿さんや猪くんが登場する様な地域に住んでいる
方も多々、いらっしゃいます。

当然、年齢と共に車の運転が困難になり、外出の機会も家族頼み、お付き合いはご近所
が中心、非常に狭いコミュニティで生活を送ることが中心となっていきます。
私自身、10数年前に開業した当時、何も考えていなかったので、研究所だけでの営業を
考えていました。

ところが蓋を開けてみると、多少の増減はありますが、今でも売上の半分は出張施術に
よるものです。そして、出張施術にお邪魔する方の平均年齢は大体78歳位で、最高齢は
91歳の方となります。

私自身、一カ所でジッと待っている仕事は性格的に合わず、出来れば車でウロウロしながら、
風を感じて仕事がしたいと言うのが開業当初からのステキな目標だったので、そう考えれば
出張施術は最高だとも言えます。

お邪魔すると必ず、施術の始まりか終わりのタイミングで、ティータイムとなります。
実を言いますと、これがかなり重要な要素で、ティータイムでクライアントのハートを
掴めるかどうかが、ファンクラブ構築のポイントなのです。

コーヒーかお茶にチョットしたお菓子などが出るのは普通ですが、島根の特徴として、
今から食事ですか?と言いたくなる位の、ご自宅で漬けられたお漬け物や、お煮染めや総菜
などテーブルに載りきらない位の品数が登場します。
ここでの鉄則は、お菓子などには目もくれず、お漬け物かお煮染めを食べることがポイントですね。

そこからはお姉様方のお話をひたすら伺います。私は自称『七色の相づち』と呼んでいる様々な
リアクションを持っておりますので、TPOに応じたリアクションをとりつつ、話しを伺っていると、
皆さんの表情がホントに変化して行くのが分かります。
『何だか若返るわぁ〜』とか『今度はいつ来るの?』などと会話も弾み、帰るときは両手に様々な
海産物やおひねりを戴いて帰宅することとなります。

私達の業界はとかく技術職だと妙な勘違いをして、飛び込んで来る方々もいますが、最低限の身に
付けるべきものは当然必要ですが、最後はクライアントとのコミュニケーション能力であり、
ご縁とご縁を繋いでいくのがこのビジネスの最大の魅力だと感じています。

『待ってたよぉ〜』などと優しく言われ、施術で喜んで戴き、『今度いつ来るの?』と何だか
心の奥の方がホッコリと暖かくなる感じが、何とも言えない魅力です。

これからの日本の人口ピラミッドは逆三角形の高齢者が圧倒的に多くなる時代に突入して行きます、
逆に言えばこの逆三角形の広い部分に大きな市場が待っているということです。
ビジネスのWin Winがこのエリアに待っているのです。
目指せ!総選挙一位!