東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

実相を意識して、自らの道を歩んだ二人。

おはようございます。

 昨日は、宇宙の根源という言葉が出てきました。松下幸之助氏は檜の札に「根源」と直筆し、その札を祀る社を建立していたという。
 その社は「根源の社」と名づけられ、今も3ヶ所にあるという。そのうちの一つであるパナソニック創業の森にある社の社頭には、こんな言葉が掲げられているという。

 「宇宙の根源の力は、万物を存在せしめ、それらが生成発展する源泉となるものであります。その力は、自然の理法として、私どもお互いの体内にも脈々として働き、一木一草のなかにまで、生き生きとみちあふれています。私どもは、この偉大な根源の力が宇宙に存在し、それが自然の理法を通じて、万物に生成発展の働きをしていることを会得し、これに深い感謝と祈念のまことをささげなければなりません。その会得と感謝のために、ここに根源の社を設立し、素直な祈念のなかから、人間としての正しい自覚を持ち、それぞれのなすべき道を、力強く歩むことを誓いたいと思います」
 
 根源の社はPHP研究の道場とした真々庵にも建立されているが、松下氏はここで仕事をしていた頃、何よりもまずは根源の社にお参りしていたという。そして二礼二拍し、手を合わせて祈り、時には藁の円座を敷きその上で座禅を組み、手を合わせて瞑想にふけっていたこともあったという。
 『松下幸之助人生をひらくことば』の著者でもある谷口全平氏が「何をお祈りされているのですか」と問うと「一つは根源に対する感謝や。いま自分がここに生まれているということも根源の力のおかげやからね。もう一つは自分が何ものにもとらわれない素直な心で、自然の理に従っているかどうかを反省しているのや」と仰っていたという。

 松下氏の祈りとこの語りの中には、常に実相を意識して精進していたということが感じられる。松下氏のいう素直とは、一般によく使われているような、おとなしく、従順という意味ではない。
 『人生談義』の著書の中から引用すれば「ぼくがいう素直な心とは、真理に直結する心とでもいいますか、私心や私利私欲など、何ものにもとらわれず、ものごとのありのままを見、ものごとの実相を明らかにする心です。それは広い寛容の心、他に耳を傾ける態度にも通じる心ですね。」という事。
 これも踏まえて、先の語りを反復してみると、非常に崇高な精神をもって、自らの道を歩んだ方なのだということが窺い知れる。

 崇高な精神といえば、操体の創始者、橋本敬三先生も、常に実相を意識して精進しながら、自らの道を歩んだ一人であった。
 『生体の歪みを正す』の中に人生読本「人間の設計」と題した、NHKラジオに出演した時の内容が書かれているが、このようなことが書かれている。

 「道って字を書くけども、これは中国語で「タオ」っていう。「タオ」っていうのは人間が造ったんじゃなくて、自然にあるんだから無碍自在ですよ。自在ってことは自ずから在るんだから、それはね、調和尽十方なんだ。まあ懺悔する気持になると思うね。だから仏教の経典のなかにね、読ましてもらったんだけど、「観普腎菩薩行法経」ってのがあるんだな、それにね、「一切の業障海は、皆妄想より生ず、もし懺悔せんと欲せば、端坐して実相を思え、衆罪は霜露の如し、慧日よく消除す」、だから懺悔の心が起きれば実相を見ろっていうの。実相を見ろっていうのは、「無量寿の慈悲」と「無辺光の智慧」と「道」というのが無碍自在だということがわかれば、あとは懺悔して感謝するっきり仕様がないですよ。その感謝も衆生と倶に、讃えて仰ぎ奉ることを冀うってことに僕は尽きると思うな。ちゃんと法則があるんだもんね。」